みのむし


子どもの頃、自宅の庭や軒先でみのむしをよく見つけました。
冬の寒風にさらされながらも、貼り絵のように上手に着飾ったいでたちを見ると、何とも愛しいような、ほわっと気持ちがあったかくなるような感覚があります。
最近、あまり見かけないなぁと思っていたら、自然学校の散策路沿いで見つけました。

みのむしの正体は、ミノガと呼ばれる蛾の仲間の幼虫の姿です。
寝袋のようなみのの中で、幼虫が冬眠しています。
枯葉や木の枝、草などを吐き出した糸でつなぎ合わせて、みのを作ります。
吐き出す糸の強度は高く、なんとナイロンの4倍の強さもあるそう!
頑丈なみのに包まれて、外敵から身を守っているんですね。

散策路で見かけたみのを観察してみると、草の茎を何本も繋ぎ合わせて作っていました。
ずいぶん苦労して、時間もかかったでしょう。
でもその出来はアートのように素晴らしいものです。
冬の自然さんぽでぜひ探してみてください。(指原)

気分は探偵


雪が降った次の日の朝は、生きものの足あと探しに出かけましょう。
夜から早朝にかけていろいろな動物が活動しているのを垣間見ることが出来ます。

「びっくり顔」のように見える 二ホンノウサギの足あと
ひずめのあとがくっきり ニホンジカの足あと
小さな肉球の足あとはイタチでしょうか
この足あとの主は木のところまで来て、ガサゴソしたあと、
方向を変えて立ち去ったようです。
縄張りのパトロールでしょうか。
ウサギ(赤矢印)とテン(青矢印)の足あと。
テンの足あとに気付いたウサギはいったん止まり、
見つかってはまずいと、進む方向を変えたようです。

足あとの主がここで何を考えて何をしたのか、
想像を巡らせるのも楽しいものです。
気分はまるで探偵です。(川野)

冬の風景


例年になく、降雪・積雪が少ない飯田高原ですが、
23日から降雪が続き、一面の銀世界となりました。
みいれが池もほぼ全面が凍結し、
ようやく冬らしい景色が広がっています。
いつまでこの状態が続くかは天候次第・・・お見逃しなく。 (阿部)

凍結したみいれが池

九重の龍神伝説


本日より2024年の活動スタートです。
本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

仕事始めの朝は雪景色となりました

さて、今年の干支は龍。
ということで、新年のしめ飾りは龍をモチーフに製作しました。
しめ縄で龍の角と顔をつくり、カラマツの実で鋭い眼光、紙垂と綿花で髭をイメージしました。

龍の顔に見えますか? (スタッフ宮本:みやもん 作)

ところで、龍にちなんだお話や場所は全国各地で耳にすることがあると思います。
九重では、日本の名水100選にも選ばれている男池(おいけ)湧水群に、龍神伝説が残っています。

神秘的なブルーに染まる男池湧水

今から1300年前、自然学校のある飯田高原に朝日長者と呼ばれる者がいました。
「後千町、前千町*」と呼ばれるほどの広大な美田を持ち、贅を尽くした御殿を構える大金持ちでした。
ある年、干ばつが襲い、とうとう困り果てた長者は、龍神がすむと言われる男池に雨乞いに出かけます。
長者は「雨を降らせてくれたら、私の娘の一人を差し上げよう」と祈りました。
するとたちまち雲が空を覆い、大粒の雨が降り出したのです。
そうして田には水がたたえられ、長者の村も息を吹きかえした、と言うお話です。
さて、この後、長者の娘がどうなるのか・・・物語が次々に展開し、長者の栄枯盛衰が語られていきます。

このお話は、現在もなお地域で語り継がれている「朝日長者伝説」と呼ばれる物語です。
話に登場する長者の大好物や場所を訪ねる、伝説巡りを楽しむこともできます。
気になる方は、ぜひ自然学校でお尋ねください。(指原)

*町は面積を示す単位。1町は約1ha(10,000㎡)

チョウの冬越し


現在、事務所の飼育ケースではアゲハチョウ(アゲハ)が越冬中。

次の春に向け、サナギの姿でじっと寒い冬を耐え抜きます。

11月4日に蛹化しました!

チョウは種類によって、越冬する姿が違います。

最近まで飛んでいたキタテハは成虫のまま。

枯れ草の中や枯れ木の穴などに隠れて、越冬します。

成虫で越冬するキタテハ

一方、日本の国蝶であるオオムラサキや山地から都市部まで広く見られるツマグロヒョウモンは幼虫で越冬。

冬は何も食べずに過ごし、春になると若葉を食べはじめます。

ツマグロヒョウモンの幼虫

もちろん卵で越冬するチョウもおり、森の宝石と呼ばれるミドリシジミがその一種です。

 

このようにチョウは種類によって冬の姿が様々。

同じチョウなのに…と、生きものの進化の奥深さを感じさせられます。

 

みなさんの身近にいるチョウはどのような姿で冬越しをしていますか?

意外と近くで、いろいろな姿でチョウたちは春を待ちわびています。(宮本)