冬の風景


例年になく、降雪・積雪が少ない飯田高原ですが、
23日から降雪が続き、一面の銀世界となりました。
みいれが池もほぼ全面が凍結し、
ようやく冬らしい景色が広がっています。
いつまでこの状態が続くかは天候次第・・・お見逃しなく。 (阿部)

凍結したみいれが池

九重の龍神伝説


本日より2024年の活動スタートです。
本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

仕事始めの朝は雪景色となりました

さて、今年の干支は龍。
ということで、新年のしめ飾りは龍をモチーフに製作しました。
しめ縄で龍の角と顔をつくり、カラマツの実で鋭い眼光、紙垂と綿花で髭をイメージしました。

龍の顔に見えますか? (スタッフ宮本:みやもん 作)

ところで、龍にちなんだお話や場所は全国各地で耳にすることがあると思います。
九重では、日本の名水100選にも選ばれている男池(おいけ)湧水群に、龍神伝説が残っています。

神秘的なブルーに染まる男池湧水

今から1300年前、自然学校のある飯田高原に朝日長者と呼ばれる者がいました。
「後千町、前千町*」と呼ばれるほどの広大な美田を持ち、贅を尽くした御殿を構える大金持ちでした。
ある年、干ばつが襲い、とうとう困り果てた長者は、龍神がすむと言われる男池に雨乞いに出かけます。
長者は「雨を降らせてくれたら、私の娘の一人を差し上げよう」と祈りました。
するとたちまち雲が空を覆い、大粒の雨が降り出したのです。
そうして田には水がたたえられ、長者の村も息を吹きかえした、と言うお話です。
さて、この後、長者の娘がどうなるのか・・・物語が次々に展開し、長者の栄枯盛衰が語られていきます。

このお話は、現在もなお地域で語り継がれている「朝日長者伝説」と呼ばれる物語です。
話に登場する長者の大好物や場所を訪ねる、伝説巡りを楽しむこともできます。
気になる方は、ぜひ自然学校でお尋ねください。(指原)

*町は面積を示す単位。1町は約1ha(10,000㎡)

チョウの冬越し


現在、事務所の飼育ケースではアゲハチョウ(アゲハ)が越冬中。

次の春に向け、サナギの姿でじっと寒い冬を耐え抜きます。

11月4日に蛹化しました!

チョウは種類によって、越冬する姿が違います。

最近まで飛んでいたキタテハは成虫のまま。

枯れ草の中や枯れ木の穴などに隠れて、越冬します。

成虫で越冬するキタテハ

一方、日本の国蝶であるオオムラサキや山地から都市部まで広く見られるツマグロヒョウモンは幼虫で越冬。

冬は何も食べずに過ごし、春になると若葉を食べはじめます。

ツマグロヒョウモンの幼虫

もちろん卵で越冬するチョウもおり、森の宝石と呼ばれるミドリシジミがその一種です。

 

このようにチョウは種類によって冬の姿が様々。

同じチョウなのに…と、生きものの進化の奥深さを感じさせられます。

 

みなさんの身近にいるチョウはどのような姿で冬越しをしていますか?

意外と近くで、いろいろな姿でチョウたちは春を待ちわびています。(宮本)

けんぽなし


その奇妙な形からは想像できないおいしさという話に惹かれ、
一度は食べてみたいと子どもの頃からあこがれていた「ケンポナシ」。
大人になってやっと出会うことが出来ました。
それは沢沿いを歩いていた時のこと。
あちこちに落ちている奇妙な果実は、植物なのか、昆虫なのか、
はたまた動物のフンなのか?と一瞬迷うほどでした。

茶色い部分は枝が肥大化したもの。
果実は先端の丸い部分(タネが入っています)。

ごつごつと曲がった茶色の部分が美味だというのですが、
けして美味しそうには見えません。
恐る恐る割ってみるとみずみずしく鮮やかな緑色の中身が見えました。
果肉と言いたいところですが、この部分は枝が肥大化したものだそうで、
これもまた奇妙である一因です。

梨にそっくりのいい香りが広がります。
昔は子どもにとって山のおやつだったとか。

さてお味はというと、名前の由来のとおり梨のようなさわやかな甘み。
見た目とのギャップもあいまって驚きのおいしさでした。
子どもの頃の記憶が、大人になった今に驚きと感動を与えてくれたのは、
そこに変わらない自然があったからこそ。
現在の子どもたちにも残していきたいと切に願います。(川野)

ケンポナシは高木になる樹木です。
ナシ(バラ科)とは違うクロウメモドキ科の植物です。

立冬


11月8日に二十四節気の「立冬」を迎えました。
暦の上では、冬のはじまりを指します。
立冬らしく、この日の朝(8時時点)で2℃の冷え込みとなりました。

草原に行ってみると、辺り一面が霜でびっしり!大霜でした。
地面の葉っぱは、針状の霜でトゲトゲに。
黄葉したイチョウは霜でキレイに縁取られています。

そんな足元の芸術作品を眺めていると、今度は朝日がさしてきました。
霜に乱反射した光で辺り一面が白く輝きます。
静かで美しい九重の冬がこれから楽しみです。(指原)