今は昔。栃木県日光市周辺に住む人々は男体山を男神、女峰山を女神、太郎山をその息子として、農業の守護神のように崇めてきました。美しく雄大な日光の山々を見ていると思わず畏敬の念を抱いてしまうのは、昔も今も変わらないのかもしれません。 山岳信仰の一大霊地として開かれ、観光地として多くの人が訪れる現在に至るまで、自然と歴史に魅了された人々が日光を築いてきました。男体山や中禅寺湖、華厳の滝をはじめとする日光の自然は、年間を通して様々な美しい風景を見せてくれます。 一方で自然に調和した日光の歴史は時を越え、国境を越えて評価されています。1999年(平成11年)には、 二荒山神社、 東照宮、輪王寺の二社一寺をはじめとする日光の社寺が  世界文化遺産に登録されました。豊かな自然美と世界文化遺産に登録される人工美とが上手に融合している日光は日本特有の風景の美しさでもあります。

指定日 ：1934年(昭和9年) 12月4日 面積 ：114,908ha (2014年3月31日現在) 年間利用者数 ：1,510万人(2012年度) 関係都道府県 ：福島、栃木、群馬、新潟 掲載記事は2000年(平成12年) 12月取材当時のものです 日本の国立公園の草分け 首都圏の水源　中禅寺湖 シカの食害に取り組む 自然とうまく付き合うポイント 人が造りだした森　日光杉並木 日光の新しい歴史 このマークのついてる言葉は、ワシのワンポイント講座を見るのじゃよ。

日本の国立公園の草分け
豊かな自然で多くの人を引きつける日光は日光国立公園に位置します。日光国立公園は1934年(昭和9年)に、日本特有の風景の代表として、また  尾瀬ヶ原に見られる日本最高の高層湿原風景を評価され、国立公園に指定されました。現在日本全国に28か所ある国立公園のなかでも最も古いグループの一つです。そして年間約2,200万人もの人が訪れるマンモス国立公園でもあります。日光国立公園は大きく2つの地区に分けられます。奥日光を中心とする日光地区と、尾瀬ヶ原、尾瀬沼を中心とする尾瀬地区です。両地区ともに2千メートル級の山々と、その活動によって作られた湿原、湖沼が形作る複雑で特殊な地形が特徴です。それによって生息する動植物相も独特なものが多く、この地域でしか見られない風景を構成しています。

その一方で、日光は国際的観光地として日本各地からだけでなく海外からも多くの人がこの地を訪れます。しかし日光はいま、人の過剰利用による問題や、 帰化植物問題、猿の餌付けや水質汚染など様々な環境問題に直面しています。

これらの問題を解決するために、ボランティア活動が積極的に行われています。そこには地元の人たちだけではなく、首都圏からもボランティアとしてやってきて、日光の自然を守ろうとする人も多くいます。