九十九島エリア
九十九島エリアは「島々の大国」と称されるほど多くの島が視界に広がり、北側は男性的な切り立った景観が特色の、南側は平たく重なる女性的な柔らかな景観が特色の島々がみられます。九十九島一帯は、起伏の多い陸地が沈降し、海面が低地に入り組むことでつくられた湾・岬・島など出入りの多い複雑な地形のリアス式海岸になっています。その複雑さは地元の漁師でさえ、海に出てあたりが暗くなると、ボートを座礁させてしまうほどのようです。
遺された自然
現在でも、深く入り込めない九十九島には、結果的に多くの貴重な自然が残ることとなりました。
熊本県の北部、菊鹿町相良にしか生息せず、国内唯一の植物として国の特別天然記念物に指定されていたトビカズラ(マメ科)が、2000年(平成12年)9月九十九島のトコイ島で発見されました。
その他にも、本州では化石として扱われている2種類の貝、シオヤガイとドロアワモチも九十九島の海の底には生息していることが確認されています。
現在九十九島では遊覧船が就航していますが、島への上陸はしていません。夏の間のほんの数日間に行なわれる島への上陸ツアーか釣り船、もしくは調査用のボートでしか入り組んだ島々に近づくことはできません。人が入れない場所で絶滅危惧種もしくは、絶滅したと思われていた植物・生物たちが今もひっそりと、しかし確実に生息しているのです。
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