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ヨハン・クレビュール氏から「ドイツ 自然保護歴史財団」について説明 (写真提供:事務局)
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ドイツの環境活動団体は、日本では聞き慣れない方法で資金調達、会員確保を行なっている。ここでは、「そんなのありっ?」と思うような、ちょっと変わったアプローチの方法を紹介する。
研修1日目に訪れた「ドイツ自然保護ミュージアム」は、「ドイツ自然保護歴史財団」によって運営されている。同財団は2001年に設立され、これまで500以上のプロジェクトに対して3000万ユーロ(約45億円)以上の資金を支援してきた。この支援によって、ボランティアの人を中心としてプロジェクトが進み、支援後も独立し、継続することを目指している。
同財団の財源は「サッカーの試合の勝敗を賭けるクジ(totoのようなもの)で得た収入の数%」である。賭け事で儲けたお金を環境活動へ…???聞いた瞬間、キョトンとしてしまい「数%」の部分を詳しく聞けていないが、実際に得られた金額は、これまでは年間約800万ユーロ(約12億円)、去年は年間160万ユーロ(約2億4000万円)だそうだ。去年から金額が激減した理由は、これまで国が独占していた賭け事を民営化するケースが増えてきたからである。金額が減ったにしても、億単位のお金、しかも賭け事による収入が1つの財団に対して毎年支払われていることに非常に驚いた。
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左:「ドイツ自然保護ミュージアム」と「ドイツ自然保護歴史財団」のパンフレット 右:「ドイツ自然保護歴史財団」の日本語パンフレットの内容 (写真提供:平山)
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次に、NABUやBUNDは会員獲得方法の1つとして業者に外部委託をしている。NABUの地域事務局で聞いた話によると、この手法は主に南ドイツで行なわれており、学生を雇って訓練を受けさせ、その学生が戸別訪問して団体への入会を呼びかけるそうだ。NABUは1991年からこの委託をはじめ、これまでに12万人の新規会員を得たとのこと、また、会員が途中でやめる割合は10%ということだ。BUNDではこの会員獲得方法を「NABUモデル」とよび、残念だが、今はこれが一番効果的だということだ。
そのほかにも例えば、NABUの収入源は、4分の3が会費、続いて多い順に、寄付やスポンサー、遺産、行政からの支援、土地や建物からの収入、資料などの販売、となっている。サッカーや野球のようにスポンサーがついていることや、遺産の寄付など、私にとっては非常にもの珍しかった。
日本で、環境保護団体からダイレクトメールが届くことがあるだろうか?「ピンポーン」と自宅に環境活動をしている人が訪ねて来て、寄付をお願いされることなんてあるだろうか?今の日本では、それらはなんとも怪しすぎる(文化の違いかもしれないが…)。
では、なぜドイツの代表的なNABUやBUNDではそれが出来るのか?私が考えたところ、ドイツの環境保護団体は日本で言う大企業並みのネームバリューがある。そのおかげで応援してくれる人や資金がついてくる。活動に関わった人や資金を支援した人は、この環境保護の活動に参画した、と意識することができる。団体は人や資金的な応援によって活動実績をあげることができ、会員や地域からの信頼を得ることができる。以上のようにプラスの循環が出来ているように私自身は感じた。そうは言っても、ドイツの団体だって、初めからこんなにうまいこといってたわけではないだろうし、下積み時代もあったはず。 多くの人を巻き込みながら継続して活動することが、まずは一歩なのかもしれない。
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