今回の研修を通じて、ドイツで活躍する素敵なリーダーの方々とお会いすることが出来ました。
その人達が日々貢献されている姿勢を通して環境ボランティアリーダーとして求められるもの、これからの日本をもっと元気にしていくリーダーの姿とは何かを考えてみました。
今回の研修において様々な人と出会い、学ぶほど膨らんでいった課題。現在の環境ボランティアボランティアリーダーに求められているものとは一
「もしドラ」で有名なドラッカーの著書にある非営利組織の経営というもの中で、リーダーの役割について
- リーダー自身と適合しなければならない
- なされるべき課題と適合しなければならない
- 寄せられる期待と適合しなければならない
という3項目が挙げられていました。
ドイツで今回活躍されているリーダー達は上記のことを踏まえてどのような行動を取られたのか。訪問した際に気づいた点、感動した点、考えさせられた点についてについて考えてみました。
様々な立場で活躍されていたリーダー達の姿
■熱意を的確に伝えるプレゼンテーション能力(ローランドホーン氏)
パワーポイント無し(!)でもわかりやすい! 人を惹きつける説明をされているホーン氏
ラインランド・ファルツ州 情報局のローランド・ホーンさんの講義は熱意がビリビリと伝わってきます。熱意だけでは抽象的すぎてイメージがつかなくなりがちですが、その熱意をきちんと相手が咀嚼できるように順序立てをし、的確な言葉を用いてプレゼンテーションを行っていました。初めての訪問場所で緊張もとれない私たちがわかりやすく、リラックスした状態で聞くことができたのは、ホーン氏が私たちのニーズに答えるため、事前に私たちが何を求めているのか調べ、十分な準備を重ねた上で情報局の責任を全うしたプレゼンテーションだったからだこそと考えます。
また、ホーン氏の実感をもとに語られる一つ一つの言葉だからこそ、私たちに伝わってきたのだと思います。リーダーの言葉がそのままリーダーの人格そのものと感じられました。自身の言葉と行動が重なるというのは、まさに、一項目の「リーダー自身と適合している」状態なのだと感じました。
■使命を全うするための強い意志(NABU州支部長シューフさん)
NABU州支部長、シューフさんは10年もの間ボランティアとして活動に取り組んだのちに現在までの州支部長として13年間活動を行っていらっしゃいました。それまでの間、活動に自らの時間を費やしていたということに非常に感銘を受けました。シューフさんはそれが特別なことだとは思っておらず、むしろ当然のことだからと言葉にされていました。
人生をかけて、ミッションステートメントを実現するべく活動を続ける姿がありました。
訪問したお部屋には、活動の実績が壁面に貼り付けてありました。 実際の説明にも活用することで、実際にどの位の活動を続けられているのかわかりやすくされていました。
■チームとして行動する組織力(BUNDウエストファーレン州支部長パウルさん )
BUNDの州支部長パウルさんは重責ある立場を無報酬で行っていました。
にもかかわらず、激務をこなしており、アポイント時間終了と同時に別の予定先へ移動するという多忙さです。ただ、事務局長であるヤンセンさんの報告書をきちんと咀嚼して私たちが理解できるプレゼンテーションを行っていたということは、組織内で何が起こっているかきちんと把握している結果だからと感じました。
机上には「これでもか!」と言うほどほどのパンフレット、報告書がズラリ。期待に対し、どのように応えることができたか目で見て理解することができます。
ガルツバイラー炭鉱を目の前に、研修生へ説明する、BUNDスタッフ。現地でも移動中でも質問攻めに対応して頂きました。
パウルさんがいなくなった後、私たちの行き先(ガルツバイラー炭鉱)にBUNDスタッフの方が対応してくださいました。
予定外のことでありながら、帰り道がそちらだからと、大幅な寄り道にもかかわらず、丁寧な説明をしていただきました。予定していた場所へ行くことが出来ませんでしたが、嬉しいサプライズによって補完され、大満足の視察となりました。これによって彼だけではなくBUND全体の信頼度が上がったのはいうまでもありません。
■自らを惜しまず、期待に答えること(ファンドレイジングアカデミー リッターショファーさん)
講義後の記念撮影。快く応じていただけました。 皆さんが良くなるためならと、厳しいご指摘もたくさんいただきました。
ファンドレイジングアカデミーのリッターショファー氏は、なんと途中で講義の内容を変更し、私たち研修生のケースに応じたディスカッション講座となりました。理由は私たち研修生の質問がそれぞれ分野によってことなっていたことによるものですが、それを一瞬で判断し予定のプログラムをフレキシブルに変化させた速さには驚くものがありました。変更後それぞれのケースに応じたカウンセリングの内容は的確で、核心をついてくる場面もありました。
更に、日本の問題解決のためなら、渡航もするとおっしゃっていました。考古学の傍ら、アカデミーの講師も務める多忙の中で、自らの時間のことは二の次においた心意気には非常に心を打たれました。相手に満足をしてもらうためにベストにベストをつくす姿がそこにはありました。私たちが抱えていた課題を見抜き、それに全てを注ぎ込む姿勢は、日常的にも課題を読み解き、リーダーとして適合していこうとする姿を垣間見たようでした。
■地域に根ざした活動の共有で得る信頼
NABU郡支部広報担当官、ミシャルスキーさんは実際の活動に自ら継続的に活動に参加しているため、活動に参加する会員の皆さんからの信頼に揺るぎないものがありました。小さい子供や年配の会員さんまで気軽に会話をする気さくさがあり、活動を本当に楽しみながら感動を共有していました。そこから信頼関係の構築がなされネットワーク拡がる様子が、容易に想像できました。
その信頼感はどこから来るのだろうかと話を聞いていると、州支部の広報官として、毎日メールや電話で各地域のNABUの地域リーダーと連絡を取っているとのことでした。「娘を寝かしつけてから、メールをチェックして、各地域と電話等で連絡を取り合うのが日課なんだ。」と語る笑顔からは、家族やNABU会員への温かなまなざしを感じます。一人一人の想いを受け止め、つないでいくリーダーの姿を感じ取りました。ミシャルスキーさんのようなみんなの想いを受け止めるリーダーの存在が一人一人の活動者を勇気づけ、継続的な力となり、NABUの組織力があるのだと感じます。まさに、期待への適合ともいえるように感じました。
〜がんばろう日本〜こういったリーダー達で日本が元気になる
メンバーの方と野鳥観察をするミヒャルスキーさん(写真右)
観察を楽しみながらも、メンバーの方とコミュニケーションを取られていました。
現在の日本は、震災からの復興はもちろん、日本全体、またそれぞれの地域によって様々な課題が山積している状態です。個々の考え方が多様化し、尊重されるようになった現在、それぞれ求めているニーズは様々です。それぞれが求めるものが何なのか的確に捉え、満足のいく結果に導くことが必要になっています。そして非常に大切なことは、一貫した信念のもとに導き出していくこと。ブレがあるようでは方向が定まらず、迷走に拍車をかけてしまうでしょう。目的遂行のためには自らも直接関わり、感動を共有しながらその大きな力を信頼に変えていく。期待に応え、さらなる信頼を生んでいこうとする姿。ドイツのリーダーが取っていた行動は、対象がなにをもとめているのかを把握し、相手が満足できるように常にアンテナを立てて行動しておりました。また、一人で突っ走ることなくチームの一人一人を主人公にして、より良い行動を引き出そうとしていました。
確固たる信念を持ち、参画する方々を主人公と認識し、お互いの個性を引き出せるリーダー達が多様な考え方を持つ人達をまっすぐ大きな一つの力に束ね、これからの日本をさらに元気に明るくしていくものと考えます。照らし合わせれば、冒頭に挙げた項目にも合致しています。ドイツのリーダーたちの姿をもとに日本がさらに元気になっていけるようなきっかけになってほしいと願います。
さて、14回研修メンバー全員で担当いたしました「がんばろう日本!〜ドイツから日本へ〜」はいかがだったでしょうか。計5回と少ない回数でしたがお楽しみいただけたのでしたら私たちも感無量です。
リーダー研修初のメンバー全員が担当となり、書き上げたコラムだけあり、内容や担当決め、果てまた締め切りに至るまで、事務局を慌てさせたかと思いますが、何とか書き上げることができました。こちらも読んでいただける皆さんがイメージできたからこそできたと感じております。ありがとうございました。
そして、セブン-イレブンで募金をしてくださった全国の皆様、研修の主催・同行をいただきました、セブン-イレブン記念財団の皆様、研修中にお世話になったドイツの皆様、様々な立場でボランティア活動をされているすべての皆様、研修生を代表しお礼の言葉とさせていただきます。本当にありがとうございました。
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