セブン-イレブン みどりの基金 一般財団法人セブン-イレブン記念財団

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活動のご紹介

ドイツ研修奮闘記 連載-第6回- 市民が取り組む自然の保護と再生〜地域の事例と法制度〜

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海外研修
「自然に近い緑」の皆さん
からお話を伺いました
(写真提供:小野さん)
 前回は、自然の保護と再生というテーマにそってNABUの活動事例を紹介しましたが、自然保護や再生に取り組む市民団体は、NABUのような大きな団体だけなのでしょうか。決してそのようなことはなく、日本でも取り組めそうな身近な地域の活動を行なっている団体もありました。そこで今回は、そうした団体の一つである「自然に近い緑」という市民サークルの活動をご紹介します。

 「自然に近い緑」は、マインツ市郊外リンデンミューというところの自然観察園の管理・運営を行なっています。この取り組みは、ローカルアジェンダ21の具体的な活動例の一つと位置づけられていました。

〜・〜・〜 ローカルアジェンダ21とは 〜・〜・〜
 1992年にリオ・デ・ジャネイロにて「地球サミット(環境と開発に関する国連会議/UNCED)」が開催されました。この地球サミットにて、持続可能な発展を目指して行動することを示した「アジェンダ21」が、177カ国の代表者たちによって合意されました。「ローカルアジェンダ21」とは、この「アジェンダ21」に基づき、持続可能な開発に向けて、地方自治体が市民とともに策定する具体的な行動計画のことです。
 2003年(平成15年)の環境省の発表によりますと、ローカルアジェンダ21を策定した日本国内の地方公共団体は、2003年3月1日で、47都道府県、12政令指定都市、318市区町村(政令指定都市を除く)となっているそうです。一方、ドイツでは、この指針に沿って2,500以上の自治体がローカルアジェンダ21を作成し、それを実行に移しつつあると言われています。

 マインツ市では、市のローカルアジェンダ21を実行すべく、リンデンミューにある1haほどの市所有地を緑地化するため、その管理・運営を環境NPOに委託しました。17名から成る「自然に近い緑」の活動によって、一時は北米産のセイタカアワダチソウが群生していた場所も、200種を超える中央ヨーロッパ固有の植物達が混生する「自然植物園」へと生まれ変わったのです。今では、「Na-Schau!(見て頂戴!)」という愛称で親しまれているそうです。

海外研修
自然のわき水を利用
したビオトープ池
(写真提供:山本)

 今回の研修中、非常に手入れされた庭を見かけることが度々ありました。ドイツでもガーデニングが盛んとなっているようです。しかし、「自然に近い緑」の話しでは、庭を彩る多くの植物が外来種であり、地域固有の種が失われているのだそうです。各家庭の庭の面積を合計すると、連邦自然保護法で指定された保護地域の面積を上回ることからも、こうした風潮に歯止めをかけるべく、市民の手で整備された「自然植物園」が果たす役割は大きいと感じました。
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製作途中のミツバチホテル
(写真提供:山本)

 自然の保護と再生に関する具体的な事業を紹介してきましたが、最後に少しだけ、市民団体の権利を認めたドイツの制度の話をしておきます。これは、ドイツの市民団体の役割が、自ら行なうプロジェクトだけでなく、連邦や州などの政治機関や産業界などの関連団体に対し影響力を持つことであることを定めた「機能の保証」といえます。

 例えば、1976年に施行された現行の連邦自然保護法にみられるように、ドイツでは、環境政策への「市民参加」の機会が法的に保証されています。

 連邦の法律だけではありません。今回、私たちが訪れたラインラント・ファルツ州でも、2002年に、改正されたラインラント・ファルツ州自然保護法によって、自然環境に影響を与える工事計画が企画される際、立法と行政機関が、一定の基準に従って承認された環境保護団体の意見を照会することが明記されていました。
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「自然植物園」での集合写真
(写真提供:小野さん)

 具体的には、まず、道路、鉄道、空港などの整備建設、都市開発、河川改修、農地開発などのプロジェクトが行われる際に、ラインラント・ファルツ州議会によって公聴会が開催されます。その公聴会に、承認された環境保護団体が招待され、市民は公聴会の場で積極的に意見を述べることができるのです。
 一方、行政当局には、プロジェクトの計画段階において、環境保護団体を含めた利害に関係する団体を召集する公聴会を開くことが義務付けられています。もちろん、プロジェクトの最終決定権は行政当局にあるため、公聴会で出された市民の意見がそのまま通るわけではありません。しかし、自然環境に大きな影響を与える可能性のあるプロジェクトの場合、NABUなどの自然保護団体には訴訟することも認められています。

 上記法律により連邦政府、もしくは州政府に承認された団体となるためには、次のような要件が規定されていました。なお、ラインラント・ファルツ州の承認団体リストには、例としてNABU、BUNDなどの自然保護団体の他、釣りスポーツ連盟、狩猟団体、エコ旅行団体などがありました。(訳:仲津さん)
  • 団体規約に自然保護が活動目的であることを明記すること
  • 州全体を活動範囲(連邦の場合は2州以上)とすること
  • 3年以上の継続的な活動履歴があり、相当と認められる実績を有すること
  • 非課税認定団体であること
  • 専門的な知識を有する会員(法律家など)が在籍していること
 これらの要件を満たし、承認されると連邦政府または州政府に登録されると、プロジェクトの計画の段階で、必ず公聴会に招待されるようになります。ちなみに、NABUは、年間700-1,000件の開発プロジェクトに関わっており、その具体的成果として、計画変更、縮小、中止などに持ち込んでいるそうです。
こうした団体として承認されることも名誉なことだと思いますが、その権利をちゃんと行使するあたりもさすがですね。




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