まずは、街中のお店でよくみかける「Bio」というマークについてお話しましょう。
これは、身体や健康、そして自然に優しい、いわゆるオーガニック製品(*有機食品や自然食品と訳される場合もある)に付けられているマークです。
実際、街中で「Bio」マークの製品を探してみると、野菜類、果物類、卵、コーヒー、ワイン、チーズやヨーグルト、お菓子、冷凍食品などの加工食品から、日本食である味噌や醤油に至るまで、様々なものがありました。また、洗剤や化粧品、衣類のコーナーでも、この「Bio」マークの製品をみつけることができました。価格については、「Bio」マークが付いていない製品と比べて少し割高のような印象を受けました。しかし、今回お世話になった通訳の方に伺ったところ、「Bio」マークの製品は決して市民から遠い存在の高級品や嗜好品ではなく、広く市民に受け入れられているとのことでした。ドイツにおける全世帯の約90%がBio製品を購入しているという調査結果もあるそうです。通訳の方からは、「ドイツの消費者は、自ら考え、選択している。」と教えて頂きました。
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さて、ドイツでは、安全、安心というキーワードに加えて、「環境への配慮」という視点も盛り込まれているものがありました。NABUのラインラント・ファルツ州本部が行なっているリンゴジュースの生産プロジェクトを例に、その内容をご説明します。
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ただ、古くなったリンゴの木は生産性が落ちるため、農家の方々は木を切ろうとします。これを防ぐため、NABUが主体となって有限会社を作り、大きな古いリンゴの木でできたリンゴを通常の市場価格の3倍で買い取り、農家が木を切らないようにしているのです。そして、そのリンゴでジュースを作り販売することで、利益を得ると同時に生態系保護の重要性を訴えていました。
安全、安心に、環境への配慮が添えられたリンゴジュースを私たちも頂きましたが、甘酸っぱい味の中に、自然環境への思いを感じることができました。もちろん、リンゴジュースが入っていた容器は、何度も使われたリユースの瓶。この辺りの気配りにも、さすがだなと感じさせられました。
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お話:『ここにあるのは、自然に生えている小さなリンゴからできた100%天然のジュースである。もちろん、自然のものなので、スーパーマーケットでは毎年、同じ量、質(味)を保証することができない。しかし、自然の条件では毎年同じ味になることはありえないのに、去年と同じ味のジュースを探す人がいる。つまり、そうした人たちは自然の味を忘れてしまっていると言える。自然の味を忘れてしまうこと、これが今この地域の問題だと私は感じている。』
いかがですか。私たち日本人にも当てはまる内容ではないでしょうか。
日本では、地産地消という言葉が一般的になると同時に、「旬」の大切さが見直されておりますが、環境先進国ドイツでも同じような問題を抱えており、現在その解決に取り組んでいるのだと感じました。
また、ドイツの「Bio」マークやリンゴジュースの取り組みなど、素晴らしいものですが、日本にも沢山の素晴らしいものがあるのではないでしょうか。私たち消費者が、そうした素晴らしいものを「素晴らしい」と感じ、それを選択できるかどうか。消費者という立場に立った時、ドイツと日本の差(違い?)は、この一歩にあると思いました。