セブン-イレブン みどりの基金 一般財団法人セブン-イレブン記念財団

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「ドイツ環境なるほど紀行」 連載-第8回- お金をかけずに、効果的な広報!1 〜朝食バイキングで環境保全型農業推進〜

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高校の教師をされているビンゲン支部長のフリーダーさん
(写真提供:小野さん)

星の数ほどあるといわれているNPOだが、広報はすべての団体に共通する重要な課題である。それも「いかにお金をかけずに」という言葉がついてまわることがほとんどではないだろうか。今回は、BUND(ドイツ環境保護連盟)のマインツ・ビンゲン支部から広報について学ぶ機会をいただいた。講師は、ビンゲン支部の支部長であるフリーダーさんと、メンバーでもあり奥さんでもあるハイドさん。お2人とも、ボランティアで活動されていて、限られた人数で最大限の効果が得られる広報を目的としているとのこと。まさに、私たちが求めるものである。

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BUNDマインツ支部スタッフをしながらボランティアでビンゲン支部の活動をしているハイドさん(写真提供:小野さん)

BUNDは、連邦レベル、州レベル、地域レベルという三層構造になっているが、今年度、連邦レベルでは主に①環境保全型農業と②温暖化防止の2つのキャンペーンを展開している。地域支部がキャンペーンに参加する場合は、キャンペーンと地域市民との関連性をいかに見つけてつなげていくか、ということが役割だそうだ。連邦で作成したという情報スタンド(小さなテントに、ポスターやちらしなどが設置されているもの)はプロフェッショナルな出来栄えだが、地域では受け入れられず、市民は情報スタンドを大きく迂回して通り過ぎてしまう。その理由を分析したところ、情報スタンドに来るのは既に知識を持っている人か、興味を持っている人か、議論したい人だということがわかった。そこで改めて「市民はどんなことをするのがすきか」ということをじっくり考えた。どこの国の市民も大好きなこと・・・それは、食べることである。そこで出たアイデアが、「朝食バイキング」なのだ。フリーダーさんたちは、市から認可をもらって、劇場前の広場で大きな朝食会を開催することにした。テーブル、椅子、情報スタンドを設置して、食事は企業や農家の協力によって環境保全型農業の農産物などを寄付してもらい、無料の朝食バイキングを用意。そして、市長、政治家、他の環境保護団体や、プレスなど15名ほどを招待した。

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BUNDマインツ支部事務所にて
(写真提供:小野さん)


いざ朝食バイキングをはじめると、近くを歩いていた人が、何をやっているんだろう・・・と興味を持って寄ってきてくれる。最終的に、およそ50〜80人くらいの人が朝食ビュッフェを楽しみながら、専門知識のある人と議論をしたり、じっくり楽しく環境保全型農業について話し合うことができたそうだ。かかった費用はわずか150ユーロ(2万円)。全部で7つの地域で実施したそうだが、どの地域でも、農産物を提供してくれたお肉屋さんや農家、招待した市長さんや環境保護団体などと、非常に良い協力関係を始めることができたそうだ。また、環境というテーマはドイツでは比較的注目されなくなってきている中、多数のプレスとコンタクトがとれるなど、大きな効果があった。

「朝食バイキングは大成功。よかった、よかった・・・」と、ここで終わってしまわないところが、フリーダーさんたちの素晴らしいところである。午前中は、大きな買い物カートに環境保全型農業の野菜などを入れて、移動しながらパンフレットを配布し、午後は、ちょうど開催されていた環境マーケットでパンフレット配布を行ったそうだ。結果として、午後は全く成果をみることができなかったそうだ。環境マーケットに来る人は、すでに関心を持っている人で、フリーダーさんたちのターゲットとは異なるからだ。大切なのは、自分たちが到達したいターゲットをよく知ること、そしてどのような広報が効率的なのか、常に検証することなのだ。

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朝食バイキングが新聞に掲載
(写真提供:小野さん)
ビンゲン支部のホームページ。
鶏のケージのイメージ。
(写真提供:小野さん)
人間も、鶏ケージの大きさを体験。
(写真提供:小野さん)




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