首都ウェリントンに移動して2ヶ所目の訪問地のKaori Wildlife Sanctuaryは、大都市に最も近い場所で、絶滅の危機に瀕している植物の保護や野鳥の移入などを行なっています。NPOが管理する保護地区としては、最も成功していると評価されている場所です。
ニュージーランド固有の生態系の状況に危機感を持った企業家グループがスタートさせた活動です。現在では、会員5,000人、ボランティア参加者400人を抱え、寄付金や会費を集めながら、きちんと組織として管理マニュアルを作成し運営されています。ボランティアガイドを育成しながら見学ツアーなどを行っていることなど、しっかりとした組織づくりに感銘を受けました。
ここではテキスト作りなどを行いながら、環境学習受け入れに力を入れています。またニュージーランドへの入植以前の生態系を復元するため、500年計画を立て活動しているそうです。自然環境に対する考え方については、野生動物の移入など日本では異論が出そうなところもありますが、夢が盛り込まれた長期ビジョンを作ることの重要性を改めて感じました。(木村さん)
《ナイトウォーク》
風が強い!防寒具を着込みナイトウォークに参加しました。毒蛇や毒虫はなく、季節も冬期、その点では安心できました。40以上の企業や慈善団体からのサポートや、自然保護省やウェリントン市とのパートナーシップのもと、原生自然の生態系回復を意図して、252haの敷地を囲い固有種を保護育成しています。また、移入されたネズミ、イタチ、フェレットなどは全て罠等で除去しています。
サンクチュアリ内にはネイチャートレイルが数種類あり、この日は、アスファルト舗装され、誰もが気軽に歩けるトレイルを歩きました。途中、土ボタルの群生地帯があり、幻想的な煌きを見せてくれました。金鉱跡など歴史的な遺産も保有し、環境教育プログラムも地域の学校に提供しています。さらに、湿地帯復元には多自然型工法が施され、貯水池から流れ出る小川に階段状の魚道を設けていました。また原生植生の回復にも巧みな工夫がなされ、鳥の生活史に即した環境を整えることから生態系の回復を計る試みといえます。
新ビジターセンター建築計画があり、年間55,000人規模の観光需要に耐え得る施設づくりを目指し、雨天時にも楽しめるようにするのが今後の目標のようです。(岡本さん)