セブン-イレブン みどりの基金 一般財団法人セブン-イレブン記念財団

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環境ボランティアリーダー海外研修

2005年(平成17年)第8回環境ボランティアリーダー海外研修レポート

海外研修レポート 感想 エコネット近畿
大林 輝 さん
『環境ボランティアリーダー海外研修を終えて 』

★今回の研修で、どの部分をボランティアリーダーとして活かせるか。
第一に寄付。お布施は寄付であったし、門付けもあった。日本でも寄付をしたい人はたくさんいる。今まで、日本の環境分野で未開拓であった寄付についてもっと正々堂々とやってもよいと思う。第2に情報。本当に政策提言に必要な情報。地域を守ってゆく為に必要な情報、日々の暮らしの中で人々が環境に目を向け考えるために必要な情報を提供したい。それは、おそらく「調べる」からしか始められない。日本では、すぐに結論を知りたがる。とくにNPOは、何かにつけ余裕がない。「それって何?」「な〜んだ答えられないじゃないか」と急ぎ過ぎ、結局、思いつきでやって、つぶれて行ってしまうことが多いのではないだろうか。そこで、まずはドイツ流に「調べる」。仮設をたて、検証し、見直し実現して行く。そして、その過程を公開し皆の意見を聞き作り上げて行く。2〜3年かかったとしても、結局は、成功への近道であると思う。また、関連付けることも重要である。如何に効率的に目的に到達するか、特に広報(キャンペーン)においては、広報のみに終わらせず、会員になってもらうなどの継続につなげる工夫も大事である。その際、子どもはマスコミや親につながる重要な要素である。また、データーの管理面において、ボランティア、パートナー、NPO、ネットワークまたその予備軍の人々・団体、それらを整理し、効率よく使えるようにすることは、これからますますふえるデーターを担当者誰もが利用できるようにする為にも重要である。以上、情報については、発信する情報の質、管理面、利用面において、もっともっと、工夫し活かして行くことが必要であると思った。蛇足だが、ツールとして、エクセルがよいとのことであったが、管理者・利用者が少ないときはアクセスがよいのではないかと思う。

★訪問団体とのパートナーシップ事業
[1]“GEO”の「生物多様性の日」を面白いと思った。エコネット近畿で「関西自然の日」を現在検討しているが、タイアップすることが出来るのではないかと思う。「関西自然の日」は、環境教育の面を強調的に行うイベントなので、目的も一致しており、世界のほかの地域の人も一緒に調査していると言うのは魅力的ではないだろうか。だが、調査は各々の地域において展開するものなので、今のところパートナーとしての役割がよくわからない。将来的に、日本あるいはアジア地域でのパートナーとなれれば素晴らしいと思う。
近畿地区における課題としては、1、専門性の高いものが受け入れられるか。2、調査用器材等の調達。3、他団体との関わり方。とくに既存の大規模調査(タンポポ調査)との調整 があげられる。運営・事務局体制については、基本的にエコネット近畿が行うが、他団体のボランティア支援が必要となると思われる。その他、資金調達及び広報については、今回の研修を活かし行って行きたい(後述)。
[2]「環境ボランティア研修制度」もまた、日本のNPOが、広い視野に立ち、世界との関わりを維持する為に、有効な事業と思われる。関西にも、受け入れるに足るNPOは少なからずある。しかし、ドイツ側の許容量に限度があるようなので、資金面について、特に工夫が必要であると思われる。従って、人材育成事業として関西から青年を派遣できるような形が現実的と思われる。課題としては、継続的資金支援の得れるパートナー企業など資金面の確保並びに現地(ドイツ)との友好な関係性維持のための人材が重要と思われる。
[3}BUNDまたは州BUNDとの協働またはパートナーシップの可能性。友好団体として、2〜3年に1回の現地視察やキャンペーンの同時開催が考えられる。が、日本の環境保全に直接的に関わる程度(効率)を考えると、優先順位の低いプロジェクトである。
[4]ファンドレイジングスクールとのパートナーシップについて、名古屋の志援センターにおけるファンドレイジングセミナーのような1日セミナー+αの短期セミナーを定期的に行うのはどうだろうか。日本においてもファンドレイジングの考え方は、ますます重要でもあり需要も出てくると思われるし、NPOが市民社会形成及び成熟において重要な役割を果たすことを考えると普及されるべき課題である。日本におけるファンドレイジングの専門家育成をするためにも、何らかの形で日本でも学べる場を提供する必要がある。
同時に、日本国内においてはNPO同士、NPOと企業・行政・研究者のパートナーシップが重要視されており、実行力のあるパートナーシップの形成が求められるところであるが、ファンドレイジングにおいても、他の主体と共に、開発して行けるならば、より幅広く社会に受け入れられるものになるのではないだろうか。

★リーダーを支援する仕組みについて
今回の研修と同じように、リーダー養成については、現在活動し成果をあげているリーダーと将来のリーダーを作ってゆくのと2つあると思う。現在活動しているリーダー支援については、リーダー個人の内的な資質やノウハウなどの悩みと、情報やネットワークなどの外的な支援があると思う。内的な部分については、既存のセミナーなど多くあるので、エコネット近畿においては基本的に外的な支援を中心に行うのがよい。外的支援について、1、ネットワーク(交流)、リーダーの自覚とモチベーションの強化になると同時に情報や目的の共有により、活動の目標、目的に向けアイディアの発現など、活動の推進がはかられる。ここでは、代表や事務局長などリーダー同士の交流であることが大事。2、情報。だいたいのNPOは、自分達のテリトリーで趣味的に活動を行っていることが多い。その中でも意識の高いところには、レベルアップのために、趣味的活動から脱皮するための情報(他地域の政策や事例、あらたな理念など全体を理解し、ビジョンを持つためのツール)が必要だと思う。今回の研修の目的も、世界を知り、自分達を振り返り活かす事であると思っている。さらには、日々の活動を支えるにあたり、事務局やボランティアの紹介や派遣もリーダーがリーダーの仕事に集中できるにはあってもよいと思う。次に将来のリーダー支援(育成)については、青年はもちろんだが、地域において、堅実に活動を行って行くという面でシニア層における人材の発掘も視野に入れたい。若者においては有望な人材の発掘もあるが、要は活動できる場とチャンスをどれだけたくさん与えることが出来るかだと思う。例えば、市町村で行われているローカルアジェンダの作成とそれに伴うNPO活動においては、新たな層が活動場所を得た。同様に地域における新たなプロジェクトは、新しい層を取り込むと同時に必然的にリーダーが生まれてくる。またリーダーとして磨かれるチャンスともなる。リーダー研修においては、実例を参考にしながら政策提言を作ってみるのがよいと思う。また、実際にロビー活動を行っている人を招き、活動を聞くのもよいと思う。私達は、実際に想像できることでなければ、なかなか実現するのは難しい。実際の環境問題を課題にして、その解決に向かって行く数々の手法、あるいは基本的な手法を学ぶことで、実際の自分の活動の中で、生かすことができるのではないだろうか。

★全体を通しての感想
その他の点で、もらったヒント。道具など、資材の共有。以前から考えていた事だが、子ども達の為の自然・観察セットも地域やNPO同士で購入し貸し出来るとよいと思った。
全体を通しての感想としては、ドイツも日本も人間として能力も人情も、そんなに大きく違う訳ではないこと。やっぱり活動している人は、ものすごくしているが、そういう層は非常に少ない。一般の人達は環境にあまり興味がなく、まして最近は、失業問題や経済に目が向き、環境問題への関心が薄れている事、それに伴い環境活動への資金提供も減っている。また高齢の人の活動が目立ったことなど日本と同じ悩みを持っていることを知った。同じ活動をしているものとして、ドイツを身近に感じられ、日本ももっと自信を持ってよいと思った。しかし、反面、制度面での整備は大きく差があいている。とくに、行政から資金が出るしくみがあることは大きい、また行政も政策において、NPOをパートナーとして求めていること、そういう制度があることもNPOを勇気付けることである。また、森の幼稚園で森の行き先を決定するのに子ども達が投票を行っていたことに、非常に驚いた。幼い頃から、民主的な物事の決め方を身につける教育がなされている事が政治への関心が高いことの理由の一つかもしれない。同様に環境保護団体のBUNDは、連邦・州・地域の三層の構造により運営がなされており地域の代表が州の、州の代表が連邦の委員を選出する、極めて民主的な構造になっている。この三層各々の役割は各々のレベルの政策提言をすることにあり、非常に合理的な構造になっていると思った。また、この三層構造は地域の課題を吸い上げるのにも都合の良い形になっていると思う。次に、子ども達を自然の中で遊ばせる活動について、大人たちは、場を設定するだけで、やりたい事は子どもの自主性に任せるところも驚いた。これも、自己責任という、民主主義の大原則から来ていると思った。他にも、ドイツは環境保全・自然保護が非常に進んでいる国との印象があったが、その理由の背後に、自己主張が強く互いに引かないとか、その人の専門や仕事をまずは聞き判断するような、ドイツ人の気質を知った事で、全ての何故がやっとつながったような気がした。ここで問題はやはり私達にとって学ぶべきところ、よいなと思うところは、日本でも実現してゆくべきだし、日本においてすでにやっている事は自覚して大事に育てていくべきであると思った。ここは、理屈よりも日本人である自分の感性を信じたいと思う。
今回の研修は、ドイツの活動を学ぶと同時に、日本での活動も振り返ることになり、客観的に自分達の活動を見れたと思う。今後更に、活動を広げ、環境を守ろうとする時の多くのヒントにあふれた研修旅行であった。



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