セブン-イレブン みどりの基金 一般財団法人セブン-イレブン記念財団

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環境ボランティアリーダー海外研修

2008年(平成20年)第11回環境ボランティアリーダー海外研修レポート

海外研修レポート 感想 NPO法人 紀州えこなびと
榎本 純子 さん

1. 訪問団体の活動やマネジメントなど、どの部分を日本のボランティアリーダーとして生かせるか。

 私が今回の研修で学びたいと思っていたことは、「人材育成」、「資金調達」、「組織運営」について、ドイツではどのように行われ、なぜ環境先進国とよばれているのかということでした。それらを自分なりに学びとり、日本で生かせるものはどういったものかを考えたいと思っていました。どんなところがドイツと日本で違うのか、また、一緒のところはどんなところなのかをあげつつ整理したいと思います。

■目標
 ドイツの環境ボランティア活動の目標設定が、7代先の子どもたちの時代に効果が出ればいいというとても長いスパンで考えられている一方、日本はすぐに結果を出そうとする傾向があるように感じる。活動を長く継続できている理由として、この目標設定の違いが大きく影響していると考えられます。また、目標を会員がちゃんと理解し、念頭において活動しているように感じました。短期目標、中期目標、長期目標を設定し、共有した上で活動をしていくかなければならないと考えています。

■組織
□なるべく早い事業計画の提示
 今回訪問したBUND、NABUでは、次年度の事業計画を、日にち、タイムスケジュール、内容までを、前年の9月には作成し、会員やパンフレットを置いている施設に配布しています。これにより、プロジェクトに参加したい人は早い段階で予定をあけることができ、より多くの人が参加しやすいシステムが作られていました。これは次年度にどの助成金がおりるかわからないという今の私の団体の活動ではとても考えられないことだと思いましたが、わかっている範囲で発表していくことはとても重要だと感じました。
□意見の収集
 今回研修で訪問したBUND、NABUは連邦、州、地域、市、村とそれぞれが独立した体制をとっており、連邦で決める方針をもとに、それぞれの地域がプロジェクトを考え、活動しています。(連邦で決める方針も、その会議に出席するのは市や村から選ばれてきた代表者が集まる会議で決められる)日本でこのように大規模な団体ができるのかはわかりませんが、トップダウン、ボトムアップのどちらに偏らないような意見の収集が重要であると感じました。また、行政単位で組織を構成しており、団体としては方針は反れないで、それぞれの地域を生かしたプロジェクトを地域のボランィアが考えて活動を行っていました。行背単位で活動をすることで活動するお互いの生活環境も同じですし、課題の共有、意見の収集、集約もしやすいのではないかと思いました。
□役割分担
 今回の研修でわかったこととして、ドイツでは団体内で必要な役割を、専門のスキルをもった人材を入れる、もしくは団体の中から発掘することで、それぞれの個性を生かした役割分担がなされていることがわかりました。これにより、広報であれば人を惹き付けるうまいデザインのポスターや冊子を作ることができていました。私たちの団体でも、スタッフ、会員の個性を生かした組織運営をしていく必要があると感じました。
□中立
 ドイツで訪問したNABUやBUNDは政界とも産業界とも中立の立場をとっており、それ故にどちらに対しても意見を述べることができる関係作りがされていました。

■情報発信
 今回の研修の中で、3回の新聞の取材を受けました。これは訪問したそれぞれの団体が新聞社に連絡をとり来てもらっていたもので、今回の記事が新聞にのることで、その団体が海外から研修にくるほどすばらしいものであること、その新聞の覧にのる自分たちの活動の紹介によって、新聞を読む多くの市民に自分たちのことを知ってもらう機会として利用していました。現に新聞にのったあとは会員の増加が見られるそうで、自分たちの活動をあまり外にアピールしてこなかった分、これからもっと情報発信をしていかなければならないと実感しました。

■資金調達
□システム的な資金調達
 ドイツの環境ボランティア活動の資金源となっているのは、会費、寄付、遺産、プロジェクト収入があげられる。会費は前述にもあるように、連邦、州、地域、市、村とそれぞれにわけられ、金額もベースは決まっていますが、収入によって変わったりもするようでした。寄付は企業や個人から小さな額から大きな額までそれぞれですが、団体のしようと思っていることに企業の思いが沿わない場合は断ることもあるようです。遺産については死んだときに身内がおらず、名前を残したいという理由や、教会への寄付行為が市民に浸透している社会背景や宗教的な理由もありますが、寄付をしてくれる個人との綿密な信頼関係をとること、また寄付をしたくなるようなアピールをすること(手書きの手紙を送ってみる等)、寄付をしてもらえるような意味のある活動をし続けることで小額だった寄付も、徐々に増え、遺産なども寄付してもらえる社会ができているようでした。そして、それらの方法がどう有効だったのかを分析する必要性もあります。私たちの団体でも寄付をしていただける方を大切に、報告義務を果たし、信頼して寄付していただけるような関係作り、団体作りをより力をいれていく必要があると感じました。
□コンビネーション
 資金調達の方法の例として説明を受けたのは、例えば私がもうすぐ誕生日だとした場合、友人たちが何かプレゼントを送ってくれるとする。そのプレゼントは気持ちだけ受け取るので、そのプレゼントに対して払うはずだったお金を、ボランティア団体に寄付してもらうという話を聞きました。また、何か商品を売った際に、その売り上げの何割かを寄付してもらうなど、何かとのコンビネーションによる資金調達の方法を知りました。何かとコンビネーションする、その何かは無限に可能性があり、これまで連携してきた企業さんたちに協力してもらえないか、また企業のCSRの一環として企業に売り込みにいくことも戦略として考えられます。

■人材
□人材育成
 ドイツでは、Fojという16歳から26歳までの若者を育成するプログラムが行政サービスとして行われています。これは、若者に早く環境問題、環境保護に興味を持ってもらいたい、兵役を逃れる若者の義務という目的で行われていますが、自主的に若者が参加することで、結果的に青少年の人としての人材育成、社会教育、雇用問題の解決策の一つにもなっているようでした。大人が親身に若者に指導することで、若者の大人への信用、大人に相談したいという気持ちをもたせており、一方受け入れ先の農家やNPOなどは若い働き手がくる、若い発想豊かなアイデアをたくさんもった若者が入るというメリットがあり、若者にも、受け入れ側にもメリットがある制度だと思います。日本でも地方から若者が流出したり、NPOのスタッフ不足などの問題があると思いますが、日本でも青少年の育成をいう面と、社会問題の面と、環境問題対策の面からもこうした人材育成は必要であると考えられます。これをNPOが作るのか、人材派遣会社のような企業がするのか、行政をするのかは日本でのアレンジ次第だと思いますが、環境に興味のない人をうまく巻き込むためにも、これを必要とする私たちが働きかけを行う必要があると感じました。

■ネットワーク/連携
□情報の共有/対等な関係
 BUNDやNABUと地域の団体の協力を見て、大きな団体と小さな団体のような規模に関係なく、対等にお互いの得意とするところを生かしていく関係があるように感じました。日本では狭い地域の中でたくさんの団体が体を寄せあって活動しているために、棲み分けがうまくできていない部分や、お互いの特性を生かすためにいい手法でも相手がしていると同じものを使いにくい面があるように思います。情報交換をする、手法を共有し、議論することでさらにレベルアップしたプロジェクトが考えられるほか、課題の糸口が見つかるきっかけに繋がると考えられます。自分たちで情報を閉じ込めておくのではなく、自分たちの環境をよくしたいという目標に向かって、協力して取り組んで行く必要があると感じました。また、前述の資金のところでも述べたように、行政でも企業でも個人でも、寄付をくれる方、助成してくれる方の考えに沿わないときはもらわない、くれる人の希望をまず最優先しないで、対等に話をすることができる関係作りも必要であると感じました。

 このように、ドイツを参考にすべき点はたくさんあり、目標にむかって、日本の環境を変えるんだという意思をもって、団体の中で組織や資金調達、事業計画などを楽しみながら活動することが大切であると思いました。また、リーダーとして大切だと感じたことは、上記で学んだことを生かすマネジメント能力を身につけることと、気配り、大らかさが必要であると感じました。


2.研修を通して、日本の環境ボランティアリーダーを支援するために、どのような仕組みが考えられるか。

 今回の海外研修の中で、日本のボランティアリーダーを支援するため考えた仕組みは、「人材育成」と「人材を生かす場の提供」があげられます。まず、ボランティアリーダーの育成ですが、今回の海外研修のように、リーダーとして活動する人たちが集まって研修を行うこと、環境先進国で学ぶことの重要性は高く、まだまだ地域に少ないリーダーを育てる必要があると思います。そのためには、このような海外研修のような育成をもっと活性化するべきだと思いますが、必ずしも全員が行けるとは思いませんので、私たち海外リーダー研修会に参加したメンバーが経験したことを地域に学んだことをより還元できるようなシステム作りができるのではないかと考えます。今回の研修の中でも関心が高かったネットワークづくりはまさにその仕組みだと思います。セブン-イレブンみどりの基金が日本各地で立ち上げてくださっているリーダー会において、全国各地で活躍されているリーダーの高いノウハウを交換すること、そしてその情報をさらにリーダー会以外の人にも地域のネットワークを生かして伝えていくことが必要だと考えられます。
 また、資金調達の面では、企業や行政とさまざまな切り口でコンビネーションをはかることをシステム化していく必要があると感じました。


3.全体を通しての感想

 今回の研修で、日本とドイツの間にそれほど差はないように感じました。確かに、風土、歴史など文化的な違いは多々ありますが、今環境について問題としていること、行っている活動において、日本の団体と代わりないと思いました、ただ、少し違うところは、時代を先に歩んでいる分、組織や制度などがとても充実しており、同じ目標に向かってたくさんの市民がボランィア活動に楽しみながら励んでいることなのではないかと思います。
 ドイツで得ることができた経験、知識をこれからの活動に生かすとともに、地域においてもそれを伝え、共有していきたいと思います。また、今回の研修で出会った皆さんと一緒に全国の方と情報交換をしつつ活動していきたいと思います。
 みどりの基金に募金をしてくださった全国の皆さんセブン-イレブンの皆さん、この研修を企画してくださったセブン-イレブンみどりの基金の皆様、野崎さん、小野さん、親切に私たちの研修をサポートしてくださった瀧上さん、通訳の絹子さん、ドイツで出会って、いつも笑顔で迎えてくれた皆さん、ありがとうございました。
そして、今回この研修の楽しい面、大変な面をともにした父ちゃん、お菊さん、かずさん、姉ちゃん、皆さんがいたから乗り切れたと思います。本当にありがとうございました。




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