「伝統野菜」とは
それぞれの地域の気候・風土に適応した地方野菜(在来種)のこと。大昔からその土地の人が家の畑で育て、良い種だけを採り、また翌年種を蒔く。このようにして受け継がれてきた種は、遺伝的に安定した品種(固定化)となり、個性豊かな香りや味わいを持つ。固定化された伝統野菜は、生育時期や形、大きさが揃わない事もあるが、大きく育ったものから採るなどして長期間収穫するのに適している。
しかし現代では、量産化や効率性を重視し開発されたF1交配種(一代雑種)の野菜が主流となっている。これは異なる性質の種をかけ合せてつくられた野菜で、病気に負けないよう耐病性をつけやすく大量生産に向いているが、この種から実った種(F2、雑種第二代)を育てても多くにF1と異なる性質が現れる。
F1種が多く世に出回り、台所器具や食文化も変化するなか、伝統野菜は、衰退・消滅の危機にさらされている。生物多様性の大切さが叫ばれている現代、伝統野菜の種の保全も重要視されはじめている。