ボランティア受入れ

「外来種駆除活動とチョウ類調査」を実施しました

2024年10月20日(日)

九重ふるさと自然学校では、ボランティアスタッフの皆さんと園内や九重地域の自然環境保全活動に取り組んでいます。

■オオハンゴンソウ駆除活動(8/8、8/17)
オオハンゴンソウはキク科の植物で、もともとは北アメリカ原産です。
明治時代に観賞用で持ち込まれ、その後、九重の自然の中に拡大。
自然界にいったん侵入すると、もといた植物のすみかを奪い、お花畑をつくるほどの繁殖力と生命力を持ちます。
法律で栽培や生きたままの運搬などが制限される「特定外来生物」に指定され、2008年から九重地域で駆除活動が進められています。

オオハンゴンソウ
背丈を超えるほど大型。茎が太く、抜こうとしてもちぎれて根が残りやすいため、スコップで丁寧な抜き取りが必要

活動した8月はオオハンゴンソウが咲く最盛期。
種子を作る前に花を摘むことで、分布が広がるのを抑制することができます。
当日は厳しい暑さのなか、みなさんと花摘み作業を行いました。

花や花芽を剪定ばさみなどで摘み取り
2日間の作業でゴミ袋19袋、70kgを摘み取りました。暑いなかおつかれさまでした!

毎春には大分セブンの森活動で、根を引き抜く活動を続けていて、
花摘みと並行した駆除活動を進めることで、根絶を目指しています。

活動地は野焼きで維持される貴重な草原環境が残されています。
植物だけでなく花で吸蜜するチョウやカマキリなどの肉食昆虫など、
草原でくらす生きものたちの大切な場所です。
昔から維持されてきた九重の生態系を守るべく、根絶を目指して活動を続けていきます。

木陰で咲いていたキツリフネ。ツリフネソウの仲間

■チョウの調査(7~10月)
2018年から継続的に続けている園内のチョウ類調査を、今年も4月から月1回、定期的に皆さんと実施しています。
夏は春と比べて、確認できる種数が増える時期です。
特にシジミチョウの仲間のうち、木の上をすみかとし、年に一度、夏にしか羽化しない種類がいます。それらのグループは「ゼフィルス」と呼ばれています。
今年は大分昆虫同好会の協力を得て、特別回として「ゼフィルス大調査!」を行いました。
ゼフィルスの幼虫がエサとするクヌギやカシワなどに生息する種類を確認できました。

ゼフィルスは梢(木の上)の方に止まっていることが多く、そのポイントを狙います
採れたゼフィルスを1頭1頭確認。グリーンに光る美しい翅を観察できました
ハヤシミドリシジミ
アカシジミ
ミズイロオナガシジミ
【おまけ】ノアザミではオオチャバネセセリが食事中でした。こちらはセセリチョウの仲間です

大分県内では開発や自然環境の変化などで、数が減っているゼフィルスもいます。
九重はゼフィルスの貴重な生息地の一つであり、今後も調査を続けながら、ゼフィルスの実態を検証していきます。

*ボランティア活動に参加してみたい方、随時募集中です!
 まずはお試しでもOK!お気軽にご参加ください。
【10月活動はこちら】
【11~12月の活動はこちら】

ボランティア受入れ

「水辺の環境整備(夏編)」実施しました

2024年10月20日(日)

九重ふるさと自然学校では、ボランティアスタッフの皆さんと園内の散策路や環境整備に取り組んでいます。

■水辺の環境整備(6/29)
自然学校のフィールド内には湧き水を源とする小川が流れています。
近年の豪雨で水かさが一気に増すことが増え、土手の洗堀が進んでいるため、石組みと粗朶(そだ)で保護する手入れを行いました。
粗朶とは直径数cm程度の細い木の枝を集め、束状にしたものです。

木の根元が激しく浸食し、えぐられています
粗朶。しなやかなで粗朶からも発根しやすいヤナギの木がよいが、今回は手に入りやすかった杉の枝を利用

まずはスギの伐採地で枝を集めて粗朶を作り、その後、流水で弓なり上に浸食された土手に当て込みました。
粗朶のすき間に石を組み、水が一番勢いよく当たるカーブ部分に石を積み上げて完成!
おかげさまで梅雨や台風の大雨でも崩れず、雨の多い時季を乗り切ることができました。

粗朶をえぐられた土手に入れ、杭で固定
ながれの強い場所は石組みで補強。石や粗朶のすきまは生きものの住処になればいいなと期待を込めて
作業前
作業後。どれだけ長持ちするか見守りたいと思います

■丸太橋の架け替え(7/18)
雑木林内の丸太橋が傷み始めていたため、架け替えを行いました。
こちらも小川の洗堀で川幅が広くなっていたので、皆さんと相談して橋の場所を変えることに。
まずは切土や整地をして、橋を架ける場所を整備。土木作業です。

橋をどう架けるか、念入りに打合せ。小川の増水時に流されないよう、水面からの高さを確保
丸太は昨年伐採したスギを使用。樹皮をむくことで虫が入りにくくなり、橋も長持ちします

ロープで重い丸太を引き、協力して無事架け替えることができました。

男衆5名で力を結集。かすがいや木杭で動かないよう固定。チェーンソーで滑り止めも
完成!

丸太橋の整備はこれで通算5か所目。
その都度参加いただいているボランティアさんは、まるで職人のような動きでリードしてくださいました。
完成後はおのおので写真撮影タイム。いろんな角度から撮影しまくりです(笑)
みなさんの愛情のこもった丸太橋、ぜひ渡ってみてください。
雑木林にありますよ♡

*ボランティア活動に参加してみたい方、随時募集中です!
 まずはお試しでもOK!お気軽にご参加ください。
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体験プログラム

「川の生きものしらべ」を実施しました

8月3日(土)

夏休みの九重ふるさと自然学校のプログラムと言えば、川の生きものしらべは欠かせません。
今年も飯田高原を流れる清流で、川の生きもの採取と観察を心行くまで楽しんでいただきました。

何が捕れたかな?

会場は小さな子でも足がつく程度の深さで、流れの緩やかな場所をピックアップ。
真夏でも程よく冷たく、時間を忘れて生きもの採取を楽しむことができました。
見下ろすだけで川底まで見えるほど水が澄んでいて、
タカハヤ、カワムツ、カワヨシノボリ、ドンコといった魚をはじめ、
トビケラの仲間やヘビトンボの幼虫などの川の昆虫、
ミナミヌマエビやカワニナなどのいろいろな生きものたちが見つかりました。

協力して大物を狙う?
たくさん見つかったカワヨシノボリ

採取した生きものたちは最後に大きな水槽に集めてみんなで観察。
魚の種類こそ4種類と少なかったですが、
トビケラの仲間、ヘビトンボの幼虫やハグロトンボのヤゴなど、
清流を好む水生昆虫が多く見つかるのが飯田高原の川の特徴です。
水の冷たさや透明度に加え、見つかる生きものからも
身近な川との違いを感じ取っていただけたのではないでしょうか。
最上流域ならではの澄んだ環境が保たれている飯田高原の川が
いつまでも今の姿であってほしいものです。

採取した生きものを水槽に集めて観察
体験プログラム

「くじゅうの生きもの観察会 ~夏~」を実施しました

7月28日(日)、8月25日(日)

今年度も九重ふるさと自然学校では、くじゅうに棲む四季折々の生きもの観察をテーマに『くじゅうの生きもの観察会』を毎月第4日曜日に実施しています。

それぞれの回の担当スタッフが得意とする生きものを中心に紹介しながら自然学校のフィールド『さとばる』を散策する、そんな観察会です。

6月は雨天のため中止となりましたが、7月は「みやもん」こと宮本が昆虫を中心とした観察会、8月は「さとちゃん」こと川野が植物のマニアックな観察会を行いました。

両回ともにたくさんの生きもの好きな方々にご参加いただきました!ありがとうございました。

コースは各担当によって異なりますが、夏の回は主に草原・田んぼビオトープ・クヌギ林を中心に散策を行いました。

草原ではオミナエシやクサフジ、マツムシソウ、ツクシフウロの花が咲き、カラスアゲハやジャノメチョウ、ツマグロヒョウモンなどの蝶が舞うのが見られました。水辺ではギンヤンマやオニヤンマ、ミヤマアカネ、ミヤマカワトンボなどのトンボたちが飛び交っており、クヌギ林では木を揺するとノコギリクワガタが落ちてきました。

<夏の観察会で観察できた生きもの>

(7月の観察会の様子)

スタッフのお話を真剣に聞いてくれてありがとう!
 ドキドキしながらつかんだノコギリクワガタ。
ビオトープはシオカラトンボでいっぱいだったね!
    キタキチョウを手にしてご満悦。
     みてみて!ギンヤンマ!!
     ミヤマカワトンボもいるぞ!!

(8月の観察会の様子)

  自然教室に集合!いざ、カシワの丘へ。
   植物回は大人の参加者がたくさん!
  カシワの丘。珍しい植物がいっぱい。
  雷雲がちかづいてきたため屋内で虫を観察。
  エンマコオロギとコバネイナゴに興味津々。
  兄弟で観察。ルーペでよく見てみよう!

次回からは秋の回。

ススキの穂が出て紅葉がはじまり、夏に比べて生きものたちは少なくなりますが、また夏とは違った生きものの様子を観察できます。

その頃には暑さもゆるみ、すがすがしい青空の下で飯田高原の自然を満喫できることでしょう。是非一緒に秋の見どころを探してみましょう!

『くじゅうの生きもの観察会~秋の回~』

・9月22日  担当:指原(秋の草原を歩いてみよう)

・10月27日  担当:指原(晩秋の植物やチョウをご紹介)

・11月24日  担当:阿部(初冬の自然と渡り鳥に注目)

※雨天時は中止といたします。

 詳しくはこちらのページをご覧ください。

体験プログラム

「田んぼの生きものさがし」を実施しました

7月13日(土)、8月18日(日)、9月14日(土)

今年度も7・8・9月に各1回「田んぼの生きものさがし」を実施しました。

このプログラムは皆さんに田んぼというフィールドがお米を生産する場だけでなく、様々な生きものの生活の場として機能していることを知ってもらうこと、当校の自然共生型田んぼを通して人と自然の共生について皆さんに考えていただきたくて実施させていただいております。

標高1000m近い飯田高原の大自然の中、田んぼで暮らすたくさんの生きものたち。

初夏・盛夏・初秋の観察においてどのような変化が見られたのでしょうか?

まず初めはスタッフが生きものの捕まえ方について教えます。

・カエルは後ろには飛べないので、前方に網を置いて後ろから追い込むこと。

・水生昆虫の多くは水草等で休んでいることが多いため、網で水草をガサガサと

 動かしてすくうこと。

ちょっとした工夫で網に入る生きものの数は段違いです!!

        何がいるかな?
   水草の根元をガサガサゴソゴソ(7月)
   あそこに何かいた!すくってみよう☆
入っていたのはヒメゲンゴロウだったね(9月)

さあ、楽しい採集の時間です!何が見つかったのでしょうか??

みんな生きものを探して果敢にビオトープの中に入っていきます!

泥がひんやりして気持ちいい!!そんな声がたくさん上がります。

大物をとるぞ!!(7月)
  ほらあそこ!何かいるよ!(7月)
何か入った!ほら、動いてる!!(9月)
逃がさないように慎重に容器へ。(9月)

みんながまず捕まえたのはガムシ。

ゲンゴロウに似ているけど、泳ぐのが苦手で水の中だとおなかが銀色に見えます。

これはおなかにためている空気が光って見えるからなのです。

          ガムシ
     ギンヤンマの幼虫(ヤゴ)

シオカラトンボやギンヤンマのヤゴもたくさんいました。

特に7月と8月は成虫と幼虫を同時に見ることができました。

         サワガニ
         ミズカマキリ

ミズカマキリは肉食でヤゴや小魚を食べてしまいます。

観察するときは何と一緒に水槽に入れるか、よく考えなくてはいけません。

9月には小さなサワガニがたくさん見られましたが、実はその少し前までお腹にたくさん卵をかかえたお母さんのカニがたくさんいました。無事に生まれて良かったです。

     サワガニ、ゲットだぜ!(9月)
  ツチガエルもたくさん取れたね。(8月)

楽しい時間はあっという間。

さあ、今日の成果を確認しましょう!

自然学校のスタッフが詳しく解説。皆さん静かに耳を傾けてくれてありがとうございました。(8月)
              トレイには生きものがたくさん!!(8月)

上で紹介した生きもののほか、タカハヤ、ドジョウ、アマガエル、ツチガエル、トノサマガエル、ニホンアカガエル、ケラ(おけら)、コオイムシ、アメンボ、コシマゲンゴロウ、シマゲンゴロウ、クロズマメゲンゴロウ、ヒメガムシ、マユタテアカネ、アキアカネ、オニヤンマ、ギンヤンマ・・・様々な生きものを観察できました。            

これにて今年の田んぼの生きもの探しは終了になります。

近年、環境の変化や悪化により田んぼに暮らす多くの生きものたちが数を減らしている中、九重ふるさと自然学校ではまだまだたくさんの田んぼの生きものたちの姿を見ることができます。

人の手でつくられた田んぼという独特の環境下において、生活を適応させた生きものたち。

10年先、20年先も同じ生きものたちが見られる環境を残していきたいですね。

今年度もたくさんのご参加とお申込みありがとうございました。

また皆さんと一緒に生きものさがしができることを楽しみにしております。

お し ま い