ボランティア受入れ

「みいれが池整備(カワセミの営巣壁造成)」を実施しました

2024年9月1日(日)

九重ふるさと自然学校の事務所の前には
カエルや水鳥が見られるみいれが池という池があります。
来園される皆様がさらに多くの生きものを観察できる池になることを目指して、
多様な環境の整備を進めています。

みいれが池(夏)

今回実施したのはみいれが池に時々現れるカワセミの営巣の助けになることを狙った土壁づくりです。
カワセミは川の崖などに穴を掘って巣を作りますが、
崖が護岸工事などで固められてしまうと営巣できる場所がなくなってしまいます。
そんな時に工事とカワセミの営巣を両立させる方法として
コンクリート護岸の一部に穴をあけておき、
カワセミが巣穴を掘れる箇所を用意するというものがあります。
今回造成を開始した土壁はそれと同じ発想です。
木材で枠を作り、周囲を杭で支え、枠の中に土を入れ、
枠の一部にはカワセミが巣穴を掘れるように穴をあけておくという人工の土壁を設計しました。
今回行ったのはその基礎となる枠づくりです。
角材を切りそろえて組み上げ、杭で支えるまでの仮止めをするところまで進めました。
来年以降、さらに高さを増し、中に土を入れて固め、周囲を杭で補強して完成させる予定です。

池のほとりに造成した土壁の枠

みいれが池の整備としては他にも池の一部に深い場所を造成したり、
岸辺にサワガニやトカゲなどが身を隠せる岩場を造成したりなど、
多様な生きものの生息を助けることができる仕掛けを用意していくことを計画しています。
みいれが池での自然散策はもちろん、
整備にご協力いただけるボランティアも募集しておりますので、
ご興味のある方はぜひご参加ください。
 ※ボランティアの募集についてはHPをご覧ください。

ボランティア受入れ

「外来種駆除活動とチョウ類調査」を実施しました

2024年10月20日(日)

九重ふるさと自然学校では、ボランティアスタッフの皆さんと園内や九重地域の自然環境保全活動に取り組んでいます。

■オオハンゴンソウ駆除活動(8/8、8/17)
オオハンゴンソウはキク科の植物で、もともとは北アメリカ原産です。
明治時代に観賞用で持ち込まれ、その後、九重の自然の中に拡大。
自然界にいったん侵入すると、もといた植物のすみかを奪い、お花畑をつくるほどの繁殖力と生命力を持ちます。
法律で栽培や生きたままの運搬などが制限される「特定外来生物」に指定され、2008年から九重地域で駆除活動が進められています。

オオハンゴンソウ
背丈を超えるほど大型。茎が太く、抜こうとしてもちぎれて根が残りやすいため、スコップで丁寧な抜き取りが必要

活動した8月はオオハンゴンソウが咲く最盛期。
種子を作る前に花を摘むことで、分布が広がるのを抑制することができます。
当日は厳しい暑さのなか、みなさんと花摘み作業を行いました。

花や花芽を剪定ばさみなどで摘み取り
2日間の作業でゴミ袋19袋、70kgを摘み取りました。暑いなかおつかれさまでした!

毎春には大分セブンの森活動で、根を引き抜く活動を続けていて、
花摘みと並行した駆除活動を進めることで、根絶を目指しています。

活動地は野焼きで維持される貴重な草原環境が残されています。
植物だけでなく花で吸蜜するチョウやカマキリなどの肉食昆虫など、
草原でくらす生きものたちの大切な場所です。
昔から維持されてきた九重の生態系を守るべく、根絶を目指して活動を続けていきます。

木陰で咲いていたキツリフネ。ツリフネソウの仲間

■チョウの調査(7~10月)
2018年から継続的に続けている園内のチョウ類調査を、今年も4月から月1回、定期的に皆さんと実施しています。
夏は春と比べて、確認できる種数が増える時期です。
特にシジミチョウの仲間のうち、木の上をすみかとし、年に一度、夏にしか羽化しない種類がいます。それらのグループは「ゼフィルス」と呼ばれています。
今年は大分昆虫同好会の協力を得て、特別回として「ゼフィルス大調査!」を行いました。
ゼフィルスの幼虫がエサとするクヌギやカシワなどに生息する種類を確認できました。

ゼフィルスは梢(木の上)の方に止まっていることが多く、そのポイントを狙います
採れたゼフィルスを1頭1頭確認。グリーンに光る美しい翅を観察できました
ハヤシミドリシジミ
アカシジミ
ミズイロオナガシジミ
【おまけ】ノアザミではオオチャバネセセリが食事中でした。こちらはセセリチョウの仲間です

大分県内では開発や自然環境の変化などで、数が減っているゼフィルスもいます。
九重はゼフィルスの貴重な生息地の一つであり、今後も調査を続けながら、ゼフィルスの実態を検証していきます。

*ボランティア活動に参加してみたい方、随時募集中です!
 まずはお試しでもOK!お気軽にご参加ください。
【10月活動はこちら】
【11~12月の活動はこちら】

ボランティア受入れ

「水辺の環境整備(夏編)」実施しました

2024年10月20日(日)

九重ふるさと自然学校では、ボランティアスタッフの皆さんと園内の散策路や環境整備に取り組んでいます。

■水辺の環境整備(6/29)
自然学校のフィールド内には湧き水を源とする小川が流れています。
近年の豪雨で水かさが一気に増すことが増え、土手の洗堀が進んでいるため、石組みと粗朶(そだ)で保護する手入れを行いました。
粗朶とは直径数cm程度の細い木の枝を集め、束状にしたものです。

木の根元が激しく浸食し、えぐられています
粗朶。しなやかなで粗朶からも発根しやすいヤナギの木がよいが、今回は手に入りやすかった杉の枝を利用

まずはスギの伐採地で枝を集めて粗朶を作り、その後、流水で弓なり上に浸食された土手に当て込みました。
粗朶のすき間に石を組み、水が一番勢いよく当たるカーブ部分に石を積み上げて完成!
おかげさまで梅雨や台風の大雨でも崩れず、雨の多い時季を乗り切ることができました。

粗朶をえぐられた土手に入れ、杭で固定
ながれの強い場所は石組みで補強。石や粗朶のすきまは生きものの住処になればいいなと期待を込めて
作業前
作業後。どれだけ長持ちするか見守りたいと思います

■丸太橋の架け替え(7/18)
雑木林内の丸太橋が傷み始めていたため、架け替えを行いました。
こちらも小川の洗堀で川幅が広くなっていたので、皆さんと相談して橋の場所を変えることに。
まずは切土や整地をして、橋を架ける場所を整備。土木作業です。

橋をどう架けるか、念入りに打合せ。小川の増水時に流されないよう、水面からの高さを確保
丸太は昨年伐採したスギを使用。樹皮をむくことで虫が入りにくくなり、橋も長持ちします

ロープで重い丸太を引き、協力して無事架け替えることができました。

男衆5名で力を結集。かすがいや木杭で動かないよう固定。チェーンソーで滑り止めも
完成!

丸太橋の整備はこれで通算5か所目。
その都度参加いただいているボランティアさんは、まるで職人のような動きでリードしてくださいました。
完成後はおのおので写真撮影タイム。いろんな角度から撮影しまくりです(笑)
みなさんの愛情のこもった丸太橋、ぜひ渡ってみてください。
雑木林にありますよ♡

*ボランティア活動に参加してみたい方、随時募集中です!
 まずはお試しでもOK!お気軽にご参加ください。
【10月活動はこちら】
【11~12月の活動はこちら】

ボランティア受入れ

水辺の環境整備【春編】実施しました

2024年4月~5月

自然学校のフィールドには、湧き水を源とする小川が流れています。
「水辺の小道」の観察路で、ボランティアの皆さんと環境整備を行いました。

観察路の木道は定期的に補修はしているものの設置から7年以上たち、基礎の腐食が目立ってきました。
当日は踊り場付近の基礎のやり替え工事を実施。
天板や腐った基礎を取り外し、新たな木材をボルトで固定していきます。
最後に天板をペンキで塗装して完成!
足元しっかりの踊り場に生まれ変わりました。

さて、5月を過ぎると水辺は植物でにぎわいます。
小川では競うようにセリが増えますが、一方で外来種のクレソン(オランダガラシ)も爆発的に増加!
草が増えすぎると水の流れが遮断され、大雨で水量が増加したり、開放水面を好んで産卵するトンボに影響が出やすくなったりするため、クレソンを中心に除去して水面が見えるよう整備しました。

今後はヤゴの羽化が始まり、ゲンゴロウのなかまやガムシ、ミズカマキリ、そしてオニヤンマの縄張り飛行や産卵など、生きものがにぎわいを見せます。

自然学校にご来園の際は、ぜひ「水辺の小道」を訪ねてみてください。
生きものなど詳しい情報はスタッフまで。

ボランティア受入れ

雑木林で癒しの空間づくりを実施しました

2024年4月~5月

九重ふるさと自然学校の事務所の裏手には、雑木林が広がっています。
2019年に移転して以来なかなか手が回らず、その間に枯木が増え、藪になった場所をボランティアさんと整備しました。
まずは、繁茂した雑木や枯木の伐採、落枝の片付けから始めました。
すると前よりも見通しが良い林に様変わり!雑木林に佇む小屋も素敵に映えます。

アセビを伐採して風通しを良くします
玉切りした枯木や枝は柵として活用
牧草地との境界付近を剪定中!
すっきりと小屋まで見通せる空間に

そして新たな発見もありました。
雑木林と牧草地との境にある生垣を剪定したところ、なんと見事な眺望がお目見え。
東の黒岳から西の涌蓋(わいた)山まで、くじゅう連山が一望できます。
活動日はちょうど新緑がはじまる頃。
空の青と淡く多様な新緑色が広がる、まるで桃源郷のような景色が広がっていました。

そして、環境整備の後は小屋も美しくリニューアル!
外壁の木部が劣化で傷んでいたので、ペンキを塗り直しました。
皆さんとブラシで表面の汚れを取り除いた後、刷毛とローラーでぬりぬり。

木目に沿って刷毛で線を引くように塗ります
協力して塗り上げます。子どもたち大活躍!

職人になった気分でピカピカに仕上げました。
高圧洗浄機で外回りも磨いて、ステキな小屋に生まれ変わりました。

落ち着いた外観にチェンジ
空を見上げると若葉が開きはじめていました

今後もボランティアの皆さんとベンチの製作や環境整備を通じて、
癒しの森として整備していく予定です。
ご来園いただいた皆さんもぜひ訪れてみてください。