ボランティア受入れ

ボランティアの皆さんと園内整備を実施しました

2025年3月15日(土)

九重ふるさと自然学校では、広大な園内のフィールド整備をボランティアの皆さんと定期的に行っています。
今回は昨年秋から冬にかけて実施した活動をふり返ってみたいと思います。

まずは「ススキのテントづくり」から。
これは毎年秋に作り替えを行っている恒例行事です。
草原に生えているススキと竹だけで作る、自然素材100%のナチュラルテント。
阿蘇では「草泊(くさど)まり」と呼んでいて、秋の干し草刈りの時に1週間程度寝泊まりしながら草を刈るために使っていたそうです。
竹を切って骨組みを作り、割った竹と刈ったススキで葺いていく素朴なものですが、作業時間は約6時間。
どこから見ても美しい見事なテントが完成しました!
草のいい~香りがして、寒空の下でもほっこり暖まります。
ぜひ入ってみてくださいね。

骨格はゴサンチクを使います
ハチクを割ります。均等に割るのが意外に難しいのです
ススキの刈取り。量はおよそ3畳のブルーシート2枚分強。なかなかの重労働です
ススキを葺いて、ハチクで固定していきます
入口は可愛くカットして仕上げ
完成!なんと1年間はもつ耐久性があります

お次は「ベンチづくり」
昨春整備した雑木林からの素晴らしい眺望をのんびり楽しんでもらおうと、ボランティアさんの提案で実現した企画です。
コンクリートの土台を基礎にして、木目の美しい一枚板を載せたベンチ。
制作段階で工法や材料、塗装方法などアイデアをいただきながら2日間かけて完成しました。
5月の新緑の時期には、雑木林に射すこもれびと爽やかな風を浴びながら、くじゅう連山をバックに草原が連なる絶景を楽しめると思います。

コンクリートの基礎で土台づくり
木目を生かす塗料を塗っていきます
思わず座りたくなるベンチが完成!
山は東の平治岳から西の涌蓋山まで、飯田高原を一望

最後は「落ち葉かき」です。
自然学校の建物周りには雑木林が広がっていて、12月になると大量の落ち葉がどっさり!
落ち葉をかくことで、その下で春を待つ植物が芽を出しやすくなります。
活動後にはたくさんのスミレの仲間が顔を出していて、葉っぱがひときわみずみずしく映りました。
スミレ類はヒョウ柄のチョウ(ヒョウモンチョウの仲間)の幼虫が必要とする植物(エサ)なので、来シーズンは森の中をひらひら舞う姿を期待したいですね。
そして、落ち葉かきをした後は恒例の落ち葉で焼き芋!
楽しくおしゃべりしながら、1時間かけてじっくり焼き上げました。
作業はなかなかの重労働で大変ですが、焼き芋の旨さで疲れも吹っ飛びます。
みなさ~ん、大変おつかれさまでした!

ブルーシートに落ち葉を集めて軽トラへ
勝手に命名「ふみふみ隊」。落ち葉が圧縮されてたくさん運べるようになります。いい仕事してますねぇ
一昨年、落ち葉かきをしたものは腐葉土になって、カブトムシの幼虫のベッドに
みいれが池に生えているガマの穂。その先っぽにはバッタが!モズの仕業「はやにえ」です
落ち葉で焼き芋作り。芋の上に落ち葉をかけながら焼いていきます
美味し~い焼き芋ができました。大成功!!!

九重ふるさと自然学校ではボランティア活動に参加してくださる方を随時募集しています。
興味のある活動にまずは気軽に参加してみませんか。
特別な技能など特に必要ありませんのでご安心を!
対象は中学生以上ですが、活動によっては小学生も相談可です。
こちらから現在募集中の活動をのぞいてみてください。
皆さまと一緒に活動できるのを楽しみにしています!

ボランティア受入れ

「みいれが池整備(カワセミの営巣壁造成)」を実施しました

2024年9月1日(日)

九重ふるさと自然学校の事務所の前には
カエルや水鳥が見られるみいれが池という池があります。
来園される皆様がさらに多くの生きものを観察できる池になることを目指して、
多様な環境の整備を進めています。

みいれが池(夏)

今回実施したのはみいれが池に時々現れるカワセミの営巣の助けになることを狙った土壁づくりです。
カワセミは川の崖などに穴を掘って巣を作りますが、
崖が護岸工事などで固められてしまうと営巣できる場所がなくなってしまいます。
そんな時に工事とカワセミの営巣を両立させる方法として
コンクリート護岸の一部に穴をあけておき、
カワセミが巣穴を掘れる箇所を用意するというものがあります。
今回造成を開始した土壁はそれと同じ発想です。
木材で枠を作り、周囲を杭で支え、枠の中に土を入れ、
枠の一部にはカワセミが巣穴を掘れるように穴をあけておくという人工の土壁を設計しました。
今回行ったのはその基礎となる枠づくりです。
角材を切りそろえて組み上げ、杭で支えるまでの仮止めをするところまで進めました。
来年以降、さらに高さを増し、中に土を入れて固め、周囲を杭で補強して完成させる予定です。

池のほとりに造成した土壁の枠

みいれが池の整備としては他にも池の一部に深い場所を造成したり、
岸辺にサワガニやトカゲなどが身を隠せる岩場を造成したりなど、
多様な生きものの生息を助けることができる仕掛けを用意していくことを計画しています。
みいれが池での自然散策はもちろん、
整備にご協力いただけるボランティアも募集しておりますので、
ご興味のある方はぜひご参加ください。
 ※ボランティアの募集についてはHPをご覧ください。

ボランティア受入れ

「外来種駆除活動とチョウ類調査」を実施しました

2024年10月20日(日)

九重ふるさと自然学校では、ボランティアスタッフの皆さんと園内や九重地域の自然環境保全活動に取り組んでいます。

■オオハンゴンソウ駆除活動(8/8、8/17)
オオハンゴンソウはキク科の植物で、もともとは北アメリカ原産です。
明治時代に観賞用で持ち込まれ、その後、九重の自然の中に拡大。
自然界にいったん侵入すると、もといた植物のすみかを奪い、お花畑をつくるほどの繁殖力と生命力を持ちます。
法律で栽培や生きたままの運搬などが制限される「特定外来生物」に指定され、2008年から九重地域で駆除活動が進められています。

オオハンゴンソウ
背丈を超えるほど大型。茎が太く、抜こうとしてもちぎれて根が残りやすいため、スコップで丁寧な抜き取りが必要

活動した8月はオオハンゴンソウが咲く最盛期。
種子を作る前に花を摘むことで、分布が広がるのを抑制することができます。
当日は厳しい暑さのなか、みなさんと花摘み作業を行いました。

花や花芽を剪定ばさみなどで摘み取り
2日間の作業でゴミ袋19袋、70kgを摘み取りました。暑いなかおつかれさまでした!

毎春には大分セブンの森活動で、根を引き抜く活動を続けていて、
花摘みと並行した駆除活動を進めることで、根絶を目指しています。

活動地は野焼きで維持される貴重な草原環境が残されています。
植物だけでなく花で吸蜜するチョウやカマキリなどの肉食昆虫など、
草原でくらす生きものたちの大切な場所です。
昔から維持されてきた九重の生態系を守るべく、根絶を目指して活動を続けていきます。

木陰で咲いていたキツリフネ。ツリフネソウの仲間

■チョウの調査(7~10月)
2018年から継続的に続けている園内のチョウ類調査を、今年も4月から月1回、定期的に皆さんと実施しています。
夏は春と比べて、確認できる種数が増える時期です。
特にシジミチョウの仲間のうち、木の上をすみかとし、年に一度、夏にしか羽化しない種類がいます。それらのグループは「ゼフィルス」と呼ばれています。
今年は大分昆虫同好会の協力を得て、特別回として「ゼフィルス大調査!」を行いました。
ゼフィルスの幼虫がエサとするクヌギやカシワなどに生息する種類を確認できました。

ゼフィルスは梢(木の上)の方に止まっていることが多く、そのポイントを狙います
採れたゼフィルスを1頭1頭確認。グリーンに光る美しい翅を観察できました
ハヤシミドリシジミ
アカシジミ
ミズイロオナガシジミ
【おまけ】ノアザミではオオチャバネセセリが食事中でした。こちらはセセリチョウの仲間です

大分県内では開発や自然環境の変化などで、数が減っているゼフィルスもいます。
九重はゼフィルスの貴重な生息地の一つであり、今後も調査を続けながら、ゼフィルスの実態を検証していきます。

*ボランティア活動に参加してみたい方、随時募集中です!
 まずはお試しでもOK!お気軽にご参加ください。
【10月活動はこちら】
【11~12月の活動はこちら】

ボランティア受入れ

「水辺の環境整備(夏編)」実施しました

2024年10月20日(日)

九重ふるさと自然学校では、ボランティアスタッフの皆さんと園内の散策路や環境整備に取り組んでいます。

■水辺の環境整備(6/29)
自然学校のフィールド内には湧き水を源とする小川が流れています。
近年の豪雨で水かさが一気に増すことが増え、土手の洗堀が進んでいるため、石組みと粗朶(そだ)で保護する手入れを行いました。
粗朶とは直径数cm程度の細い木の枝を集め、束状にしたものです。

木の根元が激しく浸食し、えぐられています
粗朶。しなやかなで粗朶からも発根しやすいヤナギの木がよいが、今回は手に入りやすかった杉の枝を利用

まずはスギの伐採地で枝を集めて粗朶を作り、その後、流水で弓なり上に浸食された土手に当て込みました。
粗朶のすき間に石を組み、水が一番勢いよく当たるカーブ部分に石を積み上げて完成!
おかげさまで梅雨や台風の大雨でも崩れず、雨の多い時季を乗り切ることができました。

粗朶をえぐられた土手に入れ、杭で固定
ながれの強い場所は石組みで補強。石や粗朶のすきまは生きものの住処になればいいなと期待を込めて
作業前
作業後。どれだけ長持ちするか見守りたいと思います

■丸太橋の架け替え(7/18)
雑木林内の丸太橋が傷み始めていたため、架け替えを行いました。
こちらも小川の洗堀で川幅が広くなっていたので、皆さんと相談して橋の場所を変えることに。
まずは切土や整地をして、橋を架ける場所を整備。土木作業です。

橋をどう架けるか、念入りに打合せ。小川の増水時に流されないよう、水面からの高さを確保
丸太は昨年伐採したスギを使用。樹皮をむくことで虫が入りにくくなり、橋も長持ちします

ロープで重い丸太を引き、協力して無事架け替えることができました。

男衆5名で力を結集。かすがいや木杭で動かないよう固定。チェーンソーで滑り止めも
完成!

丸太橋の整備はこれで通算5か所目。
その都度参加いただいているボランティアさんは、まるで職人のような動きでリードしてくださいました。
完成後はおのおので写真撮影タイム。いろんな角度から撮影しまくりです(笑)
みなさんの愛情のこもった丸太橋、ぜひ渡ってみてください。
雑木林にありますよ♡

*ボランティア活動に参加してみたい方、随時募集中です!
 まずはお試しでもOK!お気軽にご参加ください。
【10月活動はこちら】
【11~12月の活動はこちら】

ボランティア受入れ

水辺の環境整備【春編】実施しました

2024年4月~5月

自然学校のフィールドには、湧き水を源とする小川が流れています。
「水辺の小道」の観察路で、ボランティアの皆さんと環境整備を行いました。

観察路の木道は定期的に補修はしているものの設置から7年以上たち、基礎の腐食が目立ってきました。
当日は踊り場付近の基礎のやり替え工事を実施。
天板や腐った基礎を取り外し、新たな木材をボルトで固定していきます。
最後に天板をペンキで塗装して完成!
足元しっかりの踊り場に生まれ変わりました。

さて、5月を過ぎると水辺は植物でにぎわいます。
小川では競うようにセリが増えますが、一方で外来種のクレソン(オランダガラシ)も爆発的に増加!
草が増えすぎると水の流れが遮断され、大雨で水量が増加したり、開放水面を好んで産卵するトンボに影響が出やすくなったりするため、クレソンを中心に除去して水面が見えるよう整備しました。

今後はヤゴの羽化が始まり、ゲンゴロウのなかまやガムシ、ミズカマキリ、そしてオニヤンマの縄張り飛行や産卵など、生きものがにぎわいを見せます。

自然学校にご来園の際は、ぜひ「水辺の小道」を訪ねてみてください。
生きものなど詳しい情報はスタッフまで。