12月に入り、九重は本格的に冬を迎えました。事務所前の池は早朝はうっすら氷が張り、その背後にそびえるくじゅう連山も霧氷で白く化粧するほどです。
厳しい冬を越えるため、秋になると落葉樹は葉をどっさり落とします。
一面、落ち葉のじゅうたんが広がる雑木林も、夏になれば落ち葉の存在感はどこへやら。この変化に注目しようと、今回は「落ち葉と土の中の生きもの」をテーマに観察しました。
まずは、さとばるの散策路を歩きながら、12月の自然の様子を一緒に観察しました。
カシワは落葉樹では珍しく、完全に葉が落ちるのは春になってから。
新しい葉と入れ替わるように落ちます。
これが「代が途切れない」という縁起物の由縁で、端午の節句で柏餅が食べられる理由の一つです。
さて、雑木林に着くと、フカフカのクヌギの落ち葉のじゅうたんが広がっています。
この落ち葉やその下の土の中をねぐらやエサ場にしているのが、土壌動物たちです。
モグラやミミズ、サンショウウオから、ヤスデやダンゴムシ、そしてミクロ生物であるクマムシやセンチュウなどまで。
なんと大人の片足だけで8万匹もの土壌動物がいるそうです。
落ち葉を上からそっと取っていくと、土に近づくにつれて、葉っぱが小さくなっているのが分かります。土壌動物やカビ、キノコ等によって少しずつ分解され、土壌動物のフンなどと混ざり合ってフカフカの森の土が出来上がります。
スコップで落ち葉や土をほぐしてみると…
体長数ミリのヒメミミズとヤスデを発見。
当日はこれが限界でした。
公園や森などで普段何気なく踏んでいる土や落ち葉。そこにすむ土壌動物たちがフカフカの土を育むことで、雨を地中に蓄えやすくなり、水はゆっくりと川や池などに流れ出します。土砂崩れや洪水を防いでくれたり、また、土がろ過装置となって、美味しい飲み水も供給してくれたりするのです。つまり、彼らは私たちの暮らしを支える大切な存在。小さな巨人ですね!