九重ふるさと自然学校では、全国的にも縮小の一途をたどる草原や雑木林に生息するチョウ類の保全活動を行っています。
今年も2013年から継続している記録調査と、生息地周辺の外来植物の駆除を当校の活動フィールド「さとばる」で行いました。
調査は、春から秋にかけて、毎月1回程度決められたルートを歩きながらチョウを記録します。草原や雑木林の他にも、隣接する湿地や畑、小川沿いなど多様な環境を巡ります。
チョウは幼虫の時期に食べる植物が決まっています。モンシロチョウはキャベツなどのアブラナ科、キアゲハはミツバなどのセリ科といったものです。
このようにチョウ類の調査をすると、幼虫が必要とする植物が分かり、その場所がどのような自然環境かを知ることができます。つまり、チョウを守ればその場所にすむそれ以外の動植物も含めた自然環境(生態系)を守ることにつながる、とも言えるのではないでしょうか。
今回、外来植物の駆除活動を行いましたが、その目的はチョウの幼虫のエサ環境を守るためのものです。
強い繁殖力を持つ外来植物は短期間で植生を変えてしまう恐れがあります。駆除することでもともといる在来の植物を守り、ひいてはチョウを守ることにもつながります。
いま日本には約240種類のチョウがいるとされ、そのうち約3割の69種が絶滅危惧種に指定されています。
特に草原にすむチョウは生息地の縮小で、その多くが絶滅の危機にあるといっても過言ではありません。
九重ふるさと自然学校では、地元の方の協力を得て、さとばるの草原環境を維持するために野焼きをしています。これから先の遠い未来に今と変わらないチョウの姿を見ることが、九重のふるさとの風景を守ることにつながるでしょう。