今年もこの秋のボランティアワークキャンプの機会に「炭焼きと防火帯整備」を行いました。それぞれ炭焼きはクヌギなどから炭を作る活動、防火帯整備は春に行われる野焼きの準備としての活動ですが、「炭を作ること」や「野焼きをすること」が目的というわけではありません。
炭焼きをするためには雑木林の木を切って材料とする必要があります。この「木を適度に切る」という行為は、木の萌芽更新を促し、雑木林の多様な環境と豊かな生態系を保全することにつながります。また、野焼きも草原の藪化を防ぐとともに新芽の再生を促し、現在の日本では貴重な環境となった「草原」の保全に欠かせない活動です。
炭焼きも野焼きもかつては生活必需品である炭を作るためであったり、放牧地や採草地として大切な草原を維持するためであったりと、人々の生活に欠かせないものとして当たり前に行われていました。そのことが図らずも豊かな自然を保全することにつながっていたわけです。しかし、近年のライフスタイルの変化により、これらの行為は必ずしも必要というわけではなくなりました。その結果、雑木林が荒れることによる生物多様性の低下や、草原環境の縮小などが起こってきています。このような変化によって失われてきた自然との共存の在り方を考えていただくことも、このワークキャンプの側面の一つであり、参加者の皆様にはこれらを活動を通して知っていただくことができました。
かつての人々にとって当たり前だった自然との共存を知りたい方・体験した方、是非ボランティアワークキャンプに参加してみてください。