※こちらはアーカイブ記事です。 |
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春になると、冬の寒さから解き放たれた植物は、一斉に芽吹き、花が咲き乱れます。優しい色をした春は、暖かな母のにおいがします。 夏は、熱く照りつける太陽が、森の木々たちに 大いなる生命力を吹き込む「動」の力を持っています。同時に太陽は、私たちを清流の流れる森に導き、水の流れで人の心を落ち着かせることが出来る「静」の力も持っています。 大地がオシャレする秋。赤や黄色の飾りをつけた木々たちが「ワタシが一番美しい」と言わんばかりに主張し、自然界に住む全ての住人たちの目を楽しませてくれます。しかし、みんなが木々たちの鑑賞会に心奪われているうちに、冷たい季節がじわじわと近づいてきます。 そして厳しい冬の到来。深い眠りにつくものもいれば、土の中でじっとひたすら春を待つもの、また対照的に雪を好んでやってくるものもいます。一面銀世界の中でも生き物たちは、確実に独自の個性を持ち、その輝きは決して同じ色ではありません。こうして季節は巡り、暖かな大地に新しい小さな芽が顔を出します。
多様性に富んだ日本の自然 日本の気候は、年平均降水量が約1,750ミリと世界の平均(約970ミリ)を上回ることと、四季が明確に存在するということが特徴としてあげられます。また、同じ冬でも日本海側で大雪が降っている時、太平洋側では雪が積もる気配が全くないなどという気象の多様性は、日本海側と太平洋側を分けている山脈が境界線となっていることが一因となっています。 日本に生息する動物の特徴は、このような地理的隔離による遺存や固有化に支えられている種類が多いことです。世界中で西表島にしか生息しないイリオモテヤマネコや、本州中部の高山帯のみに生息する雷鳥などがその例としてあげられます。また、日本に棲む鳥類の6割以上が渡り鳥であり、海洋性鳥類が多いことも特徴です。植物の場合は、常緑広葉樹・落葉広葉樹、針葉樹と南から北への温度の差により、植生する種類が違うことも日本の自然特徴の一つです。 そんな日本の自然が、1993年(平成5年)に世界遺産(自然遺産)に登録されました。青森県南西部から秋田県北西部にまたがるブナ林の白神山地と、洋上アルプスとも称される屋久島です。私たちは、日本の自然としてだけでなく地球の財産として、世界の人々と共有しているのです。 |