※こちらはアーカイブ記事です。 |
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変動する生態系 小笠原諸島の自然はまだ発展途上であるという見方もできます。後から入ってきた種が爆発的に増えることができる隙間があるのです。しかし、長年にわたって単調で安定した生態系のなかで進化してきた固有種は、そのような環境の変化に大変弱く、ときには絶滅してしまうことも多いのです。アフリカマイマイの例のように、後から侵入した移入種対策に天敵を取り入れることも、その他の生き物に与える影響が大きいことから、現在は慎重に行われています。今後は充分に注意して導入する必要があります。
赤土の島々に緑を取り戻す試み また、媒島(なこうどじま)などでは、野ヤギによって植物が食い荒らされたために赤土が露出するようになり、それが海に流れ込むようになって海の生き物にも影響を与えています。 このような野ヤギによる食害の解決策として、野ヤギの駆除と同時に、本来の植生を回復させるために、固有種であるタコノキなどの植樹が続けられています。その成果として、一度は小笠原諸島から姿を消したアホウドリが、野ヤギに営巣地を脅かされなくなったため、戻ってくる可能性が出てきたということです。 また、小笠原諸島の本来の植生を取り戻すために、千葉県の中央学院高校では現地関係機関と協力して、固有種のアサヒエビネの増殖をおこない小笠原諸島に植え帰すなどの取り組みをおこなっています。また、小笠原諸島で植生の回復や固有種の調査を行なっている小笠原野生生物研究会の安井さんは「一つの生き物を保護し増殖するよりも、その生き物が生存できる環境をつくることが大切です」と小笠原諸島の微妙な生態系を保護する際のポイントを教えてくれました。 |