セブン-イレブン みどりの基金 一般財団法人セブン-イレブン記念財団

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ドイツで感じた、日本の環境NPOの道標(みちしるべ) 連載-第2回- ドイツNPOの組織運営 〜学生も理事になれる〜

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 私はこのドイツ研修に、とても、とっても緊張した気持ちで臨んでいました。というのも研修生5人の中で私は最年少。経験もスキルも知識も何もかも他の研修生に劣っていて、何だか申し訳ないような気持ちさえ持っていました。でもくよくよしている場合じゃない!やりきろうという覚悟をして私のドイツ研修がスタートしました。

 第2回は“組織運営”というテーマですが、私は“組織”と聞くとまず“人”が思い浮かびます。NPOにとって組織=人と考えても過言ではないように思います。そのため、今回はドイツで私たちが目で見て、耳で聞いて、肌で感じてきた環境NPOに関わる人について書きたいと思います。
合言葉は・・・理事の中に専門家!
海外研修
BUNDの支部事務所でお話を伺う様子
 私たちが訪れたドイツの2大環境NPO組織であるNABUとBUND(詳しくは第3回をお楽しみに。)には共通することがたくさんあります。そのうちの1つに理事の特徴があります。2つのNPOともに理事にはどんな方がなっているかを聞くと、スペシャリストばかりです。例えば、活動内容に関わる分野の学者、特に生物系の大学の先生や弁護士、会社役員などです。この効果は、それぞれの職業の専門性を生かし団体の活動の質が高められるということでした。例えば、自然保護の活動を進めていくときに、学者の意見を参考にする、訴訟を起こしたとき弁護士である理事に協力を求める、などです。

 なぜそのようなスペシャリストが理事になるのか?
 答えは、NPOの理事は名誉職だからだそうです。基本的に理事は名誉職であって無報酬であり、給料をもらって理事をしているという人は少ないとのこと。自分の専門性をNPOで生かしていくという生き方が、1つのカッコイイ生き方として人々に認識されているように感じました。
巨大NPOの理事に学生が・・・!
 もちろんそういったスペシャリストばかりでなく、お話を伺ったNABUでは理事の中に“学生”がいると聞きました。彼は、NABUの中の学生組織で活動した後に理事になったそうです。私も同じ学生なので、会員40万人でドイツの全州に支部があるような大きな組織の理事を自分と同じ年齢の学生がしているなんて「、なんてすごい人だ〜!」と思いました。
海外研修
NABUの支部事務所でお話を伺う様子
 それは理事の中で彼にしかできない専門性があり、彼自信もそれを認識している。そして理事という責任ある役職をやろうと決め込み、覚悟を持って活動しているのだと思います。同じ学生としてそのことに驚くと同時に、それを認め、彼のように若くして自分の専門性を見つけ、理事をしているという人を育てている組織もすごいと感じました。
 特に学生の環境活動は、やりたいと思う気持ち、モチベーションが個人の活動を支える元になっています。私は、四国で大学生を中心とした約300人の会員で組織されている団体で活動しています。運営の中心も学生が担い、理事は基本的に立候補制で、ほとんどが学生です。理事は、組織の代表として方針を定めるのはもちろんですが、各部署でのリーダー的役割を担っています。
 ある時、年度の途中で辞めたいという理事が現れました。個人的な事情は別として、「理事として自分が何をすべきなのか分からない」と彼女は言っていました。本人や理事会で話し合いを繰り返しましたが、結局彼女は退任することとなりました。彼女には、彼女にしかできない高い専門性は確かにあったと思います。しかし、彼女自身がその専門性を認識できておらず、組織も未熟で彼女の専門性を活かすことができませんでした。それは組織全体の責任でもあります。
海外研修
ライン川沿いにて活動内容を聞く様子
 ドイツの二大NPOの理事の仕組みを聞きながら、改めてこのことを思い出し、感動しました。
 組織にとって理事がどんな役割を担うのかは、それぞれの組織によって違うと思います。しかし、ドイツのNPOも日本のNPOも、組織が大きくても小さくても、大人であっても学生であっても、理事に必要なものに違いはないように思います。理事という団体の方針を定め、責任のある役職を組織の中で遂行する人に必要なものとは、「その人にしかできない!」という専門性と「必ず最後までやりきる!」という覚悟ではないかと思いました。




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