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市町村支部へ資料を送るためのレターボックス (写真提供:小野 弘人)
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BUND・ユーゲントのラインラント・ファルツ州支部では、以下のような活動を行っている。 現在、最も力を入れているのは「環境ライセンス」というプロジェクトで、青年を対象とした環境セミナーのことである(おそらくセミナーに参加すればライセンスが取得できるというような制度なのだろう)。BUNDラインラント・ファルツ州支部を訪れたのは、9月29日であったが、その週末には、「森林」をテーマにしたセミナーを行うということであった。森林に関する基礎知識やその環境問題について、参加者が相互に学び合うという内容らしい。参加を勧められたが、スケジュールの都合上、それはかなわなかった。 その他、大規模な気候変動・地球温暖化に関するシンポジウムも予定している。ワークショップ形式で1日の生活でどれくらいのエネルギーを使っているかを計算し、それを途上国での生活のエネルギー使用量と比較したり、太陽光発電装置を自作したりして学ぶ。 このような話を聞いて思ったのは、ドイツでも、参加型学習、いわゆるワークショップの手法が用いられ、有効に機能しているということである。体験しながら学ぶ、楽しみながら学ぶ、その学びのプロセスを重視しているのである。 また、1日で完結するような小さなプロジェクトもある。例えば、「探偵と泥棒ゲーム」。探偵グループと泥棒グループに分かれての公共交通機関を使った追跡ゲームである。詳しいルールは聞けなかったが、両グループとも、定期的に自分たちの居場所を報告し、また、相手の居場所を聞いて、
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こうした美しい森を守るために (写真提供:佐藤 剛史)
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「逃げ」「追いかける」のである。 泥棒グループは、知名度の低い路線を見つけて、より辺境の地へ逃亡を図るだろう。追いつかれないように便数の少ない路線を選択するかもしれない。探偵グループは、泥棒グループの居場所を聞いて、最短でその場所にたどり着けるような工夫をするだろう。これによってどれほど公共交通機関が発達しているか、それがどれほど便利かを実感できるというわけだ。 なお、このプロジェクトの実施にあたっては、企業にスポンサーになってもらいテレホンカードや1日乗車券を提供してもらっている。こうした企業との交渉も、すべて青年によって行われている。準備段階でのこうした社会経験を獲得していくことも、こうしたプロジェクトの一つの意義なのである。 今回、BUNDユーゲントのラインラント・ファルツ州支部の活動をレクチャーしてくれたのは、マックスとニナという2名のスタッフだった。マックスは19歳の男性で、2004年の7月からこの支部で働いており、ニナは19歳の女性で、2004年の8月からこの支部で働いている。なお、彼らは環境ボランティア研修制度を利用して、ここで働いているのだが、その制度の仕組みについては、いずれ紹介しよう。 マックスとニナの話を聞きながらユーゲントの意味を実感した。彼らは、現在、事業主体としての自覚、経験、技能を獲得している真っ最中だった。彼らは、「学校で行ったプレゼンテーションへの反応が冷たかったこと」や「3週間という広報時間の少なさが参加者数の伸び悩みにつながったこと」を反省し、イベントへの参加者を確保するために「各学校に対して直接的にアプローチする戦略」を練っていた。大人がやっている事業のお手伝いであれば、なかなかこうはいかないだろう。
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こうした森の生きものを守るために (写真提供:佐藤 剛史)
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やはり、独立した事業を行うユーゲントだからこそである。
私も、九州大学の学生と共にNPO活動をしているのでよくわかる。彼らに事業を任せると、単なる学生ではなくなる。事業主体としての自覚、姿勢、考え方、すべてが変わる。学生のうちからNPO法人の運営の中核を任せる意味はそこにあると考えている。 BUNDのユーゲントというシステムは、マックスやニナのような存在を育てるためのシステムなのである。 |