ブント。ドイツ最大とも言える環境NPOは、わが国でのNPO活動に慣れ親しんだ私にとっては想像も出来ない規模であった。連邦全体での会員数は2004年9月現在で39万人、2003年度の予算は13,329,872ユーロ(約18億円、1ユーロ=140円で換算)。連邦レベルの下に、16の各州に州事務局がある。ラインラント・ファルツ州の会員数は15,000人、2003年度の予算は531,200ユーロ(7,400万円)。州事務局の下には、市町村単位のグループやさらに小さな地域グループもある。
ブント、ラインラント・ファルツ州支部での主な活動は、[1]自然保護活動、[2]水の保全活動、[3]行政による大規模な自然開発事業に対する意見声明、[4]環境教育活動、[5]エクスカーション・学術活動、[6]広報活動、[7]再生可能なエネルギーの普及に関する活動、[8]電磁波の弊害に関しての活動、[9]持続可能な開発についての活動、である。
特筆すべきは[3]である。行政による大規模な自然開発事業に対しては、環境NPOは意見声明する権利が与えられており、年間1,000の意見書を作成している。実際に、事業が中止となった事例もある。ただし、すべての環境NPOがこうした権利を付与されているわけでなく、一定の条件を満たしたNPOだけが有することの出来る権利である。
こうしたシステム(連邦自然保護法第60条)が成立していること自体もすごいが、それが成立した背景には、環境NPOによるロビー活動の成果があるであろう。自らの力で、自らの権利を獲得していったわけである。
そして忘れてはならないのは、ブントにも誕生と成長の時期があったと言うことであり、その時点での規模はわが国の環境NPOとなんら違いはない。(佐藤さん)