マインツ市近郊には、アルテ・ツィーゲライという空間がある。敷地面積は18ha。そこは、1971年まではレンガ工場として使用されていたが、工場が閉鎖されることになり取り壊しの案が持ち上がった。しかし、文化的な視点からしても非常に価値の高い建造物であったので、保存に向けた市民活動がおき、その区間は保存されることになり、それ以降、市民の憩いの場となっている。現在では、マインツ市が所有する工業文化遺産に指定され、シアターや環境保全団体の事務所、難民の受け入れ場所として活用されている。
ブント、マインツ市支部もアルテ・ツィーゲライに事務所を構えている。マインツ市支部では、そのアルテ・ツィーゲライ内にある伝統的な果樹園の管理(ビオトープとしての価値が高い)や、子どもたちを受け入れての環境教育を行っている。このアルテ・ツィーゲライは、一般的な環境保全センターとは異なって都市部にあるので、多くの市民が気軽にこのセンターを利用でき、その意味で、非常に重要な役割を果たしている。
その他、ブント、マインツ市支部では、企業との協力による植林事業(木の苗自体を寄付してもらう)、再生可能なエネルギーの普及に関する事業等も行っている。
ヒアリング後、アルテ・ツィーゲライ内を散策した。文化的に価値の高い建造物も興味深かったし、何より印象的だったのは、伝統的果樹園の下草として生える色とりどりの花々である。荒れ地にみえる空間もドイツでは乾燥草地ビオトープとして適切に管理されており、色とりどりの雑草がその根拠なのである。(佐藤さん)