※こちらはアーカイブ記事です。
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【10】 森林野鳥保護団体(Forest & Bird)
マナワツ支部長のドナルド氏
ニュージーランド最大の環境保護団体。有給スタッフ10名、会員4万人、56の支部があります。会員はほとんどが45才以上。 死亡時に遺産を寄付する制度があり、その寄付や会費で会は運営されています。
詳細につくられたマニュアル本
会のミッションはニュージーランド原生の植物を守ること。 講義の途中、会のマニュアルが出てきました。よく見ると詳細に作りこまれているのです。内容は政府や役所との対応の仕方から、広報誌の作成、安全管理までかなり細かい点まで作りこまれています。
そしてボランティアスタッフのトレーニングも年1回行っています。日本の環境団体と比べると組織の計画性、運営力があまりにも違います。その結果が会員数や寄付金に影響を与えているのでしょう。自分の団体にも今後のことを考えマニュアルを作成していくのが大切と感じました。(内藤さん)
【11】 環境教育推進小学校(Ballance school)
百葉箱の説明をするこども達
小学校の壁絵
この小学校はニュージーランドの環境プログラムのモデル校になっています。植樹用の苗を育て植林活動を行っていたり、お風呂のバスタブに土を入れ給食の残りカスを加えて発酵させ堆肥作りも行っていました。他に、校庭に設置されている百葉箱で気温を毎日計測しています。この計測されたデータは地域の農作物の作付け時期の参考にするなど、常に環境に接した教育を行っていました。(柿内さん)
【12】 環境保護省トンガリロ国立公園(Department Of Conservation Tongariro)
ビジターセンターで国立公園の説明を聞く
DOCのトンガリロ地区責任者のマーク氏
トンガリロ国立公園は、最高峰のルアペフ、富士山そっくりのシルエットを持つナウルホエ、火山活動が最も活発なトンガリロの3つの山からなり、約8万haの広さがあります。火山地帯の特異な生態系とマオリ文化の信仰の対象となっていることから、複合遺産としてユネスコの世界遺産に登録されています。日本の国立公園とは違い、ニュージーランドでは国立公園内すべてをDOCが管理しています。園内のホテルなどは面積や収容人員が制限され、さらに収入の数パーセントをDOCに納税しなければなりません。このようなシステムを用いて、環境保護と経済のバランスをしっかりととっている姿勢は学ぶべきものでした。(菅原さん)
【13】 トレッキング(Taranaki Falls)
トンガリロの透き通る川
ニュージーランドのトンガリロ国立公園は世界で4番目、ニュージーランドでは初めて国立公園に選ばれ、世界遺産にも指定されています。国立公園職員のマーク氏よりガイドを受けながら2時間程のトレッキング・コースを歩きました。公園内に唯一ある下水処理場を横目にスタート(マーク氏は慣れているためかなり足早)。遊歩道(外部から持って来た石を使用)を1時間程歩いて、タラナキフォールズと呼ばれる滝へ到着。久々のトレッキングとハイペースに息が上がりました。高さ20mの滝を見て、せっかくなので水に触れ癒されました。帰り道でブナの森を見ました。日本の葉、樹皮とはかなり異なっています。種は3年おきに大量発生し、それを食べるネズミやイタチが同様に大量繁殖します。その動物たちが鳥を襲い、鳥の数が減少しているそうです。(内藤さん)
国立公園内にあるタラナキ滝
トレッキングしながら外来種植物の説明を受ける
タラナキ滝の前で休憩
【14】 トンガリロ地区の文化・自然保護団体(Tongariro Natural History Society)
トンガリロ国立公園内のロトプナム湖入り口で説明を受ける
イギリスから参加しているボランティアスタッフのキャサリン
トンガリロ国立公園内のロトプナム湖周辺で活動している団体です。マオリ語で「湖」のことを「ロト」、「ヒスイ」のことを「プナム」と呼びます。「ヒスイのような綺麗な緑色をした湖」というネーミングの通り私達の心を引き付けるような湖です。TNHSは20年前に環境保護活動を行っていた4人を乗せたヘリコプターが国立公園内に墜落し全員亡くなり、その意思を継いでいこうと有志が集まって設立されました。会の目的は、「マオリ族の伝統的な文化、自然を守る」という原住民の視点から考えられています。
外来動物駆除のためのしかけ
メンバーは国内のボランティアが200名、国際ボランティアが6名います。
国内のボランティアは短期のプログラムに参加し、国際ボランティアは長期のプログラムで参加し、その期間の生活費などは会から支給されていました。案内をしてくれたキャサリンはイギリスから、他の2名はドイツからの参加でした。彼女達は湖に生息する鳥の生態調査や保護を毎日行っています。
トレッキングしながらの自然保護活動はとても良い体験でした。(柿内さん)
【15】 マオリ村
マオリ村で質問をする参加者
ロトルアの噴き出してくる温泉
ニュージーランドに最初にやってきた人類はマオリ人です。その後、白人が入り1840年にイギリスとマオリの酋長による、ワイタンギ条約が結ばれ、現在の世界遺産と言われる土地をマオリ族が提供しました。
現在Rotoruaという地熱で知られる観光地にマオリ人は5000人程生活しています。人種的差別は、ほとんど無く、むしろマオリ人として誇りを持ち社会進出しています。
「旅立ちの応援」エールを参加者に送るマオリの人
入場料を払い70人在住の「マオリ村」に入りました。橋の下では、流れる川で子供達が無邪気にはしゃいでいました。マオリ人のガイドさんは地熱でできている共同露天風呂や共同蒸し器などを見せてくれました。村のはずれに小さなキリスト教の教会がありました。時代の流れに理想と現実を垣間見たようでした。大地から熱湯が天高く吹き上がる神聖なる風景のすぐ先に、最近出来た大きなホテルが建っていました。(右田さん)
【16】 島の自然環境復元ボランティア団体(Supporters of Tiritiri Matangi)
オークランドから北東30km、ティリティリマタンギ島は、自然保護地域としてニュージーランドで最も活発な活動が行われている島です。過去に94%も消滅した森は、たった30年で60%復活しました。子供達が植林活動に参加、ボランティアの協力で豊かな森が甦り、かつての鳥達が戻ってきました。
ここのボランティアグループは、島の復元と保護、運営、研究調査にいたるまで、行政、研究者とパートナーシップをとりながら活動しています。絶滅を危惧された鳥達を島に戻し、島全体で保護しています。メディアで大きく取り上げ、公開し、オープンサンクチュアリとした事が成功の理由の一つでしょう。愛らしい小鳥達は、誰にでも大切にされ、さらに多くの人々の自然保護への意識向上に繋がっていきました。島には、鳥達の天敵となる哺乳類はまったくおらず、観光客の人数も制限し、野鳥達に補助食や砂糖水なども人工的に与えています。植林した木の成長が間に合わず、巣箱も掛けてあります。30年前から始まった植林も今年で終了、私達は最後の苗木の伸びた枝を落とす作業をしました。「この美しい鳥達の楽園を私も作った」という喜びは、二ユージーランドのボランティアの原点をみたようでした。(右田さん)
ティリティリマタンギ島で鳥のさえずりを聞きながら散策
島の植樹用苗木の剪定をする参加者
島のところどころにある鳥の水呑場
団体の活動をスライドで説明を受ける
事務局カール氏から会の発足、活動内容を聞く
【17】 環境保護省オークランド事務所(Department Of Conservation Auckland Office)
DOCオークランドオフィス・ウオールワース地区のマネージャー ロリアン・エリオットさん
DOCの最新事情に聞き入る参加者
ウオールワース地区のマネージャー ロリアン・エリオットさんから説明を受けました。
DOCには常勤で1500名 季節ごとのパートタイム労働者が約500名
年間予算23億ドル
・DOCの目的
ニュージーランドの自然と歴史的な遺産の保全活動を行う。
・DOCの展望
遺産を守るためにDOCだけで活動を行うのではなく国民に協力してもらうよう相互協力関係を深めていく。
ボランティアが年間1万人ほど参加するが、会社を定年退職した人がほとんどで学生や家族などの若い世代の参加は少ない。このあたりは日本と同じように思えたし、両国とも、もっと若い世代に目を向けさせるような働きかけが必要だと感じた。オークランド近郊のモトオラ島ではボランティアグループがDOCに活動の計画書を提出し認められ、ニュージーランドで初めてDOCと契約書を結んで活動している。このボランティアグループもDOCからの助成はほとんどなく自ら資金調達をし、活動をしている。自ら資金調達をして活動するバイタリティーがすごいと感じられた。DOCとしては今後もボランティアとパートナーシップを結ぶ団体を増やしていく方向とのことだった。制度的には日本の指定管理者制度に似ているような感じで5年ごとに更新していくとのこと。しかし、指定管理者制度のように発注者が主体ではなくあくまでもボランティア団体にイニシアチブを取らせているDOCの姿勢がすばらしい。日本と比べボランティアとの協働についてはより深いような感じがしうらやましくも思える。(内藤さん)
【18】 ワイタケレ市役所(Waitakere City Council)
ワイタケレ市の森の状況を地図で説明
市職員でランドスケープコーディネーターのクリスさん
市役所裏側の市民活動の説明を聞く参加者
ワイタケレ市は人口16万人のニュージーランドで4番目に大きい都市です。
10年前にECO CITY宣言をしている環境に力を入れた市で、市の職員でランドスケープコーディネーターという役職のクリスさんからの説明を受けました。ワイタケレ市ではGREEN NETWORKという制度を採用しています。それはところどころにある原生林と原生林の間に回廊を作り生態系を守っていくシステムで、具体的には川の周りに先駆樹種を植え日陰を作り固有種を育て、森をつくります。ビオトープづくりに似ているシステムです。木を植える場所が個人の家の場合があるので、その場合クリスさんが窓口です。広報で市民に呼びかけ、とても参加・活動しやすいので広まっていっていると感じられました。日本では木を植えるのなら、場所が決まってしまいほとんど家の庭にはそういう活動に巻き込めないので、すばらしい活動だと思った。現在は120のボランティアグループ(5〜300人規模)をサポート。このボランティアが植林を中心に活動しています。これを2008年に350グループにする予定だそうです。人口に比べボランティアグループの数が多く、しかも市から手厚いサポートが受けられることには少々驚きました。(内藤さん)
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