セブン-イレブン みどりの基金 一般財団法人セブン-イレブン記念財団

※こちらはアーカイブ記事です。

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環境ボランティアリーダー海外研修

2005年(平成17年)第8回環境ボランティアリーダー海外研修レポート

海外研修レポート 感想その1


日程表 感想 その1 その2
  【1】アジェンダ・ドイツ環境保護連盟(BUND)ウオールシュタット支部

アジェンダ・BUND事務所でグループの説明を受ける

9月21日、研修初日はヴェールシュタットのアジェンダ・BUND事務所を訪ねるところから始まった。ラインヘッセン州にあるヴェールシュタットは我々が研修中の根拠地を構えるマインツから南西へ車で半時間程度の所だ。9時過ぎに到着した一行を、この地域の代表であるマルクス・コンラッド氏、アジェンダBUNDの下部組織のひとつ「人と自然」グループ代表のマルクス・ゼッツエファンド氏、それに同グループのスタッフ数人らが温かく出迎えてくれた。
事務所の一階にあるレクチャールームとおぼしき所に招き入れられた我々は、立ったままゼッツエファンド氏から簡単な歓迎の挨拶を受けた後、コンラッド氏から地域のプロフィールについてのレクチャーを受けた。二人とも若くてスマートな格好いいドイツ人で、コンラッド氏は、ここがワインの有力な産地であり、ドイツで一番おいしいワインが採れるのだと自慢しておられた。これ受けて研修団側が覚えたばかりの片言のドイツ語も駆使して簡単に自己紹介。その後、用意されたお菓子とお茶を交えて、双方しばらく自由な懇談を行った。

ワイナリーにて地域の歴史と活動の問題点など聞く


ローカルアジェンダ21のこの地域における具体的な取り組みの講義を受ける

事務所前で記念撮影をしてから、同グループが子どもの環境教育を目的として6カ所開設したうち、最も新しい「緑の学校」(7000㎡)に移動する。ちょうど収穫時期を迎えたワイン醸造用のブドウの甘さに舌鼓を打ちながら、徒歩でラインヘッセン州の一角ズルツハイムを一望する高台に達し、カペレと称するお祈り小屋の前で、元教師で今はこの緑の学校の運営に携わるヴィックル氏から、この地域の歴史、そして当面する問題や将来の課題などについてレクチャーを受けた。またこの機会を利用して同行してくれた「人と自然」グループの8人のスタッフが、ユーモアたっぷりに自己紹介をしてくださった。たまたまかもしれないが、この日集まったスタッフは全員が相当なご年輩で約半数はリタイヤ組。こうした人たちが、この地域のローカルアジェンダ21の主役として、土地の自然の回復に生き甲斐を見いだし、大きな役割を果たしておられることは新鮮な驚きだった。
そこから移動して近所のゴルフ場のレストハウスで昼食を摂る。スタッフの数人が同席してくれたため、食事中も環境農業の取り組みなど、有意義な質疑応答が続いた。その後、雲ひとつない青空から間断なく陽光のシャワーが降り注ぐレストハウスの中庭ベンチに陣取り、先のスタッフの一人ウズラさん(女性)から、ローカルアジェンダ21のこの地域における具体的な取り組み状況についてのレクチャーを受けた。

エコロジークラブとの共同作業

次いでさらに午後の会場である、最初に開かれた「緑の学校」(6500㎡)に移動。バスを降りてブドウ畑の中の急斜面に広がる「学校」を下り、ブドウ畑と境を接する平地に置かれたベンチで、ゼッツエファンド氏とともに「人と自然」グループの代表を務めるフォルカー氏から、アジェンダBUNDの目的や法的背景、アジェンダ21の歴史、今後の課題など、主として理念面からローカルアジェンダ21についてのレクチャーを受けた。
その後、地方新聞の取材を受けているところへ、エコロジークラブの活動として枯れ草刈りをする子どもたちが、ゼッツエファンド氏に率いられて登場、次いで子どもたちが通う学校の校長先生、さらにはコンラッド地域政府代表も到着した。これを受けて、校長先生に対しては主としてこの「緑の教室」が果たしている教育効果についての質疑応答がなされ、またゼッツエファンド氏からは、地域政府が実施中の環境保全プロジェクト、ムールバッハ川の自然再生計画についてのレクチャーがあった。

研修後の懇談ではおいしいワインとぶどうが出てくる

予定外のレクチャーが相次いだため当初予定した時間に比べ短くはなったが、その後は、受講生たちが楽しみにしていた子どもたちとの交流。それを終えて最後に、納屋のそばに張り渡した天幕の下で、「人と自然」グループのメンバー、ゼッツエファンド氏、それにズルツハイム区の行政組織を代表して駆け付けてくださったディック氏と受講生が、山盛りのプリッツエルパン、ワイン、ブドウジュースなどを交えて懇談し、双方のプレゼントを交換してこの日のすべての日程を終え、一行は満足してマインツのホテルに帰投した。(重栖さん)
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  【2】ラインランド・ファルツ州環境情報センター

州環境情報センター所長のローランド・ホーン氏


具体的な資料を提示して講義をするホーン氏
州の環境省及び森林省は大臣直結の機関であり、環境分野の中でも自然保護と生物多様性のための土地保全と法律の準備を重点的にやっている。ドイツでは1972年頃、ライン川に魚が全くいなくなってしまった。水質汚染によって生物のつながりが壊れてしまっていたのだ。これを機に、市民活動は力をつけ政治家も動いた。州の法律も最大限の努力をし、今ではサケも帰ってきた。また土壌の酸性化も問題である。民主主義の中では、目で見えないものは市民からの圧力が減る。情報センターは、このような市民にとって見えないものの情報(食の安全面や有機農産物の情報、大気汚染の情報、太陽光発電のネットワーク等)を提供している。また、プラン・アイディアを実現するためには必ずNPOとの連携が必要である。一人では限界がある。相互にコミュニケーションを取り、ネットワークを作ることが大事である。そして、簡単・単純な方法を捜すことも重要である。資金については、ドイツの自然保護法では、州の認可のNPOには、額は減少しているけれども行政からの支援が受けられる。(大林さん)
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  【3】 ドイツ環境保護連盟(BUND)ラインランド・ファルツ州支部
BUNDはドイツ最大の環境保護団体であり、地方?州?連邦からなる3層構造になっている。今回は「組織としての環境保護団体」をテーマに州レベルのBUNDが何目指し、それを実現するためにに何を行っているのかについてお話を聞いた。
州BUNDの役割は、地域で活動している団体を取りまとめることである。地域団体は州BUNDに所属する形になる。講師のマンツ氏は、「ドイツでは法整備などの制度面では整っているものの、それが行政によって必ずしも守られているわけではない。BUNDはそのチェック機能を果たしている。」という。組織の大きさゆえに生じる問題はないかという質問に対しては、特になくむしろメリットの方が大きいという。つまり人が多いと多面的な分野で活躍できると同時に、社会的影響力が増加するからだろう。(濱口さん)

左から BUNDの3層構造などシステムの講義を聞く / パンフにはやさしい問いかけから・・・ / オフィスにはたくさんの新聞スクラップが張ってある / BUND JUGEND(青年部)の部屋で話を聞く
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  【4】環境ボランテイア研修制度運営事務局
研修3日目、セミナーハウス・ヨナタンを訪れた。セミナーハウス・ヨナタンは、私立の宿泊・環境学習施設である。手作り感あふれる施設は、木をベースにした内装で、やわらかな自然の曲線や日の光が上手くとりいれられており、入り口をくぐった途端、研修生から歓声があがった。
この施設とプログラムを運営しているのはペーター・ゼンツさんご夫婦。ペーターさんは、プジョー(自動車)の販売会社を経営していたが、ある時、人生の意義について考えたことを機に、なんと会社を売り払い、セミナーハウスを始めたという。できるだけ石油を使わない生活、環境負荷の少ない施設を目指し、ソーラーパネルによる温水暖房システムや、地下に風を通して部屋の温度調節を行うなど、施設自体が立派なエコ住宅であった。

セミナーハウス「ヨナタン」

セミナーハウス・オーナーのペーター・ゼンツさんからコンセプトを聞く

屋根は全てソーラーシステム

発電管理ユニット


宿泊場所もシンプル

このセミナーハウスには、企業・学生・個人などさまざまなグループが、メンバー間の理解やコミュニケーションを深めるために訪れる。利用者層も20〜80歳と幅広い。環境学習、自然散策、太陽光発電、省エネ住宅のつくりかた、ヨガ、アフリカンドラムのコースまで、参加者の希望に応じてさまざまなプログラムを組むことができる。「大切なのは頭で考えるのではなく、心で感じることです。そして職人として実際に何かを変えていくこと、行動に起こすことです」、と話すペーターさんの暖かな想いと明確な意思が伝わってきた。

環境ボランテイア研修制度の研修生徒と一緒に食事をする

午後はいよいよ環境ボランティア研修制度について。環境ボランティア研修制度は、16歳から25歳以下までを対象とした連邦で定められた研修制度である。州によって異なる点もあるが、基本的には青年たちは自分の関心のある環境分野の団体や機関へ1年間派遣され、その間の生活費、交通費、研修費などが支払われる。ドイツ全土で毎年約1800人もの青年たちが参加し、環境NPO、行政、農家などで実践し、また社会や学校へ戻るという興味深いものであった。
この日は、環境ボランティア研修制度の一グループ(20名)が合宿としてセミナーハウスを利用していたので、昼食と彼らの振り返りミーティングに同席するなど、生の声にたくさんふれることができた。制度全体を説明してくださったのは、地理学博士でもあり、環境ボランティア研修制度運営事務局長のヨハン・フライさん。研修の予算の80%は州、残りを国と研修受入機関が出すそうだ。研修生の参加理由はさまざまだが、主には・兵役免除のため ・進路を決める時間が欲しい ・職業訓練を社会に出る前にやってみたい ・自分の適性を判断したい、など。はじめから全員が全員、環境問題に興味があるわけではないが、この研修期間を通して環境への意識は確実に高まっている。また、成果として、自主性・自立性が高まったり、自分自身の適性や関心分野を検証したり、1つの分野の専門知識が得れるなど、様々である。環境分野の人材育成、そして青年の実践と学びの場として、ぜひ日本でも取り入れていきたい、と思った制度の1つであった。

研修最後の振り返りを真剣に討論する研修生

環境ボランテイア研修制度運営事務局長のヨハン=フライ氏

研修制度の説明をするヨハン氏
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  【5】ドイツ環境保護連盟(BUND)マインツ、ビンゲン支部

研修前にライン川前にて

マインツ・ビンゲン支部の広報の成功例として“農キャンペーン”を紹介してくれた。“農キャンペーン”では、一般の人に興味を持ってもらう工夫として、シアター前広場で「朝食バイキング」を行った。市長や他のNPO団体の人達も招待し盛大なものであった。環境のスタンド(展示用パネル)をいつも避けて通る人達も近づいてくれ、遺伝子組み換え食品の話など様々な事を話せた。このキャンペーンでは、食材は協賛企業からもらい、場所は市からの認可、スタンドは連邦のBUNDのものなので、かかった費用はわずか150ユーロ(約2万円)であった。
左から BUND事務所にて広報の意義など講義を受ける / いつも魅力的なレクチャーをするハイドゥルン スタウダーさん / マインツ・ビンゲン支部長フリーダー・シュタウダー氏 / “農キャンペーン”のホームページ

左から 実際の広報を体験するため、準備作成する研修者(濱口さん、宇都さん) / 広報箱完成(重栖さん) / マインツの市街地に箱を持って歩く / 話を聞きつけた地元新聞社の取材を受ける


マインツ駅構内を歩く研修者

この話のあと、私達は、実際に温暖化キャンペーンのデモとして段ボール箱をかつぎ街へ出た。多くの人の注目を集め、写真を撮る人や声をかけてくる日本人もいた。安上がりでアピール度満点なこのキャンペーンだが、さらに日本から私たちが来る事を事前にプレスに知らせ、取材も入った。このようなプレスへの広報は、独創的で新しい事がプレスに取り上げてもらえる要素となる。また、BUNDでの広報研修は、産業界のプロを招き勉強しているそうだ。
午後、エクスカーションのデモを兼ね、フリーダーさんに地域の自然保護地域を案内してもらった。この地域は赤土で独特な植物があるそうだ。ライン川を見下ろす昔ながらの道を散策した。途中、支部の活動の場で、地域の子ども達を遊ばせる場所を通り、景観地区に指定されている森へ向った。そこでは、池で子ども達がやる生物調査をする予定だったが、時間がなく午前の広報の話の続きを聞いた。活動の広報で反響の多かったものとして“子どもと環境”の活動を紹介してもらった。フライヤーや新聞、地方紙、ラジオ、TVなどあらゆる手段を取った後に、直接学校へ行って案内をしたそうだ。ドイツでは半日制から全日制に変わる過渡期で、ねらいどおり親の賛成を得て、子どもたちが午後の授業で森の中で遊ぶようになった。
このように広報(キャンペーン等)は、時間とお金をかけなくても、目指す対象を理解する事で効果を得ることが出来る。

左から 近郊のエクスカーション場所で説明を聞く / 地理の説明をするシュタウダー氏 / 子供たちと生物調査をする時に使用する調査キット / エクスカーションの意義を話すシュタウダー氏
日程表 感想 その1 その2



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