セブン-イレブン みどりの基金 一般財団法人セブン-イレブン記念財団

※こちらはアーカイブ記事です。

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環境ボランティアリーダー海外研修

2006年(平成18年)第9回環境ボランティアリーダー海外研修レポート

海外研修レポート 感想その2


日程表 感想 その1 その2
  【6】 BUND−NRW(ドイツ環境保護連盟 ノルトライン・ヴェストファーレン州支部)

BUND(ドイツ環境保護連盟)NRW(ノルトライン・ヴェストファーレン州)支部事務所
事務局長:ゲオルグ・デューク・ヤンゼン氏に当日対応していただいた。
BUNDは、前日訪問したNABUと並ぶドイツの二大環境NPOであり、地域組織−州組織−連邦組織という三層構造や、会員数の約40万人、財政規模の約30億円等もほぼ同等である。連邦組織が取り組むテーマについても、共に環境に関する様々なテーマ(自然保護、貿易、エネルギー、交通、農業等)を扱っており、あまり差はない。
この2団体の違いに目を向けると、NABUが百年以上前から自然保護活動を主体に発展してきた団体であるのに対して、BUNDは30年ほど前に反原発運動をテーマに生まれた政治性の強い団体である。そのため、NABUの地域組織の多くが自然保護団体であるのに対し、BUNDの地域組織は、エネルギー・交通・都市計画・農業・自然保護等今日的課題に沿って多様性に富んでいる。
ドイツの自然保護法では、これら2団体を中心とする有力なNPOに対し、大規模開発計画について計画段階で意見を述べる権利が認められており、さらに、意見が無視された場合には、環境保全の立場から計画差し止めの訴訟を提起できる権利が認められている。
NRW州においては、さらに水質保全に関わる開発計画についても、これらの団体が意見を述べることが出来、BUND−NRWが1年間に扱う案件は1,200件にも上る。そのため、この権利が認められている3団体(BUND、NABU他)が、合同で専門家やスタッフを雇い、合同の意見書を出す仕組みを作って対応しており、この仕組みはこの州独自の取り組みであるとのことである。
左:カラフルなBUNDのパンフレット類 中央・右:州事務局長のゲオルグ・デューク・ヤンゼン氏

午後からは移動して、ヤンゼン氏が20年来関わってきたという炭鉱を見に行った。この地方は欧州有数の炭田地域であり、3ヶ所において広大な露天掘りが行われている。私たちが見に行ったのは、その中でも最大のもので、対岸が少々かすんで見えるほど巨大なくぼ地となっている。この炭鉱は、土地利用、大気汚染、地下水脈、二酸化炭素の排出等の面で環境破壊を引き起こしている上、拡大計画により、さらに多くの農地やコミュニティが失われようとしている。
この開発計画を止めるために、BUND−NRWは差止め訴訟を行ったが最高裁で敗訴した。しかし、BUNDが移転対象地域の家屋を取得し、財産権の保全の立場から行った訴訟では勝訴しており、他にも反対運動をしている住民への支援を行ったり、この炭鉱を閉鎖した場合のエネルギー需給計画について政府へ提言したりしているという。
その後、立ち退きが決まってゴーストタウンとなった村々を訪れながら彼が語りました。「『ドイツは環境先進国である』と政治家は言います。しかし、皆さんの目の前の光景が現実です。ドイツが環境先進国であるならば、BUNDもNABUもグリーンピースも必要無いはずです。私の気力がある限り、戦い続けます」と。
一見、法律を駆使する洗練された活動をしているかに見えたBUNDという組織の原点を、垣間見た瞬間でした。(樋口さん)

左から ヤンゼン氏が20年来関わってきた活動対象である炭鉱 / 炭鉱開発で撤去されたアウトバーン(高速道路)跡 / 現場を背に熱く語るヤンゼン氏
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  【7】 FUgE(環境と公正な発展フォーラム)
ハム市は、環境首都コンテストで一位に輝く実績のある環境都市である。そのハム市に本拠地を置くFUgE(環境と公正な発展フォーラム)を訪問した。案内された組織は、フェアトレードショップを経営し、共同事務所的機能を持ち合わせた組織である。
私たちは、事務局長のマルコス氏に話を伺う予定で向かったが、当日は、11名のFUgEに関わる人たちが一同に会し、盛大な歓迎ぶりだった。また、机上には、各研修生の名前と組織名が英語表記されたものが用意され、おもてなしの意気込みを感じた。マルコス氏は、事務局長として有給で、この組織のミッションを達成するため、必要な組織経営の一翼を担っている。FUgEは、どちらかというと緩やかな連携組織。30ほどある大小さまざまな所属団体の公正な支援を行い、指導をし、連携している。
左・中央:各団体の活動説明にも力がこもる 右:共同事務所兼で、フェアトレードショップでもある

左から 日本の環境団体訪問に新聞記者も取材に来る / ハム市エコセンター事務所 / FUgEのメンバーと食事を取りながら、環境談義をする参加者

午後からは、近くのエコセンターに移動し、そこで、久しぶりのイタリア料理をメンバーの方と共にし、片言のドイツ語と英語で交流を図りました。
エコセンターは、ハム市の環境先進都市としての、長期的なビジョンにのっとって、建築物に着目した環境の活動を行っている組織です。一通りの概要と建築物を見た後で、私たち研修生とFUgEのメンバーによるディスカッションを行いました。今回の研修の過程では、訪問先の方々とディスカッションすること自体が初めてで、訪問団体としての意思統一不足から、FUgEのみなさんには、少々混乱を与えてしまったかもしれません。伝えることの難しさも学んだ研修でした。(佐藤さん)
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  【8】 アイフェル国立公園

移動の空いた時間で、現地の川の水質調査をする

ドイツには国立公園が13あり、アイフェル国立公園はそのなかでもっとも新しい国立公園です。ボンから1時間ほどの距離にあり、私たちが訪れた日は、朝間は霧が濃く静かで、昼間は快晴、紅葉の最盛期と、最高の訪問日和でした。
約1万ヘクタールの敷地には、ブナ林やトウヒの林、ダム湖、そしてフォーゲルザンクがあります。フォーゲルザンクは昨年までベルギー軍が駐在しており、一般人は立ち入り禁止でした。軍事演習用につくられた人工的な町や、プールや宿舎等の軍隊が駐留していた施設があり、今年になって一般公開されたということで、多くの観光客が訪れていました。
アイフェル国立公園支援協会
事務所
支援協会事務局長シューマッハ氏
アイフェル国立公園では、ビジターセンターの施設やその工夫を見学しましたが、人材育成という面でボツシャフトラーの制度を勉強しました。ボツシャフトラーは公園外への情報発信者で、公園のことなどを講演会や展示会を積極的に開催して、いろいろ情報発信しています。アイフェル国立公園では支援者協会が研修したボツシャフトラーが18名おり、それぞれの地域で情報発信に活躍しているそうです。公園内を案内する役割は、別途州認定のインタープリターがおり、ボツシャフトラーとインタープリターを兼ねている人もいるようです。ボツシャフトラーは積極的情報発信という難しい業務を担当しているので、講習を受けたり支援協会の事務局といっしょに事業を実施したりすることで、そのスキルを向上させています。このしくみは、まだ新しいもので(公園指定が一年前)、このしくみの成果目標はたてず、まずは情報発信事業として動かしてみているという状態です。
公園を今後どのようにしていくのか、どういう管理をしていくのかということを現在検討中で、事務局長は単なる自然保護にとどまらない国立公園にしていきたいと考えているとのことです。(口井さん)

左から アイフェル国立公園。手前にあるのが旧駐留軍宿舎 / ボツシャフトラーのスタッフ / 国立公園内を散策 / 移動のバスの中も参加者で論議
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  【9】 環境ボランティア研修制度
課題整理する平山さん
ステファニーは19歳。彼氏と同棲しながらNRW州の環境ボランティア研修制度に参加しています。毎日ボン市立Bio Centreで自然保護活動や環境教育を実践的に行い、大学で生物学を勉強する前にさまざまな経験を積んでいます。17歳のマーティンは、林業家になりたいと環境ボランティア研修制度に申し込み、ステファニーと一緒に環境保全活動を行っています。
ボン市立Bio Centreでは、毎年環境ボランティア研修制度で2名を引き受け、社会に出て行く前の青年たちに社会貢献活動に従事させています。ドイツではそのようなOJTで研修を行う制度があります。研修にかかる経費の公費負担があり、NRW州では要経費の約5/6を工費負担しています。(州によって違いがあり、公費負担0の州もあります)。
NRW州の場合、研修引受施設はインターネットで公開されています。研修を希望する若者は自分で情報を集め、引受施設に連絡をします。州の事務局には、600名以上の研修制度参加申し込みがあり、現在は若者170名を派遣しています。(全国では1800人が制度で研修中。)また引受施設としての申し込みも多く、引受施設として認められるには州の審査が必要で、NABUのような組織でも審査におちることもあるそうです。
左・中央:ボン市立Bio Centreで説明をうける 右:環境ボランティア研修制度に参加しているステファニーとマーティン

訪問したマーティンさんの有機農園では、ピアスを12個している少女、16歳のビーネを研修生として引きうけ、農作業や農作物の販売の作業、近隣の子供たちが訪問した際の対応をさせています。ビーネは外で活動する仕事に就きたいと思い、この農場への研修を希望したそうです。自己紹介でも活き活きと発言しており、この制度のもとでいい時間を経験していました。

16歳の研修生ビーネから制度利用の感想を聞く
マーティンさんの農園は、たんなる有機農園ではなく、子供の誕生会を開催するのに場所を貸したり、地域の子供たちが遊べる場所を提供したり、環境教育の機会を提供したりしています。州も単なる農作業に従事させるだけではなく、環境教育などの社会貢献テーマに沿った活動を展開している引受先に、積極的に人材を送ろうとしているようです。
環境ボランティア研修以外にもドイツには福祉や介護などの研修分野もあり、青少年育成がシステム化され、税金を投じることに社会として理解があるようです。(口井さん)
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  【10】 「ファンドレイジング」(資金調達)

左から 講義の前に、これまでの研修振り返り / ファンドレイジングアカデミー講師のハンズ・ヨーゼフ・ヘーニッヒ氏 / 細かな事例から資金調達を学ぶ

10月17日(火)、研修の最終日のテーマは「ファンドレイジング」(資金調達)でした。現在、日本のNPOが最も苦しんでいる問題であり、研修生にとっても最も興味のあるテーマでした。
赤十字やドイツ自然保護連合(NABU)といった団体のマーケティングや資金調達に携わってきたハンズ・ヨーゼフ・ヘーニッヒ氏(現:ファンドレイジングアカデミー講師)を講師に迎え、丸一日研修生にお付き合いいただきました。

講師のハンス氏も熱がこもる

講義は、資金調達の手段のうち「寄付の獲得」が主な内容となりました。そして、「寄付」を獲得するということを通して、自分たちの活動の目的と内容を明瞭にし、それをいかにかわりやすく伝えるか、ということがいかに大切であるかを気づかされました。また、ファンドレイジング用のソフトウェアを使って、寄付を依頼する相手や自分達の財政のデータを徹底的に分析し、最も少ないコストで最大の効果を得ることが重要であると教えていただきました。
午後からは、研修生の所属するNPOのファンドレイジングのコンサルタントを行っていただきました。それぞれが抱える問題に対して、非常に明快にアドバイスをいただくことができ、短い時間でしたがとても参考になりました。そして講義を通して、ファンドレイジングにおいても、人と人との関係を大切する事を忘れてはならないと、学ぶことができました。(浅井さん)

左から 参加者が釘付けになる講義 / 自分の団体を財務診断してもらう桃井さん / 書ききれなくメモをする参加者
日程表 感想 その1 その2



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