※こちらはアーカイブ記事です。
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【7】 NABU (ドイツ自然保護連盟)自然保護センター(午前)
1982年にボランティアの手によって建てられた自然保護センター。ライン川からそれほど遠くない距離に建てられているため、洪水の際には一面水浸しとなる。現在1800名の会員、70名のボランティア、5名のスタッフで運営を行っている。年間350回のイベントを行っていると聞いて、研修生全員が驚きを隠せなかった、その中には、子ども向けの自然体験プログラムなどがあり、活発に活動を展開していた。
左から 研修前に研修生全員で質問の整理を行う / NABU自然保護センター事務所 / プロジェクトの説明
また、プロジェクトごとに企業とも連携をとっている点も興味深い内容であった。カエルの保護を目的としたプロジェクトでは、スポンサーとして環境に配慮した洗剤を取り扱っている企業が関わっている点などが、具体的な事例として挙げられた。
また、生きているライン川というプロジェクトにおいては、5ヵ年計画で進めており、実行力と達成目標が具体的であったため、とても計画性に優れているという印象を受けた。
(草野さん)
【8】 NABU (ドイツ自然保護連盟)自然保護センター(午後)
ライン川での取り組みの説明を受ける
14日の午後、私たちは午前に引き続きNABUの自然保護センターで研修を受けました。このセンターでは、連邦政府の「ライン川をきれいにする」という目標に対し、具体的に何をするのかという積極的な提案を行うと同時に、提案したプロジェクトが実行されていました。また、プロジェクトの提案や実行の際、水運という経済面と自然保護という両面を視野に入れ、具体的な目標を15準備し、それらを達成し成果を公表することで、世論を変える流れを作り出そうとしていました。
ライン川の管理については、EUの自然保護局が罰則規定を設けているため、このセンターと州の環境省がそれぞれ責任をもって、活動に取り組んでいました。具体的な活動については、現場を案内してもらいながら説明を受けました。例えば、人工的な建物や護岸を取り除き、自然の河岸への修復が試みられていましたが、修復の際に、人が手を加えすぎず、自然に任せている姿勢がとても印象的でした。(山本さん)
左から 川岸とひまわり畑の間を歩きながら活動の説明を整理している仲津団長 / 川岸の復元状況などを聞く / センター内での活動紹介
【9】 ドイツ環境保護連盟(BUND)州支部(午前)
BUND事務所
15日の午前は、ドイツ最大でさまざまな環境分野における活動を実践しているドイツ環境保護連盟(BUND)の州事務所を訪れ、政策提言やロビー活動を担当されているウアリッヒ氏に、BUNDの組織の概要や具体的な事業の内容についてお話を伺いました。
BUNDの活動目的が、大きくは「自然の保護」「歴史的建造物の保護」「景観保全」の3つに分けられており、その目的を達成するため地域グループの活動を主体にして、国の政治形態に併せ、連邦─州─地域のそれぞれのレベルで、環境教育や自然エネルギーの導入など、バライエティに富む活動が展開されていました。
左:BUND事務所 右:州事務局のウアリッヒ氏
特に、ロビー活動では直接州の環境大臣等とコンタクトし、テレビ討論や公聴会などで自らの政策を公にする機会を持っていることには驚きました。このようにBUND自体がネットワーク団体の性格を有しながら、40数万人に上る会員を背景に、非常に大きな社会的な影響力を有していることを再認識しました。(今永さん)
【10】 ドイツ環境保護連盟(BUND)州支部(午後)
左:ナッケンハイム村の市民ソーラー発電(屋根全面にパネルが設置されてる) 右:発電ユニットの説明
ナッケンハイム村・市民ソーラー発電所訪問:マインツ市より電車で10分ほどの郊外、ワイン畑の小高い丘のある村に、市民が出資して合資会社を設立し、ソーラー発電所を設置した実例を見学した。
村はブドウ農園に囲まれた小高い丘にあり、日照時間は多く、立地条件は整っていた。発電量は、だいたい45.9kw/時とのこと。自然エネルギーの売電の場合、設置より20年間は通常よりも高い価格で買い取る制度(購入が1kwhあたり20セントなのに対し、自然エネルギーの売電価格は1kwhあたり50セント)が保証できていることから、損をすることがないという安心感もあり、出資はスムーズに行われたという。
左:ソーラー発電パネル設置までの経緯を聞く
右:その時の発電電力量をパネル表示している
また、BUNDの地域グループのリーダーが村にいたこともあり、BUNDがこの発電所を支援すると決まったことも、住民に出資が安心であると思われた理由であった。「屋根と人がいればソーラー発電所はできる」とBUNDの担当者は言い切った。これは決して大言壮語ではなく、その自信を支えるだけの根拠のある制度があるということである。(三枝さん)
【11】 ファンドレイジング・アカデミー
ファンドレイジング・アカデミーとは、多くの市民団体が悩んでいる資金調達に関する学習ができる専門機関である。実際に市民団体内で資金調達のプロ(ファンドレイザー)を育成することが大きな目的である。近年では日本の市民団体においてもファンドレイジングという言葉は認知され、今回の研修の重要なポイントとなっている。
研修の内容では、アカデミーの内容から近年の傾向、そして、具体的に資金の種類からどのように集めていくのかという手法を学んだ。大きなポイントとしては、突然寄付が集まるわけではなく、情報を提供して信頼を得て、そして寄付につながるという点である。
そして、研修で私たちが出した結論としては、「寄付文化はこれまでの日本には定着していないが、今は逆に大きなチャンスである」という考えである。日本においてはまだまだ未開拓な分野だからこそ、仕組みを作り上げることで大きな可能性が広がる。すぐに成果には結びつかないが地道な広報や顔の見える関係作りが日本に寄付文化を定着することにつながっていると実感した。(草野さん)
左から 「ファンドレイジングアカデミー」のトーマス・クロイツァー氏 / 一番興味のある話に聞き入る参加者 / リッタース・ホーファー氏の概論講義
【12】 ドイツ自然保護連盟(NABU)地域センター
アットホームなNABU地域センターの事務所で講義を受ける
この地域の活動支援アドバイザーのナタリー・プルム女史
NABUの地域センターを訪問しました。ドイツでは日本同様、若者の地域離れが見られ、地域をまとめる担い手確保が課題です。NABUは地域活動支援のためアドバイザーを各地域に派遣しています。
訪問したセンターにも派遣されており、地域支部で費用を負担して地域の未来を託していました。
センターは地域住民に呼びかけお茶会を開き、肩のこらない気軽な会話から環境への理解を広めていました。私たちも、りんごジュースと手作り菓子パン等でもてなしていただきました。私自身、中間支援組織でボランティア活動の未来について、たわいない会話を繰り返した日々を思い出しました。さまざまな立場の人の声に耳を傾け対話することで、共感が生まれ活動意欲につながるのではないでしょうか。
このような対話を、一般の人、環境団体間、また私のような行政と続ける事で、皆が共感できるビジョンがまとまり、ボランティアの獲得につながるのではないでしょうか。
(三浦さん)
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