データをもとにグラフや表を使った説明
ヘッセン州では環境保全政策について、①環境保全と経済活動が両立し、②無駄なく効果的であり、③住民から十分な理解を得る、ことを方針としている。また政策は 州独自ではなく、EUで決められた政策がドイツ連邦の政策に反映され、さらに各州の状況に応じた具体的な政策が決定される。現在の環境問題の広域化を考慮すると、EUのような広域で統一した政策がもとになるのは理想的である。 またドイツでは公共工事などのプロジェクトが決まると新聞公開するとともに、州が認定した環境保護団体に対して公聴会を開くことが法律で定められている。ヘッセン州では6つの環境団体が認定を受けている。
州の環境省職員のお話で特に強調されていたのは、「協働」である。CO2の削減目標を達成した郡に補助金を支払うCO2削減促進プログラムや、地方自治体・企業・学校・住民と自由意思による契約を結び、アクションプランを作成しCO2の収支算定を実践してもらう取り組みの紹介があった。環境省としては多くに参加してもらうため、収支算定ツールの無料貸出や、費用対効果について分かりやすく説明するなど、この取組みに対する不安(成果が出るのかが分からない)を取り除くことを重要視しているとのことだった。
ヘッセン州環境省での講義の様子
また環境省と大気汚染に関するNGOが協働し、環境に配慮した取組みや商品開発を行う企業のコンペを行うなど、政府と市民団体の両方の立場から企業に対して効果的な働きかけをしていた。
今回の訪問では計4名の各部門責任者からお話を伺ったが、どのお話も収集されたデータをもとに 分析、現状把握を行い、数値化されていて納得いくものであった。
環境保全に対して、政府とNPOが対等な立場を守りつつ、協働して環境保全に取り組んでいることがわかった。最後に担当者から「NPOの活躍の場をつくることが行政の仕事です」という言葉を頂いた。
(川野 智美) |