セブン-イレブン みどりの基金 一般財団法人セブン-イレブン記念財団

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環境ボランティアリーダー海外研修

2011年(平成23年)第14回環境ボランティアリーダー海外研修レポート

海外研修レポート 感想その1


日程表 感想 その1 その2
【1】
10月19日(水)午前 訪問先:ラインランド・ファルツ州 州環境情報センター 所長:ローランド ホーン氏
 ラインランド・ファルツ州環境情報センターで広報官を務めるローランド ホーン氏から、ドイツの環境保護の歴史と仕組み、考え方についてお話を伺いました。1971年、工場からの汚水によりライン川の魚が大量死したことから、さまざまな環境改善の取り組みが進んでいったとのこと。ホーン氏は、これまでの歴史や活動を踏まえて、自然保護を考える時の3つのポイントを教えてくださいました。
  1. 効率的・効果的であるか
  2. 自然の法則に合っているか。自然と共生しているか
  3. 資源の活用を適正量に自制しているか
環境省エントランスで各種環境団体のパンフレット収集に夢中の研修生たち
熱く語ってくれたホーン氏
 これらを認識して自然保護活動を実践することが、この自然を次世代に残すことにつながるといいます。

 あなたの子どもが20歳になったとき、「昔ガソリンで車が動いたの?最後の石油をすべて使おうをしていたの?」そんな笑い話になっていてほしいとホーン氏は言います。
 「地球は一つ。自然保護のレベルではなく、地球全体の問題ととらえて、競争ではなく協働で、みんなで達成していくことが必要です。そして、それは環境だけでなく平和へもつながっていくことなのです」と私たちに、地球に住む仲間としての熱いメッセージを送ってくださいました。
(本間 莉恵)
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【2】
10月20日午後 ヘッセン州環境省
データをもとにグラフや表を使った説明
 ヘッセン州では環境保全政策について、①環境保全と経済活動が両立し、②無駄なく効果的であり、③住民から十分な理解を得る、ことを方針としている。また政策は 州独自ではなく、EUで決められた政策がドイツ連邦の政策に反映され、さらに各州の状況に応じた具体的な政策が決定される。現在の環境問題の広域化を考慮すると、EUのような広域で統一した政策がもとになるのは理想的である。 またドイツでは公共工事などのプロジェクトが決まると新聞公開するとともに、州が認定した環境保護団体に対して公聴会を開くことが法律で定められている。ヘッセン州では6つの環境団体が認定を受けている。
 州の環境省職員のお話で特に強調されていたのは、「協働」である。CO2の削減目標を達成した郡に補助金を支払うCO2削減促進プログラムや、地方自治体・企業・学校・住民と自由意思による契約を結び、アクションプランを作成しCO2の収支算定を実践してもらう取り組みの紹介があった。環境省としては多くに参加してもらうため、収支算定ツールの無料貸出や、費用対効果について分かりやすく説明するなど、この取組みに対する不安(成果が出るのかが分からない)を取り除くことを重要視しているとのことだった。
ヘッセン州環境省での講義の様子
 また環境省と大気汚染に関するNGOが協働し、環境に配慮した取組みや商品開発を行う企業のコンペを行うなど、政府と市民団体の両方の立場から企業に対して効果的な働きかけをしていた。
 今回の訪問では計4名の各部門責任者からお話を伺ったが、どのお話も収集されたデータをもとに 分析、現状把握を行い、数値化されていて納得いくものであった。
 環境保全に対して、政府とNPOが対等な立場を守りつつ、協働して環境保全に取り組んでいることがわかった。最後に担当者から「NPOの活躍の場をつくることが行政の仕事です」という言葉を頂いた。
(川野 智美)
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【3】
10月20日午前 NABU(ドイツ自然保護連盟)ラインランド・ファルツ州支部 講師 Mr.Siegfried Schuch(ラインランド・ファルツ州代表)
 ドイツで最も古く、最も大きい団体NABUの歴史、ミッション、活動内容、収支を伺った。 1890年1人の女性の呼びかけにより設立。現在会員は、連邦全体で45万人、ラインランド・フォルツ州で35千人いる。会費は、最低25ユーロ、平均で48ユーロ/人。自由意志で無償活動している会員は全体の10%。活動はしないが会費、寄付する会員が90%。会費収入で事務局経費はすべて賄われている。新規会員拡大は学生に歩合制で勧誘を委託している。組織体制は、連邦本部—16州支部−各地域郡支部で構成されており、それぞれの代表を選挙で選任。技術的な環境保護、汚水処理、土壌処理、都市開発・道路拡張時の調査等を行っている。連邦政府に許可されている団体であり、工事の際に意見をいうことができる。あわせて700−1000件/年の訴訟を行っている。また、土地を購入または州の土地管理委託を受けビオトープ管理を行っている。行政や報道と連携し組織的に自然保護を行っていることを学んだ。日本においても、ドイツと同様に行政や企業と連携し大きな活動ができる仕組みづくりを行っていくことが今後の課題と考える。
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ラインランド・フォルツ州代表のSiegfriedさんに熱く語っていただきました
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NABUがリンゴ保存のために製作しているリンゴジュースでおもてなし
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NABUの組織体制、仕組みづくり等のお話を伺い、みんなで記念撮影
(梅田 幸代)
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【4】
10月20日午後 訪問先:ファンドレイジングアカデミー(Fundraising Akademie gGmbH) 講師:Dr. Karl-Friedrich Rittershofer
 10月20日の午後からラインランドファルツ州にあるファンドレイジングアカデミーを訪れました。ここで資金調達について学びました。
 ドイツのNPOや非営利団体の資金状況、歴史、について説明していただいたあと、さまざまな資金調達の中から寄付のスタイルや方法についてお話をいただくことが出来ました。スタイルは大きく3つあり、いずれについても必要なのは団体のミッションや目的など、同意・理解があってはじめて寄付がなされるということ。また、ただ集めるだけではなく、集まった寄付をどのようにして使ったのか、どのような効果があったのかといった報告をきちんと行うことで、継続的な支援につながるとのことです。株式を持つ企業が出資者へ報告を行う仕組みと変わりがないと感じました。
 寄付を頂くということは、社会から信頼を得ることではじめて成立することを強く感じました。 
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講義終了後、研修生毎のカウンセリング真っ最中
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終了後、講師であるリッターショファー氏と撮影
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ファンドレイジングの基本についてわかりやすく説明を行うリッターショファー氏
(角屋 暢洋)
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【5】
10月21日午前 訪問先:BUND(ドイツ環境保護連盟)NRW州支部 講師: Paul Krofges支部代表
懇親的に質問に答えるPaul Krofges支部代表
BUND(ドイツ環境保護連盟) NRW州支部の前で
 BUNDとは50万人の会員を有し、約2000のグループがドイツ連邦共和国に分散して活動している。設立は1975年、原発への反対運動から活動が始まり最近では反原発の他に農業・畜産業の工業化が重大なテーマになっている。
 研究者、専門家による報告書が作成され、会員のみならず一般の人達への情報提供し、環境保全に対する問題について常に啓蒙発信し続けている。
 NRW州はドイツ中西部に位置し、人口は約1800万人。この州での会員は4万人、その他大多数の支援者に支えられている。この州には原発はないそうだが、フクシマ以降、会員が増加しているとのことであった。

 収入は会費と各プロジェクトへの助成金で大半を占めており、支出の50%近くを自然環境保全に関する広報やロビー活動に使用している。
 パウル氏の名刺の裏は会員区分と会費が明記され入会申込書となっている、常に一緒に活動する会員を受け入れる工夫であると感じた。
 何故、ドイツ最大の環境団体になったのかを聞いたところ、「時代に合っていたこと」が最大の要因であろう、との回答であった。
(田村 裕美)
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【6】
10月21日午後 訪問先:Garzweiler(ガルツヴァイラー炭鉱)
 大聖堂の存在するケルンに隣接したデュッセルドルフのガルツヴァイラー炭鉱を視察した。ここでは、火力発電に必要となる石炭(泥炭)を発掘している。48平方kmの大規模な掘削を露出掘りで行なっており、大規模な掘削を行うために有名なアウトバーンのルートですら削り落とされ、中途半端な状態で旧ルートがむき出しになっていた。この掘削計画は2044年まで既に決定していた。この掘削によって掘り出された石炭の微粒子が運搬時に空気中に飛散し、粉塵による周囲への被害が深刻だと話を伺った。高台の展望台から見た時も空気が今までと異なることを感じた。対策としてスプリンクラーを設置していたが根本的な解決に至っていなかったことは一目で理解ができた。
 衝撃的であったのは、掘削を優先するために幾つかの村が消滅、消滅寸前であった。特定の小さなコミュニティが多くの人々のために犠牲になっている現状を目の当たりにしながら、BUNDの方から「人はデモ(抗議)ができるけど、植物はできない」という言葉に自然に対して気付かされるものがあった。
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広大な敷地で大規模な掘削が。遠方には掘削した石炭が運ばれる火力発電所
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掘削拡大によって廃線となったアウトバーン。まさに「先の無い」状態
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掘削予定地である街の風景。閑散とした状態
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掘削、これからの掘削計画、様々な影響について説明を受ける研修生たち
(角屋 暢洋)

日程表 感想 その1 その2



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