セブン-イレブン みどりの基金 一般財団法人セブン-イレブン記念財団

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環境ボランティアリーダー海外研修

2012年(平成24年)第15回環境ボランティアリーダー海外研修レポート

海外研修レポート 感想その2


日程表 感想 その1 その2
【7】
10月20日(土)午前 訪問先:環境ボランティア研修制度事務局
2カ月目の研修生から制度説明を聞く
 「未来を想い 人を創る」ことに向き合っている国民性を感じた。
 国が推進するFÖJを現場で学ぶために、国立鳥類教育センターに訪問し、そこで働く若者マービン(18歳)に出会った。施設は3つの州が出資し、国の施設として鳥類に関する環境教育や保護のための情報提供、高圧線や風車等の鳥類に影響がある工事についての助言指導等を行っている施設である。5人の生物と農の専門家の他、事務局員、研修生、8つのプロジェクトスタッフたちで運営されている。様々なプロジェクトや森のガイドなどをスタッフが進める際に、企画から教材作成・準備、プログラム実施から片付けまでスタッフとともに活動し、野鳥に関わる仕事を学んでいる。プロジェクト(環境教育)担当者でありマービンと活動しているスタッフのビーターは、若者が企画から現場に入ることにより、若者の感覚や視点で野鳥や環境問題に対してどのように見ているのか、感じているのか、考えているのかを知ることができ、教材はどのようなものや視点で作ることが効果的か等、アイディアを提供してもらっていることは施設(プロジェクト)側としても高い効果を得ているとFÖJが参加する効果も語ってくれた。
 マービンに、「FÖJに参加する皆さんの両親はどう考えているのか」との問いに対し、「将来子どもが就職していく中でいろんなことを学べることや就職の際にも企業に優先的に受入れてもらうことができるので、反対する親はいない」と語ってくれた。マービン自体は、まだ2カ月であるが、一番このFÖJで得たものは何かとの問いに、「実社会で働くことはどういうことかを見ることや体験することができてよかった。特に、これまで自然は好きで調べてはいたが、ここでの活動によって鳥類についてそれ以上に多くを学ぶことができている。また、教育が私には向いていることに気づかされた」と将来教育の分野に進みたいと意欲を語ってくれた。
受け入れ先との信頼関係が重要
 FÖJ活動は、若いマービンたちが将来を見つめ、自分の仕事・自分の人生を選択していく重要なポイントであり、多くの経験と責任を学ぶ機会になっていることに間違いは無い。日本における人材育成はどこまでその成果を目指しているか。目の前の仕事のための人材育成は多いが、50年後100年後の環境や生活を創造し、ライフスタイル、ライフワークをかえていくような「人づくり」は少ないように感じる。自然学校や環境教育等、子どもたちと体験することは多くても、本当に向き合って人を創るという未来づくりをしているか。NPOで人財を正面から向き合って育成しているのか。そのシステム(手法ではなくステップ)は整備されているのか。今後の組織づくりにとって重要なカテゴリーであると、再度NPOの私たちは認識すべきであるト考えさせられた。
 FÖJは現在全国で3000人、ヘッセン州で120人が活動しており、マービンは州の代表として先日活動を始めたばかりである。彼自体が9月からFÖJをスタートしたばかりであるにもかかわらず、FÖJの仕組みや現在の体制、課題等も明確にしていた。
(立山芳輝)
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【8】
10月20日(土)午後 訪問先:環境ボランティア研修制度(FÖJ)
研修先の施設を自信を持って説明する
実際に体感する研修生
 午後はホフマン氏にフランクフルト市にあるバルトハウス(森の家)という環境情報センターを案内してもらいました。施設はハンズオン展示やイベントを行う建物と外部のトレイルツアーのできる森、保護された動物の園舍などで構成されていました。 2年前に研修を体験した彼は当初、徴兵制の代替えとしてFÖJを知るきっかけとなったそうです。研修中は施設の作業全般に係わる他、各人のテーマを決めたプロジェクトを企画運営できたことに満足していました。彼のプロジェクトはタンスを改造したテラリウムでヘビの生態を展示すると言うもので、企画から制作まで自分で行ったそうです。実社会に出る前に、もともと興味のあった自然や子供の教育に係わる貴重な体験ができたことが環境保全学を大学で学ぶという現在の進路にもつながったと言います。
 しかし、この制度では受入先(例として、農家など)によっては研修生を安価な労働力としてみなされ、成果にばらつきがあるとも語っていました。
(萩野由紀)
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【9】
10月21日(日)午前 訪問先:NABUラインナウアー自然保護センター 担当者:Mr. Egeling
事務所の中には環境学習で使う資材が販売されている
 ライン川のすぐ近くにある「NABUラインナウアー自然保護センター」にて、どう資金調達をして自然保護を進めていくかということを中心にお話しを伺いました。
 自然保護センターはライン川と自然保護センター周辺の湿地の重要性を伝える環境教育施設として、年間350ものイベントを実施し重要な役割を果たしている施設であり、施設周辺にも生き物と共生する取り組み方法として様々なビオトープの展示をしていました。地域のボランティアおよそ80人が15の様々な自然保護に関するプロジェクトに関わっておられるそうです。
ライン川沿いの自然保護を説明受ける
 付近の湿地に生息している希少なカエルの保護活動をするため、日本でも販売されているカエルのロゴマークを使った洗剤「フロッシュ」を販売している会社に保護活動の重要性を理解してもらい、資金援助を受けて保護活動を行っているということでした。企業から資金調達をするうえで重要なポイントとして挙げられていたのは、企業にとってのメリットを明確にすること、お互いのイメージとマッチングすることです。保護センターでお話を伺った後は、保全活動を行っている湿地や保護区域となっているライン川周辺を散策しながら詳しい説明を受けました。
(宮嶋啓太)
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【10】
10月21日(日)午後 訪問先:ドイツ自然保護連盟(NABU)ユーゲンハイム地域 担当者:Rainer Michalski氏
NABU州支部広報官ミシャルスキー氏
着衣も基準があり、NPOブランディングを行っている
 ドイツにとって地域の基幹産業であるワイン作り、2軒のワイナリーがあるアルビッヒ村で、小高い丘にあるワイン畑でぶどうを育てるところから見学させていただきました。ワイナリーの建物の地下室に降りると、年季が入った蔵に、ブドウが発酵する甘い酸っぱい香りがあたり一面に漂っていました。ワインの試飲など五感いっぱいで学んだ、幸福な一日でした。
 この日の研修をコーディネートしてくださったNABUの広報官は、広報の本質について、「伝えるということは、100%真実でなければならない、常にハイクオリティであること、最初の五行で全てを語ること、何度も推敲すること」だと話されました。イベント告知方法やプレスに取り上げてもらうコツなど、具体例をもってわかりやすく教えていただきました。一番の驚きは、一年先のイベントスケジュールが決まっており、パンフレットが刷られていたことです。地域の中で信頼を築き、発信していくことの意味を考えた一日でした。
(松田直子)
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【11】
10月22日(月)午前 訪問先:「ボリムリンゲ」森の幼稚園 担当者:Ms. Patricia Baltzereit(園長)
森のようちえんでの朝のセレモニー
子どもたちと一緒に遊ぶ参加者
 日本でも全国に広がり注目を浴びている森のようちえん。デンマークで始まりドイツで広まったと言われるそのルーツをたどり、森のようちえん「ボイムリンゲ」を訪れました。
 朝9時、まだ寒い森に子どもたちが集まってきました。園舎は小さな小屋だけ。雨が降ろうが風が吹こうが、基本的には森のなかで過ごします。そして今日どこで何をして遊ぶかは子どもたちが多数決で決めます。幼児期からドイツでは当たり前の考え方である自立とデモクラシーについて学びます。子どもたちは森で各々自由に遊び回ります。スタッフはよっぽど危ないシーン以外は口を出さないそうです。自分が出来ることの可能性を学ばせるためであり、出来ないことを見極めてサポートするのが大人の役割とのこと。驚いたのは、日本のあちこちで行われている森のようちえんは無認可で行われているケースがほとんどですが、ボイムリンゲは一般の幼稚園と同等に扱われていることです。この市では運営資金がすべて自治体から支払われます(別の機会に、大学も年間の授業料は数万円と聞きました)。誰もが平等に教育を受ける権利があるという考え方から数年前に法律が変わったそうです。子どもの教育がドイツ社会の中で重要視されていることを実感しました。
(梅田 幸代)
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【12】
10月23日(月)午後 訪問先:自然保護センター(NaturschutzZentrum) 担当者:ゲルハルト・エブラー氏(NABUヘッセン州支部長、自然保護センター所長)
採石場跡地に出来た自然保護センター
 宗教や政党とも独立したNABUの活動を進める中で、活動を支えているのは会員である。「入会した会員(顧客)を楽しませることが私たちの役目であるが、楽しませるだけでなく目的づけを行うことを意識を持って取り組まなければならない。また、会員にも役割が必要である、組織において、プロジェクトにおいて何らかの形で参画する機会をコーディネート(演出)することも必要である」と彼は語った。また、ファンドレイジングにおいて、人と人とのコンタクトやコミュニケーションをしっかりとり、お互いの活動が利益を得ることができるようなWin-Winの関係の構築が必要であり、自らのミッションや事業にマッチングした寄付相手を選ぶことが重要であることも氏は語ってくれた。
色々な展示施設の説明を聞く
 自然保護センターの施設オープニングの際に、氏は貝を持って皆さんにお話をした。「施設は貝だ。中身が最も重要なものである。」参列の地域のみんなに、中身(魂)が肝要であることを伝えミッションの共有を喚起した。施設には続々と新しいアイデアがつぎ込まれ、日々変化している。来訪者に、4週間来られないと「見逃した!」と思わせられるような仕掛けが重要である。常に新しく変化し続けなければならない。伝える、広げる、引きつけることの大切さを学んだ。
 私たちは常に地域や社会に広報し、信用を勝ち取り、ミッションを遂げる努力が必要であることを、生物学者そしてコーディネーターであるゲルハルト氏にその姿勢を学ぶことができた。
最後に、「アイディアは常に書き込んでおけ!」いかなるときもリーダーとしてミッションに向けた努力の姿勢を示唆いただいた。
(立山芳輝)
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【13】
10月24日(火)午前 訪問先:ラインランド・ファルツ州自然環境財団 担当者:ゲルハルト・エブラー氏(NABUヘッセン州支部長、自然保護センター所長)
財団の資金調達などの情報を聞く
ヨハン・クレービュール氏
 財団が出資をしている宿泊型の森林環境教育施設にて施設長から施設の設置目的などの紹介をしていただきました。次に州からの補助金と宝くじの収益金の一部で資金運営をしている自然環境財団の職員であるヨハン・クレービュル氏から財団の取り組みを説明していただきました。財団は30年前に設立され、自然保護地域の土地を確保・維持することを目的に活動されているとのこと。また、シチズン・サイエンスという市民への普及啓発事業として市民が関心を持って環境調査に関われるようにと見分けやすい鳥を選び、その観察報告をデータにする取り組み等シンプルなカタチにして一人でも多くの市民に参加しやすいようにしているプロジェクトを事例として紹介していただきました。その後はEU全体で保護するべき重要な自然保護地域を見学、生き物が多く生息できるように森林整備や川の改修場所を案内していただきました。植林した場所には生き物が少なく、それを少しずつ生き物が多く棲める環境に戻していくことに大きな誇りを持って活動されているのがとても印象的でした。
(宮嶋啓太)
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【14】
10月24日(火)午後 訪問先:ファンドレージング研究所 担当者:Ms.Helga Schneider
NPOの資金調達についての講義
 最後の研修として、ファンドレイジング研究所のシュナイダーさんに資金調達の手法や考え方について学びました。
 ドイツではNPOに対する政府からの支援が減ってきているため、どの団体も寄付収入を確保していくことが重要になってきているそうです。しかしやみくもに寄付を呼びかけてもうまくいきません。寄付者をデータベース化し、寄付の時期や頻度、寄付者の属性などを分析することで効率的に寄付を調達する手法を学びました。
(有)ファンドレイジング研究所のヘルガ・シュナイダー女史
 しかし重要なのはファンドレイジングに際しての団体の姿勢です。「ファンドレイジングはフレンドレイジング」とおっしゃっていました。寄付をもらうのは相手と友人になるのと同じこと。自分のことを知ってもらい、相手からの信頼を得ていくことが大切です。そして他の団体ではなく自分の団体やその活動を選んでもらう理由が何なのかをきちんと説明し、お互いに共有できるゴールを見出していくことでファンドレイジングが成功します。そして友達と長く付き合うように、まめにコミュニケーションを図っていくことで継続した関係を築くことが出来るそうです。
 言われてみれば当たり前のことですが、実はなかなか出来ていないもの。ファンドレイジングは寄付金集めのスキルではなく、広報や組織運営ともつながる深いテーマであることを学びました。
(唐澤晋平)
日程表 感想 その1 その2



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