セブン-イレブン みどりの基金 一般財団法人セブン-イレブン記念財団

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環境ボランティアリーダー海外研修

2013年(平成25年)第16回環境ボランティアリーダー海外研修レポート

海外研修レポート 感想その1


日程表 感想 その1 その2
【1】
10月16日(水)午前 訪問先:ヘッペンハイムの森のようちえん 担当者:リンド・メイヤー女史
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 研修初日最初は「森のようちえん」。ここは民間の幼稚園で、父兄が理事となり運営している。子どもたちの定員は20人で先生は2人。敷地に入ると、リンゴや洋なしの木が生えた広場があり、屋内会場としてコンテナハウスがふたつほどあった。この幼稚園は完全に屋内だけで実施するのではなく、昼食時や荒天時などは屋内で過ごすのとのこと。やがて子どもたちが広場に集まって来て朝の会が始まる。この日は週に一回の「フルーツの日」で、こどもたちが持ち寄ったフルーツを分け合って食べる。見ていて実に微笑ましい。その後先生がギターを弾いてにぎやかに歌を歌う。そんな様子を見ていて強く感じたのは、日本の「森のようちえん」ときわめて雰囲気が似ていること。私は日本で「森のようちえん」を実施しているが、自分たちの活動と比べても驚くくらい違和感がなかった。しかし、先生にお話を伺うと日本と全く違う点を感じた。それは、ひとことで言うと「自然観の違い」。日本の森のようちえんの多くは、自然の中での活動を通じて自然への「畏敬の念」を育もうとしているように思う。しかしドイツではそうでなく、自然を客観的に分析的に見ることによって「自然は怖いものではないし、守って行かなければならないものだ」ということを幼い頃から教えているのだと言う。文化や歴史、宗教の違いなどにより、自然の捉え方が全く異なるということがとても印象的であった。
(菊間 彰)
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【2】
10月16日(水)午前 訪問先:自然保護センター(NaturschutzZentrum) 担当者:ゲルハルト エプラー氏(自然保護センター所長、NABUヘッセン州支部代表)
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 次は「自然保護センター訪問」。ここはとてもきれいな施設だった。所長のエプラー氏に話を聞いたところ、ただ自然を保全するだけでなく、自然の中に人間が入って行ける、触れることのできる施設を、環境配慮型の素材を使ってどうしても作りたかったとのこと。ここは彼の思い入れの詰まった「城」なのだ。例えば屋根付きのファイヤープレイス。不要になった廃材を活用して作り、設置してあるピザ釜も厚意で寄付していただいたものなのだと言う。ドイツの環境団体を語る上で「寄付」という概念は外せない。施設の外壁には一部この地域の地層を再現した部分があり、地質学者である彼に言わせると、地質を学びたい者はここだけで二日でも三日でも学ぶことができるそうだ。そしてNABUについての講義やエネルギーについての講義では、もうとにかくアツイ。しゃべりだしたら止まらない。ひとつ質問すると10の答えが返ってくる・・・。初日だったのでこのときはまだよくわからなかったが、とにかくドイツ人は話が長い!要約するのではなく、細かく具体的にロジカルに話す。聞いててくたびれます・・・。一方で、どこを訪問しても大量のお菓子や飲み物で歓待してくれる温かさがドイツ人にはある。初日からゲルマン魂のこもった洗礼をうけ、ちょっとヨロメキながら施設を後にしたのであった。
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(菊間 彰)
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【3】
10月16日(水)午前 訪問先: NABU(ドイツ自然保護連盟)ラインランド・ファルツ州支部 担当者:事務局長オーラフ・シュトゥループ氏
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NABUの組織体制、活動内容、資金調達等についてお話を伺った
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研修生から日本の活動もプレゼン壁にはコウモリなど保護活動に関するポスターが
 NABUの歴史、会員、組織構成、活動内容、資金調達について話を伺った。
 1890年代、帽子に鳥の羽をつけるのが流行っていた。鳥が安心して棲める場所をつくるため土地を買うなど、ある女性が野鳥保護運動として始めたこの活動は、今やドイツで最も大きな自然保護団体となった。
 1899年、NABU設立当初は3500人程の会員であったのが、今では約50万人にも上る。組織構成は、ドイツの各地域に点在する地域支部-16の州支部-連邦からなり、ラインラント・ファルツ州にある州支部は、会員が約4万3千人で、約80の地域支部がある。これは、州人口(400万人)の1%が会員ということになる(ベルリン都市などの州支部は人口の3%が会員)。
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ラインランド・ファルツ州の事務局長オーラフ・シュトゥループ氏を囲んで記念撮影
 地域や州で決定した自然保護に関する意見や規則を連邦に提出し、それを連邦が国へ出すというボトム・アップ方式。スタッフの給料や広報等にかかる運営費は、すべて会費で賄われている。政府からの資金援助は一切ない。「こうして独立した存在だからこそ、おかしい政策や規則に政府と対等な立場で物申す事ができる」とシュトゥループ氏は話してくれた。これだけの会員数を誇る事で、政治にも大きな影響力を持つ活動ができると実感できた。
(事務局 池田)
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【4】
10月17日(木)午前 訪問先: BUND(ドイツ環境保護連盟)ラインランド・ファルツ州支部 担当者: Mr.Ullrich(州事務局職員)
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 通称BUNDと呼ばれる会員40万人の環境保護団体を訪問した。ここでは、主に『組織運営』について学んだ。団体の活動として最も重要なのは「広報」である。自分たちの団体が一体何をしているのか?ということを多くの人々に伝えることに関して資金・時間を全体の3分の1費やしていた。より多くの人に会員となってもらい、所属人数が多ければ多い程、環境保護に意見を出しやすいからだ。BUNDでは、環境保護を行うスタイルとして、法的手段で環境を守る・技術的観点の対応をしている。団体として環境保護を政府等に訴える際にも、会員が多ければそれだけの人の意見を反映している組織の意見として提言出来る力を得ることが出来る。組織の会員構成の割合を見ても、ドイツでは、物事の推移は市民のボトムアップから成り立っていることが伺えた。
(生月 菜々子)
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【5】
10月17日(木)午後 訪問先:ファンドレイジングアカデミー 担当者: Dr. Karl-Friedrich Rittershofer
 リットーショッフェル氏より「どのように資金、時間、物の寄付を活動のために獲得できるか」というテーマで、資金調達に関する講義を受けた。「ファンドレイジングとは?」という概論から、歴史、ドイツにおける資金調達の状況など、ファンドレイジングのAtoZを学び、資金(寄付)調達の方法やポイントについて具体的に教えていただいた。“寄付”と一言で言っても、ボランティアの方の労働力を提供してもらうこと、機械などの物を貸してもらうことも“寄付”の一つである。その寄付を獲得するため、「何に対して寄付するのか、目的を明確にすること」「寄付を受けた際には、きちんと感謝の意を表し、どのように役に立ったかを報告すること」「寄付者のことをよく知り、データベースにすること」「メディアをうまく利用すること」など、すぐにでも実践できるたくさんのコツを伝授いただいた。大切なのは「人と人とのコンタクト」であり、寄付者との信頼関係の大切さを改めて感じさせてもらった講義であった。
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熱弁をふるうファンドレイジングアカデミーの講師リットーショッフェル氏
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ドイツ語の資料での講義
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聞きのがしのないよう耳を傾け必死にメモを取る

(事務局 池田)
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【6】
10月18日(金)午前 訪問先: ALZEYの森のようちえん 担当者: Stief女史
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 ここの幼稚園は、公立であり、森のようちえんのクラスだけではなく普通のクラスを一緒に運営するという珍しい幼稚園であった。一番驚いたのは、3~4歳の子どもたちがナイフを使って栗の皮を剥いたり、木の棒を削ったり、電動ドリルを使って穴をあけて遊んでいたことだ。兄弟おそろいでマイナイフを持っている子もいた。日本では、刃物類の道具を「危ないから使ってはいけない」という方針で子どもたちに指導を行うのが現実だ。しかし本当に必要なのは、「使い方を間違うと危ない道具だからこそ、安全に正しく使う方法を学ぼう」ということではないだろうか。自分で刃物を使ってみて、もちろんケガをすることもあるだろう。しかし、自分で経験しないと分からない痛みもある。自分を通じて体験することで、いろんなことを感じてもらいたい。自然体験を行う立場として、今後の日本で私たちは、どのような方針を持って行うのか。もう一度、原点に戻って考えたいと思う。
(生月 菜々子)
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【7】
10月18日(金)午後 訪問先: NABU(ドイツ自然保護連盟)ALBIG支部責任者 州支部広報官 担当者:ライナー・ミヒャエルスキー氏
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支部が入居する地域コミュニティセンター
 会員の多くは、日常生活の合間を利用してボランティアとして活動に関わっているため、関係機関とのやりとりや広報活動を行うことは難しい。そこで、2004年にオフィスを構え、非常勤スタッフ2名で対応している。この支部が対象とする地域の人口は、約70万人。そのうち、NABUの会員は1万人であり、その割合は1.4%をも占める。会員数は、政治への影響力、団体に対する地域からの信頼に直結するため「会員の新規獲得」は特に注力しており、90年代半ばから専門業者に依頼している。これにより、この20年間で会員数は5倍となった(今年は、1400名もの新規会員を獲得することができた)。また、広報手段として「新聞」を積極的に活用しており、毎週定期的に新聞社に情報提供していることもあって、月に3、4回は新聞社から取材を受けている。その他、1年間のイベントやセミナーの開催予定をまとめた「予定表」を配布している。2013年度版には、140もの催し物が掲載されていた。なお、予定表の制作費の半分は企業広告費で賄っている。訪問当日は、「ワイン農家」や、3年前から展開するコウモリの保護に協力を受けている「教会」の小屋裏を見学させていただいたが、いずれも地域住民との連携の深さを感じるものであった。
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支部責任者のミヒャエルスキー氏
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3年前からコウモリの保護活動をしている教会の小屋裏
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ワイン農家・フィリップさんからの説明の様子

(桑野 恭子)

日程表 感想 その1 その2



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