ラインラント・プファルツ州のアルツァイ市(Alzey 人口18000人)には3つの市立のKiTa(複合保育施設≒認定こども園)があり、そのうちの一つHanni Kipp - Haus des Kindes は、保育所2クラス、幼稚園2クラス、森の幼稚園1クラス、計5クラス、園児総数120名の保育施設です。ラインラント・プファルツ州では教育の機会均等と子育て支援のために、2009年から3〜6歳の保育料無償化を実施しています。
この森の幼稚園クラスは、7年前に園長の熱意によって開設され、園児20名先生2名で構成されています。子どもたちは毎朝8時に園の敷地内に建てられた小さなウッディハウスに登園してから、スクールバスで州管理の森へとむかいます。森の中にはいくつもの活動場所があり、また森林管理局の建物を借り受け、屋内でおやつを食べたり、おもちゃで遊んだりもします。森にはティピーや焚き火プレイス、移動式エコトイレなど活動しやすい仕掛けや準備が整えられています。12時になるとふたたびスクールバスに乗って園舎に戻ります。到着後はすぐに保護者が迎えに来る午前保育だけの子や、弁当持参で夕方まで園舎で過ごす子など、家庭の事情に合わせて保育時間が選べるようになっています。
森の幼稚園と聞くと「元気いっぱいでアクティブ」なイメージですが、担任の先生によると、普通の幼稚園クラスの園児にくらべ、とてもおだやかで落ち着いているのだそうです。たっぷりと外遊びするためストレスが少ないからだろうと言っておられました。森の幼稚園クラスは開設以来大変人気が高く、「産まれる前から予約する」というくらい待機児童も多いそうです。また、森の幼稚園クラスには、教育意識の高い、比較的恵まれた家庭の子どもがやってくる傾向があるそうです。