セブン-イレブン みどりの基金 一般財団法人セブン-イレブン記念財団

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日本の国立公園
火山と人がつくりだした森と湖のパノラマ 磐梯朝日国立公園
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先人の歩みを引き継いで
冬場はスキー客で賑わう 緑を回復させるため、また国立公園指定のために奔走し人力した人々の歴史を経て、現在、磐梯吾妻と猪苗代湖地域には、年間300万人もの観光客が訪れるようになりました。人々は四季を通じて、美しい自然を満喫したり、ウィンドサーフィンやスキーなどのレジャーを楽しんでいます。

しかし、この美しい自然を受け継いだ私達は、今、新たな課題の解決を求められています。交通の整備による観光客や登山者の増加によって、探勝路や登山道が踏み固められて裸地化するなど、自然の許容量を超えた利用のために「オーバーユース」と呼ばれる問題が発生しているのです。

猪苗代湖には数多くの白鳥が飛来する こうした中、五色沼や桧原湖など有数の景勝地がある裏磐梯の裏磐梯観光協会では、自然を守り、観光資源として活用していくために、エコガイド養成事業をおこなっています。観光や道案内だけではなく、自然解説を含めたガイドができる人を養成することを目的とし、現在では、昔から自然保護活動をしてきた人など約40名が登録して、自然を保護しつつ活用していくために、有償でガイドを行なっています。裏磐梯観光協会の向井さんは「エコガイド活動を持続していく為に有償にしています。有償にすることによってエコガイドのレベルアップも図れます。」と、ガイド技術と自然情報知識の専門性の必要性を強調しています。

伝え保っていく伝保人による観察会 また、レクレーションとしての磐梯朝日国立公園の利用者の玄関口となる猪苗代の猪苗代観光協会では、「伝保人」という新しい形のガイドのあり方を提唱しています。従来型の観光ガイドの方法とは異なり、伝保人は、旅館の経営者やタクシー運転手など地元で生活する人々により構成され、その土地の言葉と自分たちの個性を通じて、土地の歴史、生活文化、自然を後世に伝え残していくことを目的としています。伝保人として活動する福島県自然保護協会理事の横田さんは、「身近な自然の大切さを知ることが最も大事」と強く訴えます。特別な自然よりもむしろ自分の足元の草花や生き物の中に、自然の価値を感じ、それに気付く。そのことが真の自然と人とのつながりのあり方という深い問題に目を向けるきっかけになるのかもしれません。

歩きはじめた若い自然
湿原に咲くミズバショウ 磐梯山は今も宝の山としてそびえる
磐梯山周辺のかつての荒涼とした大地は今は豊かな緑に覆われています。この若い自然は未来の限りない変化に向けて歩き始めています。その変化は長い時間をかけてゆっくりと進んでいき、数千年の時が経てば、五色沼も陸地化して周囲の山々と同じようなブナの原生林に戻っていくといわれています。そしてそれは、この土地にまた新しい景観を生み出していくことでしょう。悠然と佇む磐梯山と共に、ここを訪れる私達も、この変化の歩みが本来のスピードを超えたり、行き先が変わらぬように、温かく見守って行きましょう。

協力
猪苗代観光協会
裏磐梯観光協会
朝日山岳会
西澤信雄
写真協力
山口不二雄
参考図書
『磐梯山大爆裂百年史』(福島NOW)
『日本の自然地域編2 東北』(岩波書店)
『日本の名峰 飯豊・朝日連峰』(山と渓谷社)


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