原始性豊かな国立公園
白山国立公園は、石川・岐阜・福井・富山の4県にまたがり、標高2,702メートルの御前峰を中心に、南北50キロに連なる面積47,700ヘクタールの山岳公園です。1962年(昭和37年)に国立公園に指定され、現在はユネスコの「人間と生物圏計画(MAB計画)」の生物圏保存地域にも指定されています。
白山は日本列島の高山帯を持つ山の中で最も西に位置する独立峰で、「花の白山」と呼ばれるほど高山植物の宝庫として有名です。古くから植物学者が調査研究に訪れ、新しく発見したものに名前をつけたので、固有種ではないにもかかわらず白山の名のつく植物が18種もあります。
山腹一帯には西日本最大のブナ原生林が広がり、ツキノワグマや特別天然記念物のニホンカモシカ、ニホンザルなど大型哺乳類をはじめ、クマタカ、イヌワシなど他の地域ではなかなか見ることができない貴重な生きものが数多く生息しています。
白山火山の火山活動は今から30〜40万年前にはじまり、最も新しい噴火は350年ほど前のことです。火山活動でできた火山性連峰であるために、山頂付近の火口湖、深い谷間から山麓にかけての温泉群など変化に富んだ景観をみることができます。
変化に富む景観
白山は、御前峰(2,702m)、大汝峰(2,684m)、剣ヶ峰(2,677m)の総称です。白山の頂上部には翠ヶ池、紺屋ヶ池、油ヶ池、血の池、五色ヶ池、百姓池、千蛇ヶ池の7つの池があり、これらの多くが火山の噴出口と考えられています。千蛇ヶ池(せんじゃがいけ)は、万年雪となり、夏でも氷が解けない日本に21ヶ所ある珍しい湖のひとつで、湖の底は永久凍土になっているのではないかと考えられています。永久凍土は日本では富士山・立山・大雪山の3ヶ所で確認されています。
温泉も豊富で、国立公園内には一般の人が行ける温泉が5ヶ所、石川県の白山温泉、中宮温泉、岩間温泉、岐阜県の大白川温泉、福井県の鳩ヶ谷温泉があります。特別天然記念物の岩間の噴泉塔群は、温泉水に溶け込んでいた石灰質分が地表に出て冷やされ固まったものです。噴泉塔は高さ2〜3メートルに達し、噴出する温泉は100度近くにもなります。表面の白っぽい部分は炭酸カルシウムの結晶の色で、緑色の部分は温泉水中の成分を栄養として生きている温泉藻類です。
蛇谷(じゃたに)は、河川の流水・雪崩・岩石の崩落によって、地形が少しずつ浸食され、アルファベットのV字谷をなす険しい地形の谷です。蛇谷本流と支流の合流点には大小多くの滝があります。
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