これら日本最大である石西礁湖のサンゴ礁景観と、島の90%以上を占めるといわれる西表島の亜熱帯自然林を保護するために、沖縄の本土復帰直前の1972年(昭和47年)4月18日に琉球政府立公園として指定され、同年5月15日の復帰に伴い、日本で24番目の国立公園となりました。
また島々には、赤瓦の屋根に葺かれ、サンゴの石積で囲まれた民家が、島独特の素朴な人文景観を形成し、そこに暮らす人々の豊かな文化と相まって、島を訪れる人々に強い印象を与えます。
生態系豊かな「海の熱帯林」〜石西礁湖
石垣島周辺や石西礁湖を含む八重山列島周辺の海域は、サンゴの種類が豊富で360種以上が確認されており、世界的にも貴重なサンゴ礁の1つといわれています。サンゴ礁は、「海の熱帯林」と呼ばれるほど生物多様性が極めて高い場所です。また周辺の海水は、サンゴ礁自体が持つろ過機能、そしてサンゴ礁に付着するバクテリアによる浄化作用などにより、清澄な状態に保たれます。さらに、私たち人間にとっては、たくさんの魚介類を産み出す漁場であると同時に、台風時などの高波の力を弱める自然の防波堤の役割も果たしています。
しかし現在サンゴ礁は、オニヒトデや巻貝による食害や、海水温の上昇などが原因とされる 白化現象、また農地開発に伴う陸地からの赤土流出や生活排水などの人為的撹乱など様々な要因により、絶えず変化しながら危機的な状況へ追い込まれています。
そこで石垣島の「国際サンゴ礁研究・モニタリングセンター」では、地球規模のサンゴ礁モニタリングネットワークの東アジア海地域拠点として、サンゴ礁に関する情報収集や、サンゴ礁の現状を継続して把握するためのモニタリング調査、また公園内のフィールドを活用した自然ふれあい活動などの普及啓発活動を行い、サンゴ礁の保全に取り組んでいます。2000年(平成12年)から2001年(平成13年)にかけての調査結果の比較では、サンゴの平均被度(海底の岩の上に占める、生きたサンゴの比率)は33%(前年度より6%増)に上がっているそうです。
これらサンゴ礁保全については、石西礁湖だけではなく国際的な緊急課題とされています。
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