白銀の世界に身を包まれ周囲を見渡そうとすると、目を細めずにはいられないくらい眩しいその景観は、言葉や写真では伝えられないほど大地や空が果てしなく広がっているかのように見えます。張り詰めた空気の中で、その静寂を破るように時折響くタンチョウの鳴声や、脈々と蛇行して流れる川の姿は、より一層その景観の広大さを際立たせます。
かつて人間が不毛の地として顧みなかったこの湿原は今、水を蓄え、生命を育む大地としてその価値を新たに見出され、人間と共に生きる時を刻み始めています。
平面的な景観をもった国立公園
釧路湿原は現存する日本の湿原の中でも18,290ヘクタールと最大で、日本の湿原( 泥炭地)の総面積の約6割を占めるといわれます。北海道東部の太平洋側に位置し、北から南までの距離は、埼玉県大宮市から東京都品川区までの距離に匹敵し、都心をすっぽり覆う広さがあります。
釧路湿原国立公園は、湖沼を含んだ湿原が公園の面積の約80%を占めるかたちで、1987年(昭和62年)国立公園に指定され、日本で最も新しく、また、湿原がメインの国立公園としては国内最初で唯一のものとなりました。
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