※こちらはアーカイブ記事です。 |
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陸中海岸の海鳥と生きものたち
また、オオミズナギドリは、日本のほとんどの地域に生息していますが、釜石の三貫島(さんがんじま)は、集団繁殖地として国の天然記念物に指定されています。オオミズナギドリは、昼間ははるか沖合いでエサを求め、夕方になると島に帰ってきます。
ハヤブサ、ミサゴなども鵜ノ巣断崖や佐賀部海岸を繁殖地として高密度に生息しています。また、冬になるとオオワシやオジロワシなどもサケを狙って飛来します。哺乳類では、ニホンカモシカ、ニホンリス、キツネなどが生息し、海にはオットセイ、アザラシ、トドなどもやってきます。
植物の南限・北限 陸中海岸
もうひとつの大きな植物の特徴は、太平洋岸で暖流(黒潮)と寒流(親潮)がぶつかる影響から、南方系植物が暖流の影響で北上する北限種と、北方系植物が寒流の影響で太平洋岸を北から南下する南限種が混在して複雑で豊富な植生を作っていることです。宮古市近辺ではとくに顕著に見られ、通常の海岸植物にとどまらず、関東地方の標高700mくらいの山にあるクルマユリ・マイヅルソウ・エンレイソウなどの植物を見ることもできます。マイヅルソウは葉の形が鶴が舞っているような形を連想させるので名付けられたとされています。
太平洋側では大船渡のモミが北限種とされ、山田町船越のタブノキ、大船渡のヤブツバキも南方系の北限種です。また、シロバナシャクナゲ(ハクサンシャクナゲ)は涼しい山地性の植物でありながら、海岸に生育することで希少とされています。このように、陸中海岸国立公園は、植物の分布上大変貴重な地域であるといえます。 |