つながりつづける活動の輪
「数が多いから」という理由でその総称がついた九十九島では、1999年(平成11年)ボランティア有志『九十九島の数』調査研究会(43名)の手によってそれまで統一見解がなかった「九十九島の島の数を数える」という調査活動が行なわれました。数を明確に打ち出すことで、九十九島に対する人々の関心を引き出そうとしたことがきっかでした。
島を取り囲む海は、季節や時間によって様々な変化をします。そのため調査方法や範囲、認定方法を決める必要がありました。同研究会が最終的に提案した九十九島の数を数える際の定義としては、
(1) 自然に形成された陸地であり、高潮時において、水に囲まれて水面にあるもの (2) 植生( 潮間帯より上に生える植物)が認められること
上記の2つの条件とも満たしているものを島と認定、この定義に基づき2001年(平成13年)4月、九十九島は208と正式に記者発表されました。
島の数を数えるという基礎調査がきっかけとなり、その役割を果たした『九十九島の数』調査研究会は、「九十九島の会」という自然調査や清掃美化活動などを行なう新たな団体へと生まれ変わりました。同会では、今後九十九島のボランティアガイド育成などを予定しており、景観と同様に地域に根ざしたボランティア活動を次世代へ繋げる活動を目指しています。
また西海国立公園内にあるビジターセンター、西海パールシーセンターでは、今年より九十九島の環境調査活動を行なう専門スタッフがメンバーに仲間入りすることになりました。同センターの博物展示部長川久保さんと佐世保市職員の蓮田さんは声を同じにして「今は直接の収益に結びつかないかもしれないけれど、世の中に知ってもらうにはまず自分たちが知ること、調査することが必要。ポスターやチラシのような一過性のようなものでは伝わらないことがたくさんある」とおっしゃっていました。遺された自然について学ぶことは、守り続けることの始まりなのです。
五島エリア〜福江島 長崎港から高速船で約2時間、福江島は、五島列島の最南端に位置しています。福江島で一番に目に入るのは、鬼岳火山群(鬼岳、火の岳、城岳、箕岳、臼岳)の主峰、 アスピーテと呼ばれる楯状火山の上に、 ホマーテと呼ばれる臼状火山が重なりあって形成された鬼岳です。世界的に類を見ないその景観は、とても珍しい存在といえます。又、鬼岳が噴火した際南へ流れ出た溶岩があるのが、あぶんぜ溶岩海岸です。福江島でもっと暖かく、ごつごつした溶岩海岸はとても印象的です。そのほかにも多くの美しい自然が繰り広げられています。
海に囲まれた島に生きる
「僕は昔、普通に空き缶をポイ捨てしていたんだよね」鐙瀬(あぶんぜ)の会の代表木口さんはそう言って、頭をかいて笑っていらっしゃいまいた。いつも何気なく捨てていた空き缶がある日ふと目にとまったそうです。「自分の生まれ育った福江の島は美しいのに、訪れた人はこのゴミをみてどう思うだろうか?」福江島の美しさをみんなに理解してもらいたいという思いで、ゴミを捨てていた手は、いつしかゴミを拾う手へとかわっていきました。同会は、地域の環境美化活動を中心に現在も定期的に活動しています。海岸には、海を渡って流れ着いた外国文字のゴミを目にすることもしばしあるそうです。手探りで始めた彼らの活動により、福江島から目に見えるゴミは減りつつあります。
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