国内で最も原生的な自然が残る場所
面積38,633haの狭く細長い半島は、約900万年前に始まる太古の火山活動が生んだ独特な姿を呈し、海から直接山が誕生したような険しく複雑な地形を成しています。そして、海抜0メートル〜標高1,500メートルクラスの山岳地帯まで草原、渓流、森林、湿原、湖沼など、モザイク状にぎっしりとつまった多種多様な自然環境が、実にコンパクトに収まっています。海岸地域から山岳地域へと連続した植物相、動物相が見られるのは、日本では他に屋久島などに見られますが、大変希少です。狭い知床半島には、非常に多様な自然のエネルギーの循環が生まれているのです。
また、日本で最も寒いところに位置する国立公園であるという特徴から、日本各地と比較して一段と低い標高(1,000〜1,200メートル、ときに500〜700メートル)でとどまって森林限界を成しています。また、本来北アルプスの山々のような3,000m級の山でしか見られないような高山植物が、海岸地域でもみられるのが特色です。その他にも、海浜植物、森林植物、湿原植物と、さまざまなタイプの植物群落が発達しています。また、シレトコスミレなどのように知床半島にのみ分布が限られている固有種もあります。
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