火山活動によって形作られた景勝地 本州最北端の国立公園である十和田八幡平国立公園は、奥羽山脈の北端に位置し、1936年(昭和11年)に指定された八甲田山から十和田湖にかけての十和田地域(44,920ha)と、1956年(昭和31)年に追加指定された八幡平(1,613m)、秋田駒ケ岳(1,637m)、岩手山(2,039m)にかけての八幡平地域(40,489ha)の二つに大きく分けられる面積85,409ha(佐渡島と同じぐらいの大きさ)の公園です。
公園全体が原始性の高い雄大な森林景観を有し、全域が那須火山帯に属しているために、火山活動によって形成された地形が景観の骨格を形作っています。
山岳では標高1,000mを前後境に、下部はブナを中心とし、トチノキ・サワグルミ・カエデ類などを交えた落葉広葉樹が広がり、上部はオアモリトドマツ(オオシラビソ)を主体とする針葉樹林帯、最上部には高山植物帯がみられます。 |
山麓地帯に生息しているニホンカモシカなどの大型哺乳類や、イヌワシ・クマゲラなどの鳥類など数多くの野生動物が生息しています。また、モリアオガエルが各地に生息し、毎年多数の産卵がみられます。
美しい二重カルデラ湖の十和田湖、みごとな渓流美の奥入瀬渓流 、樹氷で名高い八甲田山(はっこうださん)、多種多様な火山地形・火山現象からなり「火山の博物館」と呼ばれ湿原が点在する八幡平地域など、多彩な自然景観をみせています。
十和田湖と奥入瀬渓流 十和田湖は、約20万年前から2000年前にかけて幾度となく起きてきた噴火と二度の陥没でできた典型的な二重カルデラ湖で、周囲53キロ、水深が最深部で327m(国内第3位)、エメラルドグリーンの美しい湖です。また、湖を取り巻く外輪山の内壁には火山活動によって堆積した地層が鮮明に見られます。
湖の周りの林はブナの自然林で、湖畔にはカツラ、トチノキ、シナノキ、シロヤナギ、ドロノキ、ミズナラ、ホオノキ、サワグルミ、カエデ類が生え、二重カルデラ湖のためにできた御倉半島と中山半島などの複雑な火山地形とマッチしています。とくに新緑と紅葉が美しく、墨絵のような山々が凍てつく湖面を取り囲む冬景色は神秘的です。
十和田湖から流れる唯一の川が奥入瀬川で、十和田湖の子ノ口(ねのくち)から焼山(やきやま)までの14kmの渓流両岸の断崖は、軽石や火山灰が高温の状態で堆積し、熱と自重によってできた溶結凝灰岩です。
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