阿蘇山周辺は九州の水源 阿蘇は火山の噴火によってできたカルデラですから、地下には火山礫や凝灰質シルト、ローム火山灰などの火山性の地層ができています。また、阿蘇地域は山頂付近で年間降水量3200mm以上と、たいへん雨が多い地域でもあるのです。この雨が地下に浸透し、地層によって不純物が濾過され、ミネラルが溶け込むため、阿蘇の水は非常に美味しく、しかも大変豊富なのです。
阿蘇地域には水の湧き出る水源が多く、白川水源、菊池水源、竹崎水源などなど、大きいところだけでも26ヶ所にのぼっています。なかでも白川水源は豊富な水量で有名で、毎分60トンもの水が湧き出しています。
さらに阿蘇に降り注いだ水は、地下を通って熊本市内の水前寺公園や江津湖へと流れ、熊本市民の飲み水にもなっています。それだけではありません。阿蘇の水はほぼ九州全域に流れ、そこにすむ人たちに利用されているのです。
一の宮町の水を守る運動 阿蘇山の東北部にある一の宮町も、たいへん水に恵まれた土地で「わき水の里」と呼ばれています。一の宮町を歩くと、至る所に湧き水を使った水飲み場があるのに驚かされます。なかでも阿蘇神社境内の「神の水」は古くから奉られ、美味しい水だといわれています。
さて、こんな水のきれいな町ですが、人が生活し、生活排水を流すことによって汚染が進んでいます。もちろん大都市に比べて、汚染の度合いが激しいわけではありませんが、阿蘇周辺の水は流れ流れて、九州中の飲み水のもととなるわけですから、少しでもきれいに使おうという住民が多く、たくさんのボランティア団体が、町の排水を浄化する運動を行っています。
「一の宮、水を守る会」では10年間、町内の川や下水の10のポイントで、生活排水による汚染を測定しています。さらに「EM」によって、排水をきれいにする運動を始めています。
EMとは有効微生物群(Effective Microorganisma)のことで、これらの微生物には汚水を分解し、浄化するはたらきがあるのです。
|
|
「九州の水源となる水の町だけに、排水もきれいにしたい。EM発酵液を使えば川や海を浄化することになります」とおっしゃるのは「一の宮、水を守る会」会長の谷村康子さんです。谷村さんはやはりEMを使ったコンポストで生ゴミなどを堆肥にするなどの運動も行っています。
コンポストとはもともと堆肥のことですが、ゴミや下水汚泥などを発酵腐熟させて、有用な肥料にしたものや、その製造器をいいます。
また、同じく一の宮町で水の問題に取り組んでいるボランティアグループ「みやび+1」でも、EMの使用や浄化槽の普及を目指しています。
会長の森下幸美さんは、手始めに自宅に浄化槽をつけ、排水の浄化を果たしました。
水は人間が生きていくうえで欠かせないものです。川や海を汚さないために、みなさんもEMなどを使って排水の浄化を心がけてはいかがでしょうか。
|