※こちらはアーカイブ記事です。
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本州のほぼ中央に位置している北アルプス、そこには人間の存在の小ささをまざまざと実感させられるほど雄大な山々が立ちはだかり圧倒されます。その神々しささえ感じさせるような大自然の姿を目前に、人は何を思うでしょうか。
エベレストやK2といった世界の山々に想いを馳せるアルピニストから、トレッキング、お花畑を散策する人、裾野からカメラを向ける人に至るまで、私たち人間の心を虜にして止まない自然の威厳や美しさがそこにはあります。人々は山の何に想いを馳せ、危険を冒してまで山へ登ろうとするのでしょうか。山を愛する山男たちは「それは登った人でしかわからない」と笑みを湛えます。
山と渓谷が創り上げる壮大なパノラマ北アルプスとは北は立山、剣岳の立山連峰、白馬岳の後立山連峰から、南は槍・穂高連峰、最南端に聳える乗鞍岳に至る飛騨山脈を中心とする山岳地帯を指します。中部山岳国立公園はこの北アルプスを中心に成り立ち、総面積174,323ヘクタールに及ぶ日本を代表する山岳国立公園です。新潟、富山、長野、岐阜の4県にまたがっており、1934年(昭和9年)に阿寒や日光などとともに、日本で2番目に国立公園として指定されました。
北アルプスをはじめとする日本アルプスは、“ヨーロッパ・アルプス”にちなみ名付けられたものです。本場の4,000メートル級の山々には及ばないものの、標高3,000メートル級の山々が連なっています。日本で3番目に高い奥穂高岳(3,190メートル)や槍ヶ岳(3,180メートル)を有する北アルプスは南北90キロメートルにわたっており、松本から北へ向かう車窓ではその姿を追うことができます。
連なる山々の間の深い谷を黒部川、高瀬川、梓川などの河川が流れ、弥陀ヶ原や五色ヶ原、雲ノ平などの高原や、日本海に近く世界的な豪雪山地で残雪も豊富なため夏まで残る雪渓も多くあります。なかでも剣岳東面の剣沢雪渓、白馬岳東面の白馬大雪渓、白馬沢雪渓は日本の三大雪渓となっています。また、山腹に見られる半円形の窪みは圏谷(カール)と呼ばれ、洪積世に山を削った氷河の活動を物語っています。主な火山としては乗鞍岳と焼岳があり、1915年(大正4年)に唯一の活火山である焼岳の噴火によって梓川が堰止められできたのが大正池といわれています。