高山の花々は短い夏や不安定な環境から、種から花が咲くまでに長い年月を要します。長く厳しい冬を過ごし、約2ヶ月という短い夏の間、そのときを待っていたかのように一斉に咲き誇る花々は、小さくとも強い生命力を感じさせます。
高原が花々で彩られる頃、花の園は人ばかりでなく小さな来客者でもにぎわい始めます。タカネヒカゲ、オオイチモンジなどの高山チョウをはじめとする昆虫たちが花の香りに誘われてやって来るのです。
白馬岳の麓、白馬村立白馬北小学校では子どもたちによるアサギマダラの移動調査が行われています。アサギマダラは高山チョウではありませんが、夏には標高1,500メートル付近で良く見られるチョウとして知られています。子どもたちが調査のためにマーキングしたアサギマダラが高知県室戸岬や沖縄県宮古島で確認され、子どもたちはそのチョウの発見者と交流をしています。アルプスを越え、海を渡った地にまで飛んでいくというアサギマダラは、これからも子どもたちの夢を一緒に運んでくれることでしょう。
|