牧歌的な三瓶山地域
島根県のほぼ中央に位置する独立峰・三瓶山は、山麓の牧歌的な草原景観が大きな特徴です。爆裂火口である室の内(むろのうち)を囲むように標高1,126mの男三瓶(おさんべ)、女男三瓶(めさんべ)、子三瓶、孫三瓶の4つの山が連なっています。
西の原、東の原などの雄大な草原が広がる山麓は、徒歩で一周4時間、頂上まで幼児でも登れるなだらかな山です。山頂からは360度のパノラマが広がり、大山や日本海を展望することができます。
山麓の草原は、古くは放牧にされてきました。山頂は大山と同じく、昭和50年代以降、登山者の増加により山頂の裸地化が急速に進んだため、1996、7年(平成8、9年度)に植生復元のための植栽枠、木製階段工、ロープ柵、侵入防止ベンチ、展望テラス等が設置されました。しかし、動植物の保護と自然公園の利用、放牧等についての方向付けが問題になっています。
現在は、よりコンパクトなエリアで多様な自然を気軽に楽しんでもらおうと、自然保全とそしてレジャーの共存に取り組んでいます。
標高800m以上の地域にはブナ林が広がり、多様な生物の生息地となっています。山麓の草原では四季折々に草花が咲き、頂上部は風が強く低木林も生えない風衝(ふうしょう)草原となっているなど、様々な自然が集約しています。
古代杉の感動と三瓶山のボランティア活動
島根県立三瓶自然館サヒメルでは、ボランティア「三瓶自然館インタープリター」が、国立公園内の自然観察や館内の解説、イベントの企画を手掛けるなど、活躍しています。
インタープリターの役割は、知識の押し売りではなく、見所を与え「関心をもってもらう。自然の中から感動する」橋渡しをすることだそうです。「自由に見て、触れてもらう」ことをコンセプトに、質問があれば答え、困っていることがあれば手伝います。ボランティアの喜び、それは自然との触れ合いと新しい発見、そして人との交流だそうです。
同館には、三瓶山の北麓(大田市三瓶町多根)にある縄文時代後期の三瓶火山の噴火活動によって埋没した巨木の林「三瓶小豆原(さんべあずきはら)埋没林」から発見された、推定3500年から3700年前のスギの巨木が展示されています。
直径1.5m以上、高さ10m以上もあるスギの巨木は、ガラス越しに見るだけでなく、実際に手で触れ、匂いを嗅ぐこともできます。3500年前のスギは、私たちが知っているスギの温かな感触と匂いを放ち、その感動は筆舌に尽くしがたいものがあります。
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