屋久島の山岳地形や黒潮に育まれた多彩な植生は、豊かな動物相の維持に貢献しています。県道や人里近くでよく見かけられるのは、大型ほ乳類のヤクザルとヤクシカです。島には、現在約4,000〜6,000頭のヤクザル、そして約3,000〜6,000頭のヤクシカが生息しているといわれ、古くから島の人々と島の植物連鎖の頂点を分かち合ってきた野生動物です。また、本土では見られない国の天然記念物のカラスバトが生息するなど、孤島固有の鳥類も観察できます。さらに、屋久島は昆虫類の宝庫としても名高く、ヤクシマエゾゼミなどの固有種や、ヤクシマトゲオトンボ、ヤクシマオニクワガタなどの固有亜種を含む約3,000種が生息しています。その大部分は、九州本島との共通種で、かつ南限種を含み、屋久島と奄美大島の間に存在する目に見えない生物分布の境界線
「渡瀬線」を境に、奄美諸島の昆虫相とは鮮やかな違いを呈しています。