世界遺産の島に住む人々の暮らしと環境保全
屋久島には、豊かな水や多様な動植物相に代表される優れた自然が残されているだけではなく、その豊かさと厳しさを併せ持った大自然を生存の場とし、また自然との共存共生の道を探り続けてきた独自の生活文化が、今なお息づいています。屋久島には、13,932人(2001年(平成13年)3月現在)の島民が暮らしています。1560年(永禄3年)に遡る屋久杉伐採の歴史からも分かる通り、「自然保護か開発か(自然か生活か)?」と言った二極の図式では展望を開くことができないことを、島の人々は日々の暮らしの中から体得し、知恵と節度を持って自然との関わり方を確立してきました。
そこには、単に自然を守るという狭い意味での「自然保護」の概念を超越し、人々の存在と繁栄を前提に、人と自然の関わり(=「環境」)の中から、共生の将来を展望しようという「環境保全」に対する強い意志を感じることができます。海と山の狭間に生きていた島の人々にとって、自然を守ることは決して特別なことではなく、むしろ日々の暮らしの一部として深くその精神に根付いていることなのかもしれません。
島の人々は私達に、世界遺産の島・屋久島らしい人と自然との付き合い方を教えてくれています。