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春はブナの新緑、夏は色とりどりの草花、秋はため息がもれるほどの紅葉、冬はスキー。四季を通して人々に愛される栗駒山を、2008年6月14日、M7.2の地震が直撃した。宮城・岩手内陸地震である。
佐々木豊志さんの運営する「くりこま高原自然学校」も被災した。ここではキャンプやスキー教室など、子どもたちの野外教育・冒険教育を実施している。他にも幼児の野外教育や「森のようちえん」、不登校児童や山村留学生を通年で受け入れる「耕英寮」、環境教育のための人材育成を行う研修棟、持続可能な生活を目指して開墾した畑など、十数年かけて少しずつ拡大してきた施設は大きな打撃を受けた。
「ようやく、これでやっていける、努力してきてよかったなと思った矢先でした。もう一度ゼロから出発ですね」
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多くの組織、ネットワークの立ち上げにかかわった、頼れるリーダーだ
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地震のあとに拠点としている民家。手作りの看板が目印だ
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ショックを乗り越え、佐々木さんは復興に立ち上がる。避難所で佐々木さんが書き続けたブログは、全国の支援者をつなぐ場となった。自然学校のある耕英地区は地震でもっとも被害が大きかった地域。住民への避難指示は09年5月に解除されたが、一般の立ち入りは制限されたままだ。現在は復旧作業を行いながら、拠点を山の麓の民家に移して自然学校を運営している。
佐々木さんと野外教育との出会いは、岩手県で過ごした中学時代まで遡る。
「僕が入学した中学校は、いささか元気のよすぎる生徒が多くてね(笑)。そこで気骨のある先生4人が、“こいつらをまともに育てるには教室だけじゃダメだ”と、声がデカイ、体がデカイ、態度がデカイ1年生を15〜16人集めて屋外を連れ回した。僕もそのなかの一人でした」
登山にキャンプにサイクリング、田植えや稲刈りまで、3年間で教室では学べないことをたくさん学んだ佐々木さんは、自身も教師になることを決意。大学で野外教育と冒険教育を学んだ。
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