アマモ場再生会議には、もう一つの目的がある。震災をきっかけに海を怖がるようになってしまった子供たちに、もう一度海の楽しさを体験してもらうことだ。
「塩竈の人たちは海育ちです。子供はみんな海や釣りが大好き。それなのに、震災後のアンケートで、『海が怖くて入れなくなった』という答えが多かった。海の楽しさを取り戻さないと、本当の塩竈の復興はないと思いました」
結果は上々。子供たちは喜々として活動に参加するようになった。一番人気は曳き網だ。海から引き揚げた網の中にはたくさんの生物が入っている。楽しみながら湾内の生物調査ができるイベントだ。地球温暖化による水温の上昇のせいか、網に入る魚の種類は以前と違ってきているという。
震災2年後の2013年、第6回全国アマモサミットが塩竈市で開かれた。再生会議が始動したばかりで、まだ成果といえるものはほとんどなかったが、活動を推進する機運は大いに盛り上がった。伊藤さんたちはこのとき、アマモサミットの象徴として大漁旗を製作した。
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