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森林の荒廃の一因に「竹害」があるのをご存じだろうか。かつて竹は私たちにとって身近な素材であり、たけのこも収穫できることから、竹林には管理の手が行き届いていた。しかし、竹材の需要が減り、輸入もののたけのこが出回るにつれ、放置されるようになり、今や日本中の里山で竹が雑草のごとく増殖しているのだ。
成長が早い竹が密集して生えると、自然の落葉樹ばかりか、植林された杉や檜(ひのき)などの針葉樹も成長を阻まれ、植生は乱れてしまう。竹藪が地震に強いというのは、あくまで平地での話。根が横に広がって深くは伸びないため、斜面が竹だらけになるとむしろ土砂災害の危険も増す。
佐賀県基山(きやま)町の「かいろう基山」は、こうした厄介者の竹の伐採をおこなうことで里山の環境保全を図るNPO法人だ。「かいろう」とは快労と快老を兼ねた言葉で、会員の平均年齢は70歳以上だという。事務局の松原幸孝さんは、そんな会員の中では最年少級の62歳。
山の緑は遠目には美しいが、「色が浅い部分はみな竹です」と、松原さんに言われて凝視すると、確かに山肌の相当な表面積を竹が侵食していることに気づく。
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70〜80代の主要メンバーの「快老」ぶりに「最初はついていくのがやっとでした」と笑う松原さん
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