「とにかく海が好きなんです。潜っているときのポコポコという自分の呼気音だけを聞きながら潮に揺られていると、とてもリフレッシュできます。あっ、風も好きです。僕は流体が好きなのかもしれない。行く先を気にせずに流れていくものに親近感を覚えるようです」
青森駅のすぐ脇にある「あおもり駅前ビーチ」を眺めながら、志田さんは楽しげに語る。学生時代から続く趣味としてサーフィンやダイビングに親しみ、今は潜水士として海に潜ってアマモの移植や海洋調査もおこなう志田さんは、日焼けした肌に髭(ひげ)をたくわえ、実に海が似合う。
生まれは地元・青森市。中学3年生のときに埼玉県にある全寮生の学校へ移り、しばらくは関東で暮らした。実家が総合建設業を営んでいたため大学では土木を学び、卒業後は仙台の建設会社に就職。転機が訪れたのは26歳のときだ。父親が体調を崩し、志田さんは青森へ戻って家業を継ぐことになった。
地元へ戻ってすぐ、NPO法人「あおもりみなとクラブ」の活動を知った。現在はミュージアムとして活用されている津軽海峡最後の連絡船「八甲田丸」の管理をする団体で、港の活性化と海域環境保全、および⼦供たちへの海洋教育をおこなっていた。
海に携われることに興味を覚えた志田さんはすぐに団体に加入。企画や運営を任されていく。
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